◎佐藤正幸委員 私のほうからも集中豪雨対策についてお聞きしたいんですけれども、先ほども話題になった7月3日前後しての九州南部の大雨です。本当に多数の地域住民に避難指示が出される事態となりました。この豪雨の原因が線状降水帯によるものとされているようなので、県内ではこうした線状降水帯による大雨が起こったことはあるのかどうか、あるいは県内でもこういう線状降水帯が発生する可能性があるのかどうか、この辺は県としてはどんなふうに認識されておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
◎伊藤信一危機管理監 線状降水帯と申しますのは、気象庁の気象用語ということで、一応定義を申し上げますと、次々と発生する発達した積乱雲が列をなした組織化した積乱雲群によって、たとえば数時間にわたってほぼ同じ場所を通過、停滞することで作り出される線上に延びる。これは長さで約50kmから300km程度と言われています。幅で20kmから50km程度の強い降水を伴う雨の地域、雨域のことでありまして、よくたとえば局地的大雨とか言いますけれども、それは単独の積乱雲から発生するものなので、線状降水帯とは区別されております。今、この線状降水帯というのは平成26年8月豪雨による広島の土砂災害以降、頻繁に用いられるようになった気象用語ということで、直近では平成27年9月関東・東北豪雨、平成29年7月九州北部豪雨、そして昨年の西日本豪雨。そういったものが災害に結びついて集中豪雨をもたらしていると。お尋ねの県内での事例ということでございますけれども、金沢気象台のほうからは、こういった用語が使われるようになったのが最近であるということもあるんですけれども、これまでに県内において線状降水帯による大雨、として発表したことはないということでございます。ただ一方で、線状降水帯の発生しやすい条件といたしまして、雲のもととなります暖かい湿った空気が入ってくる。その空気がたとえば山にぶつかる、あるいは冷たい前線にぶつかるなどして上昇していく。上空に一定方向の風が吹いているなどといった条件が重なるとそういうことが発生する可能性がありますので、気象状況によりましては全国どこの地域においても発生する可能性はあります。今後県内で発生する可能性も十分あると聞いているところです。
◎佐藤正幸委員 十分にあるということですので、やはりどこにでも起こり得るということで、日頃からの備えとか正しい情報に基づく早めの避難が大切だというふうに思いますが。そこで私お聞きしたいのは、今回本当に驚いたんですけれども、人口60万人を超える鹿児島市、あと鹿児島県霧島市、姶良市で3日午前に市全域に避難指示が出され、対象が37万世帯、80万人に避難指示ですよね。一時は鹿児島、宮崎、熊本の3県合計で190万人以上に避難指示や避難勧告が出されると。こういう事態が県内でも起こり得るんだということを想定した対応が私は必要だというふうに思うんですよね。例えば金沢市内全域に避難指示がでるということ、仮定はやっぱりしておく必要があると私は思ったので。そうすると全ての避難所を開設する体制がそもそもあるのかどうか、あるいは全避難所を開設できたとしても一体どの程度の住民を収容できるのか。全員が避難するというわけではない部分ももちろんあるとは思うんですけれども、そもそもそういう状況がどうなっているのかということを、県としてどんなふうに認識されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
◎伊藤信一危機管理監 今、佐藤委員のほうからも御案内ありましたけれども、6月末からの九州南部の豪雨におきまして、鹿児島県の鹿児島市、霧島氏、姶良市、3市合計で約80万人という人口となるようでございますが、その全域で避難指示が発令されたと。その時に277ヵ所の避難所が開設され、実際には234ヵ所の避難所に5,326人に住民が避難されたという数字を聞いております。この数字が大きいのか小さいのかという問題がありますが、一方でじゃあ県内、例えば金沢市なんかの場合もそうなんですけれども、体制はどうなのだというお話なんですけれども、仮に豪雨によりまして金沢市全域に避難勧告等が発令された場合には、市からの連絡を受けまして施設管理者のほかに避難所の近隣に居住します市の職員や自主防災組織などが保管しております合鍵、それでもって迅速に避難所を開設する体制を構築しているというふうに金沢市からは聞いてございます。ちなみに、全域に発令された例、直近の例といたしましては、例えば平成30年9月4日、台風21号、この折には金沢市全域に避難勧告が発令されておりますが、避難所68ヵ所開設、うち64ヵ所に住民1,127名が避難したという実績を聞いてございます。
◎佐藤正幸委員 今、避難勧告のレベルで、さらに避難指示というふうになった場合はもっと強くなってくるわけですよね。金沢市内全域、あるいは金沢市だけでなくほかの市も全域に避難指示が出されて、それが数十万規模の住民に避難指示がだされることが十分あり得るということを、やはり想定した対応が私は必要ではないかなというふうに改めて思っておりますので、さっきの車の避難で渋滞云々という話もありましたから、さまざまなことが予想されますので、ぜひここは部局横断でこうなった場合には一体どういう問題があるのかというのを、課題を洗い出して、それに対応するというぜひ体制を作っていただきたいというふうに、これは要望だけしておきたいと思います。
最後にせっかくの機会ですので、報告にも関連して原子力災害対策についてお聞きしたいと思います。報道で御存じのとおり原子力規制委員会が6月14日に志賀原発2号機の新規制基準への適合性審査会合を開いて、北電のほうが評価対象の断層についての説明は9月から行うということのようで、我々はかねてから活断層ではないかと指摘した富来川南岸断層に加えて海岸部にも11本の断層があると。お聞きしたいのは、この海岸部にある断層の真上に取水路トンネルという、原子炉を冷却するために海水を取り入れる重要施設だと思うんですけど、この下に活断層があると。そうすると、仮に海岸部の断層が動いて取水路トンネルが壊れたから海から冷却水を取り込めなくなって過酷事態につながる可能性があることになるわけですね。そうすると、この取水路トンネルというのはどれだけの震度に耐え得るものなのか、県としてはどんな認識をもっているのかというのを最後にお尋ねしておきたいと思います。
◎伊藤信一危機管理監 佐藤委員からいま御案内ありました。まず、経緯から御説明いたしますと、現在の北陸電力におきまして新規制基準に係る適合性審査の評価の対象とする海岸部の断層を選定するために今現在、追加の調査をしているところです。御案内ありましたように、本年11月には原子力規制委員会に報告したいとしてございます。その調査の結果、北陸電力が選定した断層が評価をすべき対象として規制委員会に認められたあかつきには、次にその断層がそもそも活断層なのかどうかのか、12,13蔓延前に動いたものかどうなのか、以降に動いたものかどうなのかということを規制委員会において確認するという、そういう流れになってございます。お尋ねの取水路トンネルでございますけれども、原子炉で発生する蒸気を冷却するため、海水を取り入れる重要な施設です。北陸電力では原子炉建屋などと同じレベルの地震動にも耐え得るように設計施工しておると説明しておりまして、現在申請しております新規制基準への適合性に関する設置変更許可申請においては、取水路トンネルを含めた原発の安全上重要な施設は1,000ガルの地震動に耐え得る耐震性を確保していると言っております。この1,000ガルということなんですが、普通、地震の強さをあらわすものとして震度7とか震度6などというのが一般的でございますけれども、このガルといいますのは地震の加速度というもの。力の強さをあらわす単位ということで、新規制基準で原発施設の耐震性を見る際に用いられるものです。ちなみに、能登半島地震の際に志賀原子力発電所近くで震度6強を観測してございますが、その際の地震動は264ガルであったと聞いてございます。今後、原子力規制委員会におきまして、厳格に審査されるものと、その耐震性については承知しております。
◎佐藤正幸委員 原子炉建屋と同じぐらいの耐震性はレベルがあるということのようですけれども、しかしこれだけ断層の問題が議論になっていて、さっき盛本委員からもありましたけど、これは竹中副知事もそうやって、発言ですよね。規制委員会から次から次へ宿題をもらわないように北電は自信をもって対応してほしいということじゃなくて、もうやめにしましょうというのが筋ではないかと私はおもっておりますので、意見表明だけして質問終わりたいというふうに思います。