◆佐藤正幸 委員 一般質問ができなかったこともありますので、日本共産党を代表して質疑を行います。
最初に、統一協会と知事との関係をお尋ねしなくてはなりません。さきの9月議会において、知事は統一協会や関連団体との関係については、「宗教団体も含め多くの団体から支援の申出をいただいてきており、旧統一教会や関連団体もその一つ」、「一定の距離を取りながら申出があれば応援を受けてまいりました」と答弁されておりましたが、その後、報道によれば共同通信社のアンケートに「選挙支援を受けたことがあるか」との質問に「分からない」と回答したとありました。
議会答弁どおり、選挙支援を「受けたことがある」と答えるのが筋だと思いますけれども、なぜ議会答弁と違う回答をしたのか、お答え願いたいと思います。
◎馳浩 知事 9月議会においては、「過去の選挙では宗教団体も含め数多くの団体から支援の申出をいただいており、旧統一教会や関連団体もその一つと認識している。こうした団体とは一定の距離を取りながら、申出があれば応援を受けてきた」と、その旨答弁をいたしました。一方、今回のアンケートでは、選挙支援の有無のほか、支援の時期や内容についても聞かれており、これらについては把握しておりませんので、「分からない」と回答したものであります。
◆佐藤正幸 委員 じゃ、確認ですけれども、「一定の距離を取りながら申出があれば応援を受けてまいりました」と、これは事実という理解でよろしいんですか。
◎馳浩 知事 一般論で申し上げますけれども、支援の申出があればありがたく支援をいただいてきたというふうに認識をしておりますし、選挙中のことは恐らく佐藤委員もお分かりのように、いろんな支援者の団体、個人の方からの申入れがございますので、事務所のほうで対応をさせていただいていたものと、こういうふうに認識をしております。
◆佐藤正幸 委員 一般論という言葉が最初に来るのがいま一つよく理解できない面はあるんですけれども、時間の関係でこれ以上突っ込みませんが。
同じく共同通信社のアンケートに、統一協会関係の行事や会合、集会には「秘書らが代理出席したことがある」と回答したものの、国会議員時代のことだということで、会合の名称や時期は「当時の資料がなく、分からない」と回答されたと、これも報道です。しかし、これも9月議会で指摘したように、関連団体の天宙平和連合が日本国内12か所で開いた祖国郷土還元日本大会という大会において、名古屋大会に祝電の送付者として当時の馳浩文科副大臣の名前があると。これは韓国統一協会のホームページで紹介をされているということで、しんぶん赤旗が2006年6月25日付で報じています。
関連団体に当時の文科副大臣名で祝電を送付したと、このことはお認めになるでしょうか、明快にお答えください。
◎馳浩 知事 まず、旧統一教会や関連団体への祝電等につきましては、私の個人事務所にも確認をいたしましたが、当時の記録が残っていないため、「具体的に把握しておりません」と、こういうふうにお答えをしたと聞いております。
◆佐藤正幸 委員 なかなか事実をお認めになりませんので非常に残念なんですけれども、国会では被害者救済法が成立しましたけど、これで終わりにはできませんし、とりわけ自民党と統一協会との癒着の関係は引き続き解明してうみを出すと、出し切るというところまでが必要だというふうに思って、次の質問に移りたいと思います。
新型コロナウイルスの新規感染者が増えて、インフルエンザとの同時流行というおそれが現実味を帯びてきましたけれども、議案説明ではいささか危機感が私は感じられないと感じております。
第7波の教訓をどう生かすのか、その立場から幾つかお尋ねしますが、国が全数把握をやめて県がそれに追随した結果、感染がどこでどう広がっているのか、県内の傾向が県民には非常に分かりにくくなっていると思います。
そこで、今の感染の傾向を数だけではなくて、県民に分かりやすく発信し、対策を喚起する記者会見などを行う必要があるというふうに私は思いますけれども、部長の認識はいかがでしょうか。
◎永松聡一郎 健康福祉部長 県ではこれまで、感染状況に応じて新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催し、県内の感染状況や医療負荷の状況など、グラフや図を用いて分かりやすくお知らせするとともに、県民の皆様に向け、感染防止対策の徹底など必要な対策を呼びかけてまいりました。加えて、月1回行っている知事の定例記者会見や県のホームページ、新聞広報などを通じて、感染状況や感染対策について随時発信を行っているところであります。
引き続き、様々な工夫を凝らしながら、県民の皆様に対して分かりやすく効果的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。
◆佐藤正幸 委員 どこでどう広がっているのかということをもう少し具体的に示していくことが県民の対策を喚起することにもつながると私は思います。
それで、国も県も発熱外来を受診できる対象者を高齢者などに絞って、それ以外の患者については自己検査を行って自宅療養を進めると。療養の考え方の転換というものを進めているようですけれども、私は本来、こういう医療のアクセスを制限するのではなくて、医療提供体制そのものを抜本的に充実強化をするということが政治の責任と思います。その点で、県民には抗原検査キットの活用を呼びかけていると思います。ただ、これはまだ有料で、購入も自己努力に任せられているのが実情だと思います。
大阪では子供の無料配布に続いて、64歳までの府民へ無料配布を始めたと思います。我が県の抗原検査を必要とする方に必要な量が無償で配布されるような対応が必要だと考えますけれども、県としての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
◎永松聡一郎 健康福祉部長 抗原検査キットは現在、薬局やインターネットなどで購入可能となっております。県では、検査を必要とする方が必要な検査を受けることができるよう、医療機関や高齢者施設などに抗原検査キットを無償で配布しております。具体的に申し上げますと、医療機関に対してはこれまで約10万回分の抗原検査キットを配布し、受診前に患者さんに自己検査を行ってもらうことで発熱外来が逼迫しないよう取り組んでおります。また、高齢者施設などに対しましてもこれまで約40万回分を配布し、週2回程度、職員の方の一斉検査を行っているほか、感染が疑われる入所者や利用者の方に対して、速やかに検査を行っていただくことで感染の早期発見、蔓延防止に努めているところであります。また、同居の御家族の方などが感染し、濃厚接触者となった方につきましても御希望に応じて抗原検査キットをお配りしている状況であります。
◆佐藤正幸 委員 症状がない方は薬局で無料検査が受けられますけど、症状のある方は受けられない。そして、病院に行かざるを得ない。そこで、発熱外来が逼迫をするというのが第7波の教訓だったと私は思います。そういう点では、症状があるなと思った方がやっぱり手元に抗原検査があるような、あるいは注文して届くような、そういう仕組みが私は必要なのではないかなというふうに思いますので、ぜひ御検討お願いしたいというふうに思います。
それでもう一つは、現在においても医療機関はそもそも看護師不足なので、そこに加えて感染拡大で看護師の方が出勤できなくなる。病床を閉鎖せざるを得なくなっております。それは病院の減収に直結します。そこに加えて、今、燃料費の高騰が病院経営を圧迫しております。
11月に県の民主医療機関連合会が知事宛てに要望を行いまして、電気料金が法人全体で昨年約3,550万円程度が今年約2倍、7,000万円ぐらいになると見込まれておりまして、もはや個々の事業所における経営努力だけでは対応できないということで、県の財政支援を求めました。
県の医師会、そして県の病院協会も同趣旨で国の地方創生臨時交付金における電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金6,000億円、これを活用して財政支援を要望していると思います。しかし、今回の補正予算にはそのことが反映されておらず、「患者に価格転嫁できず苦しんでいる下で、省エネ投資したところへの補助というのではあまりにも現場を見ていないのではないか」と、そういう失望の声が上がっております。
私は直ちに補正予算を組み直して、医療機関や介護事業所への財政支援を県として行うべきだというふうに思いますけれども、ここは大事な点ですので知事の直接の御答弁求めたいと思います。
◎馳浩 知事 ウクライナ情勢を背景とした原材料価格の上昇や円安などの影響により、電気料金などエネルギー価格が急激に上昇する中、収入が公定価格となっている医療・社会福祉施設は物価高騰分を価格転嫁できず、厳しい経営状況にあると承知しております。さらに、来春からは電気料金の大幅な値上げも見込まれております。
県といたしましては、こうした負担が利用者に転嫁されることなく、質の高いサービスを維持できるよう、全国知事会を通じて国に対し、公定価格の早急な改定など全国一律の対策を求めております。一方、県としてはコスト高にも対応できる経営体質への転換を促す観点から、一時的な補填というよりは継続的に効果が出るような取組として、冷暖房の整備、照明のLED化等の省エネ設備導入に対する緊急支援を行うこととし、今議会に予算をお諮りをしております。
今後、できるだけ速やかに幅広い施設に支援が行き届くように、しっかりと制度の周知や利用の働きかけを行ってまいりたいと存じます。
◆佐藤正幸 委員 非常に残念ですけれども、10月20日現在、既に15の都道県で医療機関への財政支援が行われております。1床何万円とかという形で。ぜひ真剣な検討を求めておきたいというふうに思います。
次の質問に移ります。
これも基本的な認識を知事にお尋ねしようかなと思っておりますが、物価高騰、県民生活の悪化が深刻になっております。この物価高騰の最大の原因の一つは、異常な円安だと。しかし、日銀はこの異次元の金融緩和政策を維持すると。これでは私は異常円安と物価高はさらに進むことになるというふうに思っております。
そういう点で私は、この間やってきたアベノミクスの金融政策、これそのものがもう手詰まりになっているんじゃないかと、そういうふうに思います。その原因をしっかり認識することが大事だと思いますので、知事はどんなふうにこの点を認識されているか、お願いします。
◎馳浩 知事 コロナ前までは、ある意味でのアベノミクスの金融政策というのは一定の効果を発揮してきたという認識はまず持っております。その上で、政府の経済対策や日銀の金融政策について評価する立場には今ございませんが、現在の物価高騰は御指摘の円安も一要因ではありますが、ウクライナ情勢によるエネルギーや食料品などの価格上昇をはじめ、様々な要因によるものと認識しております。また同様に、円安の要因についても日米の金利差のみならず、様々な要因が影響するものと認識をしております。
我が国の金融政策については、日本銀行が独立性を持って運営しているところであります。日本銀行は、「日本経済がコロナ禍からの回復途上にある中で、企業の収益が拡大し、賃上げ率が上昇することで物価が上がっていくという好循環が一番好ましいことであり、それを目指して現在の金融緩和政策を維持する」と説明をしております。
いずれにしましても、企業の資金繰り支援や物価安定に向けて、日本銀行には適切な金融政策を実施するように全国知事会を通じて要望をしているところであります。
◆佐藤正幸 委員 好循環が起こっていないと私は思います。日本経済の6割を占めるのが個人消費、毎日の私たちの買物する力、ここを暖めると、直接。その最大の鍵は賃上げですけれども、なかなか補正予算にもそうした賃上げを含めて県民生活を直接応援するという施策が見受けられません。
その観点から学校給食の無償化、これ非常に大事な生活支援にもなりますのでお尋ねしたいと思うんですけれども、現在の学校給食費、小学校、中学校でそれぞれどの程度保護者の負担になっているのかということをまず教育長にお尋ねしたいと思います。
◎北野喜樹 教育長 学校給食の保護者負担額につきましては、市町によって異なりますが、昨年度の実績では小学校は4,400円から5,300円程度、中学校は5,100円から6,100円程度となっております。
◆佐藤正幸 委員 お二人子供がいた場合には1万円弱程度の負担になるということだと思います。
さきの9月議会では、知事も教育長も「基本的、一義的には保護者負担だ」と、こういう答弁をされておりますが、一方で昭和49年に学校給食執務ハンドブックというものが発行されております。これは、学校給食法が施行された当時の文部事務次官通達に基づいて、「経費の負担区分を明らかにしたものであって、設置者が保護者に代わって学校給食費を負担することを禁止する趣旨のものではない」と、こういうふうに明記をされております。
そうである以上、教育長がこの間答弁されているように、学校の設置者である市町が負担をすることについては、それぞれの市町の実情に応じて政策判断。市町が政策判断した場合に県として財政支援をすると、そういう仕組みをつくるべきではないかと思いますけれども、見解をお聞きしたいと思います。
◎北野喜樹 教育長 学校給食に要する経費のうち、食材費については学校給食法第11条により保護者負担とされておりまして、基本的には給食費として保護者に負担していただくことが適当であると考えております。
なお、御指摘のように、保護者に代わって学校の設置者である市町が負担することにつきましては、それぞれの市町が実情に応じて政策判断をされ、実施されるべきものと考えているところであります。
◆佐藤正幸 委員 なかなか答弁変わらないので残念ですけれども、負担区分を明らかにしたものであってということが大事な点で、市町が政策判断しやすいように県として支援をするという立場にぜひ立ってほしいと思います。
その点で、小学校、中学校それぞれで保護者負担をゼロにするためには、どの程度の財源が必要になるのかというところも最後お尋ねしておきたいと思います。
◎北野喜樹 教育長 県内の公立小中学校全てにおきまして学校給食費の保護者負担をゼロにするために必要となる財源についてのお尋ねですが、正確な金額を示すことは困難でありますが、昨年度の実績を基に一定の前提条件の下での粗い試算となりますけれども、小学校については約30億円、中学校については約20億円と推計をされるところであります。
◆佐藤正幸 委員 岸田総理もさきの国会で、「保護者が負担をする学校給食を自治体等が補助することを妨げるものではないということは、既に過去の政府答弁においても明らかにしています」と明言されておりますので、先ほど強調したように、県の市町の無償化の判断をぜひ後押しできるような、そういう県の制度をつくっていただきたいと要望はしておきたいと思います。
実体経済がよくならないのは、やっぱり将来の不安があるのでなかなか消費に回らないという点から言えば、社会保障を基本的には削減などは中止すべきだと思いますが、残念ながら政府は来年の通常国会で介護保険の見直しの検討を進めております。これは史上最悪の改悪というふうに指摘をされておりまして、県としても今からその影響を具体的に把握をして、国に中止を求めていくことが必要ではないかという立場からお尋ねします。
第1は、利用料の今原則1割負担を倍の2割にするというものです。
県の長寿社会プランによれば、2020年度の要介護認定者は約6万2,000人で、その9割が1割負担と言われていますが、少なくない高齢者が大きな負担を強いられることになると思います。病気の場合は苦痛を伴うので治療の抑制には限界がありますけど、介護の場合は負担が大きくなるとどうしても利用抑制につながることになる。そういう意味では、在宅介護という名の在宅放置になるのではないかという懸念が指摘をされておりますけれども、県内ではこの利用者負担が増えることについてはどんな影響が出るとお考えになっているでしょうか。
◎永松聡一郎 健康福祉部長 介護保険制度は、介護サービスを国民がその能力に応じて皆で支え合う保険制度として制度設計されており、介護保険の利用者の自己負担は1割を基本として、一定以上の所得がある方は2割、現役並みの所得がある方は3割とされております。
介護保険をめぐっては現在、3年に1度の制度見直しに向け、国の社会保障審議会で自己負担が1割の方の一部を2割負担とすることなどの議論が行われていると承知しております。過去に2割、3割負担が導入された際には、サービスの利用控えが生じたという国の調査もあり、負担割合の見直しがサービスの利用に影響する可能性は否定できませんが、現時点では国から制度見直しの詳細が示されていないことから、その影響についてお答えできないところであります。
こうした見直しにつきまして、国は年内結論を見送る方向としているようですが、いずれにしても高齢者の方々の負担に十分配慮し、必要なサービスが支障なく利用できることが大切であり、引き続き国の動向を注視してまいりたいと考えております。
◆佐藤正幸 委員 必要なサービスを受けられなくなる利用控え、あるいは重度化を招くというこの指摘をぜひ真剣に受け止めていただきたいというふうに思います。
もう一つ、第2の改悪は、要介護1、2の方の訪問介護と通所介護を市町の地域支援・総合事業に移行するという内容になっております。
さきのプランでも、要介護1の方は県内で約1万4,000人、要介護2の方は1万1,000人、合わせて2万5,000人の認定者全体の約4割の高齢者に影響が生じることになると思います。
要介護1、2というのは決して軽度ではありませんし、地域の総合事業の受皿は今非常に県内でも乏しく、しかもこの総合事業は予算の範囲内が原則であって、上限に達したらサービスが受けられなくなるという場合もあります。保険料払っているのにサービスが受けられなくなる、受給権の侵害というふうになりかねない問題も考えられますけれども、その辺の認識を、どうかということをお尋ねしておきたいと思います。
◎永松聡一郎 健康福祉部長 介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる総合事業は、市町の事業として地域の実情に応じて介護サービスの充実を図るものであります。現在、国において要介護1、2の方を対象とした訪問介護、通所介護について、介護給付から市町の総合事業への移行が検討されておりますが、国の社会保障審議会では今回、市町の受入れ体制が不十分などとして制度の見直しを見送る方向と承知しております。
委員御指摘のとおり、市町の総合事業への移行により必要なサービスが利用できないといったことはあってはならないことであり、引き続き今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。
◆佐藤正幸 委員 そういう点では、介護団体の方々、公益社団法人全国老人福祉施設協議会などがこの改悪反対の要望書を政府に提出をしております。これは、県としてもこの制度改悪は中止するべきではないかということを国に要望すべきではないかと。これは知事の大きな役割でもあると思いますので、知事の答弁をお願いしたいと思います。
◎馳浩 知事 県は、これまでも介護保険制度の負担の在り方について、全国知事会を通じて国に対し、介護保険制度が将来にわたり安定したものになるよう、適切な介護報酬の設定や保険料と国、地方の負担の在り方を含め、必要な制度の改善を図るよう要望してきたところであります。
引き続き、国の動向を注視し、改善を要するものについては国に要望してまいります。
◆佐藤正幸 委員 それでは、最後の質問項目に移りたいと思います。
少し時間が押してきましたので、少し飛ばす可能性があるかと思いますが。
国の個人情報の保護に関する法律が施行され、それに伴って現行の県の個人情報保護条例を廃止をして、新たな施行条例が今議会に提案をされておりますが、知事の議案説明ではこの点が触れられておりませんでした。
この国の法律は、2015年3月10日の日弁連の声明においても、匿名加工情報の作成や第三者提供の規制が緩いという点から見直しが求められておりましたし、実際、昨年5月にデジタル関連法が成立しましたけど、これは結局、国や自治体が持つ膨大な個人情報をデータ活用ということで成長戦略に位置づけて、その外部提供した企業に分析をさせてもうけのタネにすると、これがデジタル改革の名で進められようとしているということで私たちは反対をいたしました。事実、国の法律の第1条には個人の権利権益の保護、これが後景に追いやられております。
第1にお聞きするのは、現行の県の条例では第4条2項で「取得してはならない」とされている思想、信条及び信教や身体に関する個人情報は、新たな法律では要配慮個人情報として「その取扱いに特に配慮を要するもの」と、位置づけが私弱まっているんじゃないかと懸念をするんですけれども、県としてはここの点はどんなふうに認識されているのか、お聞きしたいなと思います。
◎澁谷弘一 総務部長 思想、信条等に関する個人情報については、現行条例におきまして「その取得を原則禁止」としつつも、「個人情報保護取扱事務の目的を達成するために当該個人情報の取得が必要かつ欠くことができないと認めるときなどは、この限りでない」と規定しております。一方、法におきましては、思想、信条等に関する個人情報の保有に当たっては、「法令の定める所掌事務または業務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用目的をできる限り特定しなければならない」と規定しております。また、不適正な利用も禁止されております。
規定の仕方は異なりますが、位置づけが低まっているといった御指摘は当たらないものと考えております。
◆佐藤正幸 委員 それでは、国の法律では匿名加工情報というものが定義をされております。県に情報を加工させて非個人情報というふうな扱いをして、本人の同意を得ずに第三者に提供、目的外利用が可能になるということになっていると思います。
これは当面、附則に基づいて県と政令指定都市のみがそのことが提供されるというふうになっていると思いますけど、これは個人情報を管理するリスク、過重負担になる懸念はないのか。また、匿名加工する作業を、これを外部に委託することも可能になります。そうすると、そこから個人情報が漏れてしまうのではないかという懸念も私はあると思うんですけれども、こうしたリスクなどはどういうふうに認識されているのか、お聞きしておきたいと思います。
◎澁谷弘一 総務部長 匿名加工情報制度は、ビッグデータとしての匿名加工情報の利活用を通じて民間事業者が創意工夫により新たなサービスや事業を創出しようとする取組を後押しするということを目的に導入されているものでありまして、重要な取組だと考えております。
匿名加工情報の作成は、県にとって新たな事務ではございますが、高度かつ専門的な加工を必要とする場合には外部委託することも可能でありまして、効率的に事務を行っていくことで対応したいと考えております。
なお、匿名加工情報の作成の委託を受ける事業者は、法において県と同様、識別行為が禁止されているほか、漏えい対策を講じる義務があることから、加工前の個人情報は保護されるよう、制度上担保されているものと考えております。
◆佐藤正幸 委員 外部委託も可能ということの答弁もありました。県が持っている様々な個人情報が外部に委託されて、それを加工するという非常に私は危険やリスクが伴うなということを改めて今実感をしております。
一問飛ばします。時間の関係で。
最後に知事に、そういう点では、これは非常に大きな問題をはらんでおりまして、やはり匿名加工情報制度、これは国の法律で定めなければならないと思うんですけど、県としては情報を加工して、それを利活用するということはしないという立場に立つべきだと私思いますけれども、最後、知事の認識をお伺いしておきたいと思います。
◎馳浩 知事 匿名加工情報制度については、先般の法改正により導入されるものでありますが、県として利活用しないという考えはありません。県としては、法にのっとって提案募集を行い、事業者から提案があった場合は適切に対応してまいりたいと存じます。
◆佐藤正幸 委員 大変残念な答弁でしたけれども、非常に高いリスクがあるということだけは指摘をしておきたいと思います。
時間が来たので終わります。