定例会

2023年9月定例会 最終討論

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 2023年9月定例会の最終日の本日、議会議案と知事提出議案・請願について討論しました。

 日本共産党は3号の反対討論と、3つの提案者として賛成討論を行います。

 反対する3号(※除雪業務における時間外労働の取り扱いに関する意見書)について

 厚生労働省労働基準局の「建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A」によれば、「国や地方公共団体等からの要請…等に基づき除雪作業を行う場合…」「法第33条第1項の対象となる」と明記されています。すなわち、現状においても、除雪作業については、労働時間の上限規制の適用を猶予することができると読み取れます。実際にやむを得ず、労働時間を延長して除雪業務にあたった場合には、労働基準監督署長への許可申請・届出にもとづいて、労働者に所定の賃金が支払われることが期待されます。
 同時に、意見書案で「時間外労働の上限を規定することは、大変重要で意義深いものである」と明記されているとおりであり、中小建設・土木業者への委託契約基準の改善を図るなどして、労働時間の上限規制の適用猶予を行わなくてもいい環境づくりへ、国や地方自治体が支援をすることが必要ではないでしょうか。   
 この見地から、この意見書は、労働時間を超えた作業をしなければならない現状を固定化することにつながりかねないことから、賛同できません。

 提案する4号(※東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出中止を求める意見書)について。

 政府は国際原子力機関(IAEA)の「お墨付き」をもらった、と繰り返しますが、、IAEAは、政府が海洋放出方針を決定した後に、政府の依頼で審査したものであることから、審査範囲は限られ、政策決定においての評価も含まれておりません。民間シンクタンクからは、海洋放出せずに済む代替(だいたい)案、すなわち、すでに米国の核施設で実施されているモルタル固化、さらに石油備蓄などで実績のある大型・堅牢(けんろう)なタンクに長期保管し、トリチウムの半減期12.3年を経てその減衰を待つ案について、評価をしていないのであります。
 何より、IAEAの報告書は、「方針を推奨するものでも 承認するものでもない」と強調していることに目を向けなければなりません。福島県漁連、全国漁業協同組合連合会は「漁業者・国民の理解を得られない海洋放出に反対であることはいささかも変わるものではない」と表明していること、燃料デブリに触れた水を海洋放出するのは、世界で初めてであることから、社会的な理解を得られていない、などの点から、各位の賛同を求めるものです。

 次に提案する第5号(※重要土地等調査法の廃止を求める意見書)について。

「土地利用規制法」とも言われるこの法律にもとづき、県内でも「特別注視区域」「注視区域」が指定されました。
 しかし、軍事の「中枢」である防衛省市ヶ谷庁舎は、「特別注視区域」でなく「注視区域」となり、その理由に「『経済的社会的観点から留意』するとの規定」によるとのことですが、二重基準=ダブルスタンダードではないか、とも指摘されています。
 この法律の「立法事実」として政府は、外国資本による不動産購入を契機とする不安、リスク、懸念をあげていましたが、実際には政権側の都合が優先されており、区域指定自体が無意味ではないか。
 住民を監視対象にして財産・プライバシー権を侵害する、基本的人権無視の違憲の法律と考えます。各位の賛同を求めます。

 最後に提案する第6号(※食料自給率向上を柱に据え、農政の基本方向の転換を求める意見書)について。

 「食料自給率向上だけではない」などの声も聞かれますが、旧農業基本法以来、自給率は一貫して右肩下がりに低下し続けています。「自給率向上目標」が単なる閣議決定にされ、法的拘束力をなくしたことなど、この間の農政の検証・総括がないまま、食料自給率を単なる一指標にしてしまう方向には未来はありません。
 各位の賛同を求め、討論を終わります。

知事提出議案・請願討論 

(1)知事提出議案について

 日本共産党は、補正予算には不十分な点もありますが賛成しますので、知事提出議案第3号・「成長戦略」への反対討論を行います。

 第一の理由は、14の主要目標のひとつに「全国学力調査の平均正答率」70%以上が、掲げられたまま提案されたことです。
 先の6月議会でもとりあげたように、過度な競争を強いることにならないか、などの視点からの意見が、関係部会でも、パブリックコメントでも出されていたにも関わらず、削除されませんでした。
 子どもたちが求めていることは、自分が自分であっていい、と思えるように、そのためにも先生と子どもたちの距離を縮める少人数学級を更に推進すること、そして学校やクラスの枠に押し込むのではなく、1人ひとりの子どもたちの悩みによりそい、個性や尊厳を大切にする教育をすすめること考えます。そうしてこそ、こどもたちも学校に行くのが楽しみになる。
 本来、KPIにある「自己肯定感の高い児童生徒の割合」を増やすことを、主要目標に掲げるべきではなかったでしょうか。
 夜間中学の開設、30人学級への前倒し実施などすすめてきた、文部科学大臣経験者の知事だからこそ、そういう決断をすべきではなかったかと、大変残念です。

 第2は、馳知事のいう「谷本県政の発展と継承」の言葉どおり、従来の県政運営の枠をでない内容だからです。

 予算委員会質疑でも指摘したように、志賀原発再稼働を前提としていては、再生可能エネルギー導入・カーボンニュートラルの推進の本気度も問われます。この分野の目標を引き上げ、新たな産業と新たな雇用を作り出していくことなどが求められます。
 経済政策でもトリクルダウンの域を出ないものであり、中小零細企業の賃上げへの直接支援、省エネの住宅・店舗リフォーム制度の抜本的拡充等も明記すべきでした。

 日本共産党は、県政における野党の立場でこの「成長戦略」を検証し、その転換を求めて努力するものです。

(2)請願について

 次に、紹介議員として請願4件の賛成討論を行います。

 4、5、6号は国への意見書提出を求めるものであり、4号は目前にせまった、消費税インボイス制度の実施中止を求めるものです。

 県内でも、取引先からインボイスの登録をしてほしいと言われる、それをしなければ取引先が消費税を負担しなければならないことから、その分値引きをしろと言われる…「地獄の二者択一」を迫られる事態となっています。「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が呼び掛けている反対署名は、9月26日現在53万人を超え、日本のオンライン署名としてはこれまでの最多を更新し続けている、とのことです。

 5号は、ケア労働者の処遇改善などを求めるものであり、今年6月の富山県議会では、同趣旨の意見書が、自民党含め全会一致で採択されているものです。
 とりわけ看護職員の「処遇改善評価料」は、救急搬送件数が年200台以上の医療機関と限定され、訪問看護ステーションが対象外とされるなどで、看護職員168万人のうち35%しか対象にならないことから、その改善が求められます。

 6号は、健康保険証の廃止の中止・延期を求めるものであり、 全国保険医団体連合会が行った、マイナ保険証・オンライン資格確認トラブル事例アンケート 第2弾の最終集計結果によれば、39都道府県・978医療機関で、健康保険証の券面(けんめん)と異なる窓口負担割合が表示された、とのことです。マイナ保険証のシステムを導入した医療機関では、「紙の保険証も持参してください」と呼びかけることが当たり前になるなど、いったいなんのための保険証とマイナカード一本化なのか。
 マイナカードになんでもひも付けしているのは、G7では日本だけであり、イギリスはIDカードを導入したものの、個人情報流出の懸念から廃止になった歴史を持っています。
 河野デジタル大臣は、「混乱しているので、マイナンバーカードの名前を変える」とまで言い出しており、現行の保険証の存続が最も簡素で確実ではないでしょうか。
 各位の賛同を求めます。

 最後に、7号、学校給食無償化・地場産有機米の学校給食を求める請願について。

 「しんぶん赤旗」の調査では、今年度小中学校の給食費を無償にする自治体が493自治体にのぼっています。
 有機米の活用について、教育委員会の調査意見では、「本県の有機農産物の生産量は、全国同様、ごく僅かであり、給食に使うほどのまとまった量を確保するのは容易ではない」とありました。
 しかし、一方では、県内の特別栽培米の生産者側からは、「作った米を買ってくれるところを見つけたい」と、安定的な供給先を求めているのが実態ではないでしょうか。
 この両者の問題を解決する道は、特別栽培米など有機米の安定的な販路として、学校や保育所の給食を位置付けることであり、有機栽培を拡大している地域では、自治体がそれを後押しして、県教育委員会のいう「相当のハードル」と見えるものを乗り越えていると考えます。
 この点からも各位の賛同を求め、討論を終わります。

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