定例会

12月12日県議会での一般質問の質疑・答弁を公開します 馳知事の五輪招致発言も正面から問いました

カテゴリー:

12月12日県議会で一般質問に立ちました。馳知事の五輪招致発言も正面から問いました。そこでの質疑・答弁を未定稿ですが公開します。

◎副議長 佐藤正幸君

◎佐藤正幸君 日本共産党を代表して質問いたします。

 

 二〇二一年開催の東京五輪招致をめぐる知事の発言が国内外に大きな波紋を広げております。すなわち、二〇一三年招致決定当時、自民党で招致推進本部長だった馳知事は、安倍首相から「必ず勝ち取れ。金は幾らでも出す。官房機密費もあるから」と告げられ、開催都市決定の投票権を持つ百人余りのIOC委員に対し、官房機密費でそれぞれの選手時代の写真などを一冊二十万円で作成。それを持って世界中を歩き回ったとする内容であります。会合の参加者に発言のメモを取らないように念を押していたことも信憑性が高いことをうかがわせるものであり、「発言に事実誤認があった」とすぐに全面撤回したものの、どこが誤認なのか一切語らない態度では疑惑は深まるばかりであります。撤回で幕引きを図る姿勢はあまりにも無責任と言わざるを得ないし、その政治姿勢が知事としては失格ではないかとの批判が上がるのも当然だと考えます。

 知事は、現在の公式サイトでも五輪招致を実績として紹介しているとおり、スポーツに、そしてスポーツ行政に関わってきたことをアピールして、昨年の知事選挙で当選をされました。その点から見ても県民への説明責任を果たすことが必要であり、以下お聞きをするものであります。

 IOCの倫理規定は、第四条で「オリンピック関係者または第三者は、ごく僅かな価値の感謝のしるし、または友情のしるし以外は提供することも受け取ることもできない。そのようなしるしは、オリンピック関係者の公正と高潔性に疑いが持たれるようなものであってはならない」としております。これらの規定はなぜ生まれたのか、スポーツ振興に関わってきた前衆議院議員として、そしてこれからも県内のスポーツ振興に関わる知事としての認識を伺うものであります。

 東京オリンピック招致のただ中にあった二〇一三年四月一日の馳浩公式ブログには、「IOC委員への間接的な働きかけと、東京開催の意義を伝播させるためのロビー活動」との記述があり、当時の「菅官房長官に、五輪招致本部の活動方針を報告。安倍総理も強く望んでいることだから、政府と党が連携してしっかりと招致を勝ち取れるようにお願いますとハッパをかけられる」と明記されております。

 それでは、このブログにある「思い出アルバム作戦」とは一体どういう内容でしょうか。何を目的にしたものでしょうか。明快な答弁を求めるものであります。

 国は、二〇一六年五輪の招致に失敗した際、きれいな招致活動では勝てないとの教訓を導き出したと言われており、今回の疑惑は、今の五輪の根本を問い直し、倫理的な在り方を取り戻す上でも解明が欠かせません。表に出ることのない税金である官房機密費、年間約十二億円とされる領収書不要で、チェックする仕組みもない使途が問われない闇金で、国が五輪を買おうとしたのか否か。撤回したからといって発言の事実は消えないのであります。知事は今議会の答弁で、「複数の事実誤認があった」、「誤った情報が拡散される懸念が生じる」などと答弁されましたが、「複数の事実誤認」とは何か、「誤った情報」とは何か、拡散されると何が問題なのか、どこが舌足らずだったのか、明快にお答えください。

 識者によれば、民主主義において健全な統治機能――ガバナンスを支える重要な概念は、適正な手続と説明責任であるとし、法の下の適正な手続に従って権力が行使されること。そして、問題が生じた場合に説明責任が果たされないと民主主義は成り立たないと指摘をしております。そして、説明がなければ県民は闇に置かれ、またその説明責任が成り立たなければ為政者は責任を取らなければならないともしております。

 知事は、この「説明責任が果たされないと民主主義は成り立たない」との指摘をどう受け止めるでしょうか。答弁を求めるものであります。

 しんぶん赤旗が報じた自民党派閥の政治資金パーティー券収入の疑惑は、最大派閥「清和研究会」安倍派が巨額の資金づくりをしていた疑惑に発展をし、松野官房長官の更迭、ほか幹部五人の疑惑も表面化し、岸田政権の政治基盤を揺るがす大問題となりました。所属議員が販売ノルマを超えて集めた分の収入を政治資金収支報告に記載せず、議員側に還流させるキックバックが組織的に行われていたとされ、東京地検特捜部が政治資金法違反容疑で立件を視野に捜査する事態となりました。安倍派に所属していた馳知事は十二月六日、「適切に処理してきた」と記者団に述べましたが、その後、十二月九日の報道では「安倍派の大半の所属議員側がキックバックを受けていたと見られることが関係者の取材で新たに分かりました」とされ、当然、安倍派の閣僚経験者でもある馳知事にとっても説明責任が問われます。

 「適正に処理してきた」と説明した議員も、その後の疑惑が表面化している中で、改めて知事が衆議院議員時代にキックバックを受けていたのかどうか、またそれを証明するものは何か、明快な答弁を求めて、次の質問に移るものであります。

 物価高騰に暮らしの悲鳴が上がっています。今回の物価高騰がとりわけ県民生活にとって苦しく深刻な打撃となっているのは、自民党政治の下で三十年という長期にわたって経済の低迷と衰退、言わば失われた三十年で暮らしの困難が続いていたところに物価高騰が襲いかかっていることによるものであります。それは、岸田首相自らが九月二十五日の会見で、「長年続いてきたコストカット型の経済が賃金や設備投資までコストカットの対象として削ってきたことで、消費と投資の低迷(停滞?)を招いた」と指摘をし、「三十年ぶりに歴史的転換を図る」と強調せざるを得なかったことにも裏づけられております。

 経済の低迷と衰退の一つは、日本は世界でも特異な賃金が上がらない国となっているからであり、事実、我が国の実質賃金は一九九一年、平成三年から二〇二二年、令和四年にかけて〇・八八倍であります。県内の実質賃金は、一九九一年から二〇二〇年まではどのように推移しているでしょうか、お答えください。

 経済の低迷と衰退の第二は、重税と貧しい社会保障・教育であります。消費税は、社会保障のための名目で五%から八%、一〇%へと十四兆円もの大増税が行われたものの、増税分は富裕層、大企業減税などの穴埋めに消え、社会保障は年金、医療、介護など、あらゆる分野で負担増と給付削減が繰り返されました。介護保険料は、県の長寿社会プランによれば六十五歳以上の高齢者が負担する保険料、基準月額は導入当初の第一期で加重平均二千九百四十円から現在の第八期は六千三百四十九円と、実に二・二倍に跳ね上がりました。国民健康保険料は、国全体では一九九〇年は一人当たり年間六・二万円だったものが、二〇二〇年度には九・六万円と一・五倍であります。県内の一人当たりの国民健康保険料の同時期の推移はどうなっているのか、お示しをください。

 国民健康保険に関しては、今回の知事提案説明で「国の方針を受け、各市町の保険料水準の将来的な統一を目指す」と重大な表明がありました。しかし、二〇二〇年十二月に策定された県国保運営方針では、「本県では、市町の医療費水準や保険料水準に相当の差異があり、一斉に保険料水準を統一させることは、被保険者の保険料負担の急変を招くおそれがあることから、当面、保険料水準の統一を行わない」と明記されており、重大な方針転換と交代であります。国言いなりのそしりを免れず、国保運営協議会での議論を待つことなく、県として方向を出すのは乱暴ではないでしょうか。

 全国的にも保険料水準の統一には慎重であり、納付金算定時に各市町村の医療費水準を反映させない納付金ベースの統一を行っているのは僅か六府県、新たに五道県が採用する見通しと言われますが、少数派であります。県は、市町の保険料水準の統一によって、今でも高くて払えない人がいる保険料の負担が著しく増加せざるを得ないおそれをどのように認識をされているでしょうか、お聞かせをください。

 今必要なのは、国言いなりで保険料水準の統一に向けた準備を進めることではなく、全国知事会、全国市長会などが求めているように、加入者の所得が低い国保がほかの医療保険よりも保険料が高く、負担が限界になっている国保の構造問題の解決へ公費投入、国庫負担を増やすよう要望すると同時に、県として国保料を引き下げる支援をさらに強化することであります。見解をお聞きをいたします。

 また、国保運営協議会での議論だけでなく、県民や被保険者、医療関係者との直接的な意見交換の場を持つなど丁寧な対応が必要と考えます。併せて見解を伺います。

 少なくとも、今回のような関係者の意見を聞く場も持たず、上から保険料水準の統一に向けた準備を進める方向は撤回、凍結すべきと考えるものであります。知事の所見を伺うものです。

 世界一高い学費と貧しい奨学金制度によって、若者が背負わされている借金は総額十兆円にも上り、三十年間で七倍となりました。高学費の負担軽減は焦眉の課題であり、我が党は大学、専門学校の学費半減などを求めております。

 そこで、県が関わる県立大学、看護大学において、学費は何を基準に決められ、どのように推移をしてきているでしょうか。県立大学は一九九一年当時の農業短期大学から、看護大は創立当初二〇〇〇年からの推移をお示しをください。

 経済の低迷と衰退の第三は、食料エネルギーが自給できないことであります。食料自給率は、令和四年度カロリーベースで三八%と、この三十年余りで一〇ポイント近くも下落をいたしました。かつて、一九六五年にはまだ七三%の自給率を維持していたことから見ても、この間の自民党農政の失敗は明らかであります。

 県内食料自給率は、令和三年度生産額ベースで四三%、成長戦略ではこれを十年後に五五%にまで引き上げるとしていますが、三十年前の県内の食料自給率はどの程度だったでしょうか、お示しをください。

 あわせて、農業の振興のためには価格保障、所得補償が欠かせません。国に求めることが肝腎と考えますが、県の姿勢を併せてお聞きをするものであります。

 これら三つの要因を踏まえ、暮らしも経済もよくなるという、深刻な状況、閉塞感を打破する抜本的な方策が県としても求められます。我が党は、九月末に政治の責任による賃上げと待遇改善、消費税減税など三つの柱から成る経済再生プランを提唱しましたが、県においても三十年に及ぶ経済停滞、暮らしの困難を打開する立場で成長戦略の実践的な検証を行うよう、強く要望するものであります。

 関連して、公務の職場は民間よりも非正規の割合が高く、賃金格差も大きく、雇い止めも深刻だと指摘をされております。公務員削減、定員合理化によって、特に市民と直接接する業務で、人手不足を非正規や民間委託にしてきたためであり、新自由主義による公務の削減、パブリックを投げ出す施策がもたらしたものにほかなりません。

 とりわけ、県立図書館の職員の配置などの現状はどうでしょうか。知事部局移行前の平成二十八年十一月の総務企画委員会での答弁では、正規職員の割合は六〇・五%、約四割は非正規とのことでしたが、知事部局移行後の正規職員の割合、業務委託の現状など、またその考え方について県の所見を伺うものであります。

 来年度の診療報酬改定に当たり、財務省の諮問機関である財政制度審議会が、医療機関の人件費や設備関係費となる報酬本体の引下げを提案したことに大きな怒りの声が広がっております。医療法人の診療所が黒字となっていることを口実にしているようですが、日本医師会会長は十一月二十二日の記者会見で、「新型コロナ禍で頑張ったところから召し上げるのは、通常医療と両立して頑張った医療従事者の心が折れる建議。思い切ったプラス改定しかない」と語りました。県内の医療従事者からも、「コロナで重大な影響を受けている診療所の経営にさらにダメージを与える暴論」との声が上がっております。

 県として、診療報酬のプラス改定を行うべきと国に強く要望すべきではないでしょうか、見解を求めるものであります。

 十一月の九日、石川県医療労働組合――医労連は県に対して、母性保護、生理休暇アンケート結果を受けて母性保護推進の申入れを行い、私も同席をいたしました。今年八月取り組んだアンケートには、医療・介護で働く二百九十人の組合員が回答し、九割弱の人が生理による体調の不具合を訴える一方、生理休暇を取っている人はほとんどいないということでありました。その理由は、「周りが誰も取っていない」四五%、「仕事が多忙で雰囲気として取りづらい」三一%となっており、「生理休暇の名称も変更し、更年期障害も含め体調不良時に使用できる休暇にしてほしい」など、切実な声があふれております。

 そこでお聞きをいたします。県職員の生理休暇の取得の現状はどう把握されているでしょうか。特に医療・介護・福祉現場における生理休暇の取得の現状を、民間も含めて調査をすべきではないでしょうか、見解をお聞きするものであります。

 労働基準法第六十八条は、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合は、その者を生理日に就業させてはならない」とし、使用者からの申請は拒否できないとされ、有給での取得が望まれます。県内の医療・介護・福祉で働く労働者が生理休暇を取りやすくするよう、生理休暇の取り方の周知、根本的な解決策である人員不足の解消など、県として努力をすべきではないでしょうか、見解をお聞きするものであります。

 学校の部活動における体罰、暴言、ハラスメントの一掃に関してお尋ねをいたします。

 スポーツの指導現場は一般社会よりもセクシュアルハラスメントが起こりやすいと言われ、その理由として、他人の体に触れる機会が多いこと、合宿や遠征などで他人と共有する時間が長いことが指摘をされております。とりわけ、学校の部活動では、指導者は大人、競技者は子供と主従関係が強く、指導者は誰をレギュラーにするか決定権を持つなどしており、そうした人から嫌だと感じることをされたとしてもなかなか言い出せず、よほどの意識的な取組がなければセクシュアルハラスメントを見過ごすことになりかねません。

 スポーツ庁は二〇一八年三月、運動部活動の在り方に関する指針をまとめ、生徒の心身の健康管理や事故防止、体罰、ハラスメントの根絶を徹底する指導を改めて呼びかけております。この指針を受けて、部活動におけるセクシュアルハラスメントの一掃へ県教育委員会としてはどのような取組を進めてきたのか、相談窓口の設置、匿名での相談を受け付けるなど、今後の取組の強化をどう進めようとしているのか、告発した人への二次被害を防ぐための方策などについて見解をお聞かせをください。

 九月議会予算委員会質疑で取り上げた特別支援学校の通学区域の見直しに関してお尋ねをいたします。

 この目的は、「いしかわと明和特別支援学校両校の教育環境の改善を図るため」と説明をされました。しかし、「通学時間が長くなり、その支援のために仕事を辞めざるを得なくなる」、「慣れ親しんだ放課後等デイサービスも変更になる」など、教育環境の悪化につながる生徒と保護者が生まれるという矛盾に直面をしております。

 教育長には、通学区域の見直しによって教育環境の改善につながらなくなる懸念があると、そういう認識はあるでしょうか、見解を求めます。

 問題の根本には、支援が必要な児童生徒の増加に学校整備が追いついていないことにあるのは明白であり、全ての市に特別支援学校か分校を設置する計画を持つことが必要であります。見解を求めると同時に、せめて今問題となっている明和特別支援学校のマンモス化解消へ学校ないし分校新築の対応策を検討すべきと考えます。併せて所見を伺うものであります。

 最後に、JR金沢駅前の都ホテル跡地などの再開発に関してお聞きをいたします。

 都市再生特別措置法の活用に関し、村山金沢市長は「都市再生緊急整備地域への候補地は金沢駅から片町に至る広大な都心軸にする」と表明し、金沢都ホテル跡地は都市再生特別地区に位置づけられるとされています。都市再生特別措置法は、大規模開発、高さ制限撤廃などの規制緩和、民間投資の拡大を進めるものであり、住民合意が後回しにされ、生活環境の破壊にもつながることが懸念をされております。

 金沢市は、その歴史と伝統文化を踏まえ、関係者との協議などの積み重ねを経て高さ制限などが生まれ、二〇〇九年には金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例が制定をされ、景観に関する金沢での基本条例とされております。知事は、この条例の意義をどう認識されているのでしょうか、お答えをください。

 加えて、知事の言う県の役割として、県としての都市計画決定に当たっては、拙速に陥らず、利権優先を戒め、地元住民や関係者との合意を重視し、関係する金沢の景観条例の精神を尊重することが求められます。県の姿勢を伺い、全ての質問を終わるものであります。

◎副議長 馳知事。

◎知事(馳浩君)佐藤正幸議員にお答えをいたします。

 東京オリパラ招致に関する発言について御質問がありました。まず、IOC倫理規程第四条については、その条文中にうたわれているとおり、オリンピック関係者の公正さと高潔性に疑いが持たれるようなものであってはならないことを目的に設けられたものと理解しております。当時、私は自民党の五輪招致推進本部長として、この規定にのっとって招致に取り組んでおりました。

 次に、十一月十七日の日本体育大学の連携自治体フォーラムでの東京オリパラ招致に関する発言について、複数の事実誤認、また言葉足らずがあることを私自身で確認をしたため、誤った事実が報道を通じて拡散することは本意ではないことから、その日のうちに全面撤回したものであります。撤回した内容についての発言は控えたいと思います。

 したがいまして、東京オリパラ招致に関わることについては、私のブログの内容も含め控えさせていただきたいと思っています。

 最後に、衆議院議員時代に販売したパーティ券については、政治資金規正法に基づいて適切に処理されたものと認識をしております。

 続いて、国民健康保険について国庫負担の拡充を国に要望してはと、それから県として保険料引下げ、さらに支援することが必要という御指摘についてお答えをいたします。県は国民健康保険財政の安定化のため、毎年多額の財政負担を行っております。さらなる被保険者や市町の負担軽減を目的として、税により国民健康保険以外の方にも新たな負担を求めて県独自の支援を行うことは考えておりません。

 国民健康保険が抱える構造的な問題の抜本的な解決に向けては、個々の自治体の取組だけではおのずと限界があることから、国全体の問題として検討すべきものであります。これまでも全国知事会を通じて、国の責任において検討するよう要望してきたところであります。引き続き、国に働きかけてまいります。

 国に対し、診療報酬のプラス改定を行うことを要望すべきという御指摘にお答えをいたします。令和六年度の診療報酬改定については現在、全国知事会も委員となっております国の社会保障審議会において基本方針が取りまとめられました。今月下旬ごろには、内閣が診療報酬の改定率を決定し、来年一月から具体的な診療報酬の点数に係る調整、審議が行われる流れと承知しております。

 こうした中、県では国に対し、診療報酬による介護職員等の処遇改善と被保険者等に過度な負担が生じないための国による財源措置について、全国知事会を通じて要望をいたしております。

 最後に、都市再生特別措置法と金沢のまちづくりについて御質問がございました。金沢市は昭和四十三年に伝統環境保存条例、平成元年に都市景観条例、平成二十一年に金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例を制定し、市民や事業者などとの協働による美しい景観づくりを推進されています。これらの条例に基づく様々な景観施策により、文化庁の重要文化的景観に「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」として選定されるなど、金沢市ならではの景観施策は金沢市のまちづくりに重要な役割を果たしていると認識しています。

 一方、今般、都ホテル跡地の開発に当たって活用することとなった都市再生特別措置法の手続は、第一段階として金沢市が国、県、学識経験者などが入る準備協議会を設置し、都市再生緊急整備地域の素案を策定し、国から指定を受け、次いで第二段階としては、指定地域の一定のエリアを都市再生特別地区に設定するため、金沢市が開発者の意向を踏まえ、その地区の原案を作成し、国土交通大臣の同意を得て、それを最終的に県が都市計画決定するという仕組みであります。

 このように、特措法の手続はあくまでも金沢市が主体となって進めていくこととなっており、特措法の趣旨や金沢市の景観施策などのまちづくりの方針を踏まえて具体の対応がなされていくものと考えています。

 県としては、金沢市と連携し、特措法に基づく県の役割を果たしていくことになります。

 残余の御質問については担当部長より答弁をさせていただきます。

◎副議長 内田総務部長。

◎総務部長(内田滋一君)私からは二点お答えいたします。

 まず、県立大学と県立看護大学の学費の推移等についてお尋ねがございました。県立二大学の授業料は、国立大学や他の公立大学の状況に準じて設定しておるところでありまして、県立大学につきましては農業短期大学時にはおおむね国立の短期大学に準じた授業料の設定がされておりまして、平成三年度は年額二十四万八千四百円、その後おおむね二年置きに改定をいたしまして、農業短期大学としての最終年度となる平成十七年度は三十七万九千二百円となっていたところでございます。また、県立大学として四年制となった平成十七年度は、国立大学の標準額と同額の五十三万五千八百円に設定をされまして、その後、現在まで同額となっております。

 看護大学につきましても国立大学と同額となっておりまして、開学した平成十二年度は四十七万八千八百円に設定され、その後、複数回の改定を経て、平成十七年度以降は県立大学と同様に五十三万五千八百円となっております。

 次に、県職員の生理休暇取得の現状ということでございます。県職員の生理休暇につきましては、条例に規定をされており、勤務が著しく困難との事由があれば必要な期間の有給休暇を取得することができることとなっております。休暇の取得の現状につきましては、知事部局において昨年の取得者数が二十四人となっておりまして、近年、増加傾向となっているところでございます。

 引き続き、休暇制度の周知に努めるとともに、必要な職員が適正に取得できるような職場環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

◎副議長 酒井県民文化スポーツ部長。

◎県民文化スポーツ部長(酒井雅洋君)県立図書館の正規職員の割合等についてお答えをいたします。

 新県立図書館の開館に当たりましては、施設規模の拡大やサービスの向上に適切に対応するため、正規職員、非正規職員、業務委託のそれぞれの役割を整理し、運営体制を整えたところであります。具体的には、図書の選定や相談対応など専門性を要する業務や魅力ある図書館としてにぎわいを創出するための多彩なイベントや展示の企画運営などは正規職員が担うこととし、貸館業務やイベントなどの補助業務については非正規職員が行うことといたしました。そして、窓口業務や図書の整理作業といった定型的な業務は外部委託を導入することといたしました。それぞれの業務量に鑑み、必要な人員を配置したところであり、現在、職員の七六%が正規職員となっており、また専門的な司書業務に携わる職員については全員が正規職員となっております。

 引き続き、図書館職員の専門性を確保しながらサービスの向上に努めてまいります。

 以上です。

◎副議長 柚森健康福祉部長。

◎健康福祉部長(柚森直弘君)国民健康保険料の一九九〇年度から二〇二〇年度までの間の推移についてお答えします。県内の一人当たりの年間の国民健康保険料については、一九九〇年度は七・二万円でしたが、年々上昇しており、二〇二〇年度には十・一万円と、三十年間で約一・四倍となっております。

 次に、保険料水準の統一により、被保険者の負担が増加する実態への認識についてお尋ねがありました。保険料水準の統一は、同じ所得水準、世帯構成であれば県内で同じ保険料とするものであり、一般的に医療費が相対的に低い市町においては統一によって保険料が上がることとなります。一方で、長期的な視点に立つと、今後、保険料を主に負担する現役世代が減少することにより、過疎・高齢化が進む市町ほど単独では増嵩する医療費を賄い切れなくなるおそれがあります。そのため、県内全体で支え合い、保険財政を安定的に運営するため、保険料水準の統一を図ることが必要になってきているものと認識をしております。なお、他のほとんどの都道府県でも統一を目指す方針が示されているところでございます。

 保険料水準の統一には丁寧な対応が必要ではないか。また、撤回、凍結すべきと考えるかどうかとのお尋ねがありました。保険料水準の統一を目指すこととした国保運営方針案については、これまで市町と協議を重ね、県、市町間の共通認識の下、先月二十七日に石川県国民健康保険運営協議会にお諮りをしました。この運営協議会は、被保険者や医療関係者も委員に名を連ねており、統一を目指すことについて委員の皆様の御理解をいただくととともに、統一に向けた取組は早めに進めたほうがよいといった御意見もいただいたところです。今後はパブリックコメントを実施し、広く県民の皆様の御意見も参考とすることとしております。

 県としては、保険料水準の統一に向けて被保険者の負担の急増とはならないよう、市町等と丁寧に認識を合わせながら議論を具体化してまいります。

 次に、医療・介護・福祉現場における生理休暇取得の現状の調査と、生理休暇の取得方法の周知や根本的な解決策についてお尋ねがありました。生理休暇の取得状況の調査については、国が実施しているため、県で調査することは考えておりませんが、生理休暇に限らず、休暇を取得しやすい職場づくりは重要であると考えております。国では、企業や働く女性向けに「働く女性の心とからだの応援サイト」を開設し、生理休暇制度をはじめ健康管理に関する情報などの周知啓発を行っており、県としてもこうした情報を事業所等に周知してまいりたいと考えております。

 また、県ではいしかわ魅力ある福祉職場認定制度を設け、休暇の取得促進や労働時間縮減など安心して働くことができる魅力ある職場づくりに取り組み、職員の定着にもつなげているところです。

 今後とも、医療や介護・福祉分野の女性従業者が安心して働き続けられる職場環境づくりに努めてまいります。

 以上です。

◎副議長 光永商工労働部長。

◎商工労働部長(光永祐子君)私からは県内の実質賃金の一九九一年から二〇二二年にかけての推移についてお答えいたします。

 国の毎月勤労統計調査及び消費者物価指数により算出したところ、二〇二二年の本県の実質賃金は一九九一年に対し、〇・八七倍となっております。

 以上になります。

◎副議長 竹沢農林水産部長。

◎農林水産部長(竹沢淳一君)農業問題についてお答えをいたします。

 まず、本県の食料自給率について、国が都道府県別の自給率の公表を始めた平成十年で申し上げますと、生産額ベースで六五%でありました。

 次に、価格保障につきましては、行政が価格に関与することにつながることから、受給が適切に価格に反映されず、需要に応じた生産が行われなくなるおそれがあると考えております。

 一方で、所得補償につきましては、価格の大幅な変動や自然災害など農業者の経営努力では避けられない影響を緩和するため、国は全ての農産物を対象に収入減少を補塡する収入保険、野菜の販売価格が基準を下回った場合に差額を補塡をする野菜価格安定制度などの制度を設けているところであり、引き続き国に対して、食料自給率の向上に向け、農業者が将来にわたり安心して営農できる対策を講じるよう要望してまいります。

 以上です。

◎副議長 北野教育長。

◎教育長(北野喜樹君)私からはまず、部活動におけるセクシャルハラスメントについてお答えをいたします。県教育委員会では、初任者研修や三年目、六年目、中堅の教員を対象とする服務規律研修において、別枠の時間を設けまして児童生徒に対するセクシャルハラスメントの防止について指導を行っております。さらに、部活動の顧問や部活動指導員に対しては、研修会や会議などにおいて体罰やハラスメントは決して許されるものではないことを指導をしているところであります。また、学校では個別面談や児童生徒、保護者へのアンケートなどを通じて学校生活の安全・安心の確保に努めているところでありますが、セクシャルハラスメントに関する相談があった場合には、まずは児童生徒の訴えを否定せず、心情に配慮しながら端的に聞き取りを行うとともに、相談したことで不利益が生じることのないよう秘密保持を徹底し、二次被害の防止にも配慮することとしております。また、児童生徒の相談窓口として二十四時間子供SOS相談テレホンのほか、いしかわ性暴力被害者支援センター――パープルサポートいしかわにおいて児童生徒の悩みを受け止めておりまして、匿名での相談も受け受けているところであります。

 児童生徒に対するセクシャルハラスメントは決して許されるものではなく、根絶に向けて、今後とも様々な機会を通じて教職員の服務規律の確保を徹底してまいりたいと考えております。

 次に、特別支援学校の通学区域見直しについてお尋ねがございました。県教委では、いしかわ特別支援学校知的障害教育部門高等部の新校舎を建設するとともに、明和特別支援学校との通学区域を見直すことによって、児童生徒数が増加している両校の教育環境の改善を図っていくこととしております。個々の保護者の方には様々な要望があることは承知をしておりまして、通学区域の見直しにより、児童生徒や保護者の方に過度な負担がかからないよう、今後とも保護者の要望に耳を傾け、対応できるかどうかも含めまして検討するとともに、保護者に対して丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。

 また、特別支援学校の設置や明和特別支援学校についてのお尋ねがございました。県教委では、これまでも地域の実情を踏まえながら、特別支援教育を必要とする児童生徒の教育環境の充実に努めてきたところであります。そのため、県央地区では平成十八年度にいしかわ特別支援学校の肢体不自由教育部門を、さらには平成二十年度に同校に知的障害教育部門を設置するなど、特別支援学校への通学を希望する児童生徒数の増加に対応し、能登地区では平成十七年度に七尾特別支援学校珠洲分校を、二十年度には同校輪島分校を設置し、長時間通学の解消にも努めてきたところであります。

 議員お尋ねの明和特別支援学校については、先ほど答弁いたしましたとおり、いしかわ特別支援学校の新校舎を建設するとともに、明和特別支援学校との通学区域を見直すことで両校の教育環境の改善を図っていくこととしております。

 今後とも、特別支援教育を必要とする児童生徒数の推移を注視しながら適切に対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 〔佐藤正幸君発言を求む〕

◎副議長 佐藤正幸君。

◎佐藤正幸 知事に再質問をしなければなりません。

 五輪招致をめぐりまして、思い出アルバムについてのブログについては知事は撤回をされておりません。私はそれぐらいはお答えになるのではないかと思っていたんですけれども、それが説明責任を果たしていないということで県民に納得されないと思います。私は、官房機密費を使っていないのであれば「使ってない」、一冊二十万円のアルバムが金額も含めて違うんだったら「違います」と、それが説明責任だというふうに私は思うんです。なぜ答えられないのか、なぜ舌足らずなのかということをなぜお答えできないんでしょうか。私には理解できません。民主主義の根幹に関わる問題です。

 改めて、思い出アルバム、ブログに書かれたものは一体何だったのか、それぐらいはお答えできるんじゃないでしょうか。再質問、知事、答弁よろしくお願いいたします。

◎副議長 馳知事。

◎知事(馳浩君)五輪招致に関する私の日体大の講演における内容について全面撤回いたしましたので、改めて発言することはまずいたしません。

 その上で、当時の私の立場、役割、これについてはやはり県議また県民の皆様にもお伝えをしておく必要があると思って発言をいたします。三点ございます。

 私は自由民主党の五輪招致本部長を務めておりました。したがいまして、自由民主党の予算を使って五輪招致の活動をいたしました。

 二点目は、私の立場は国会議員であるとともにオリンピアンでありました。したがいまして、IOC委員の皆さん方からすれば、同じ仲間のオリンピアンが国会議員としてどのような活動をしているかということについて、イスタンブール、マドリードとともに招致を目指している中で極めて特異な存在として受け止めていただき、とりわけ関心を持っていただいたのは、二〇一二年に私が議員立法として成立をさせていただきました放射性物質処理(汚染対処?)特別措置法の立法についてでありました。皆さん方御承知のように、東日本大震災における事案において、本来なら放射線管理区域以外に放射性物質が漏れないという前提で、いわゆる原発政策が進められておりましたが、当時、漏れてしまいました。漏れた放射性物質をどうやってモニタリングをして、どうやって集めて、どうやって最終処理をするという法律はありませんでした。したがいまして、その議員立法に事務局長として携わった私の立場についてIOCの皆さん方に、我が国は法律に基づいてこうした処理をしているということを伝えたものであります。

 三点目に、このIOCの倫理規定を遵守することは当然のことでありました。いわゆる思い出アルバムという、私のブログでも削除しておりません。その理由は、私は参考資料として数冊作成したことは事実であります。

 以上であります。

 〔佐藤正幸君発言を求む〕

◎副議長 佐藤正幸君。

◎佐藤正幸 思い出アルバムについて具体的な言及があったことは大変大事だったというふうに思っておりますけれども、今までそういう説明をしてこなかったことが私は政治不信を広げてきていると思うん

 どうですか、この問題通じてやっぱり政治不信が広がって、自ら説明責任が今まで不十分だったということを、と私は思います。その点についての知事の認識を最後にお尋ねをしておきたいと思います。

◎副議長 馳知事。

◎知事(馳浩君)議場において、県民を代表する議員から御指摘をいただいたことに誠実にお答えをしたつもりであります。  以上です

▲ このページの先頭にもどる

© 2013 - 2024 SATOU MASAYUKI