日本共産党を代表して質問します。日本共産党はじめ5野党・会派が、参院選1人区での野党統一候補の擁立、安保法制=戦争法の廃止など13項目の「共通政策」―「だれもが自分らしく暮らせる明日へ」に合意をいたしました。憲法、沖縄、原発、消費税という国政の根幹部分で野党が足並みをそろえ、安倍政権に代わる「共通の旗印」が明確にされたことは大きな意義があります。この「共通政策」を実現する立場からお尋ねをいたします。
まず、内閣府が6月7日発表した4月の景気動向指数は、景気の基調判断を2カ月連続で「悪化」としました。内需や輸出入の不振を示した1~3月期の国内総生産(GDP)に続き、5月24日に公表した5月の月例経済報告でも、景気の現状判断を「弱さが続いている」と下方修正せざるを得なくなりました。経済情勢の悪化はもはや隠し通せなくなったと考えます。県としてこの事実にたち、県民の生活、県内中小零細企業を守るためにも、秋からの消費税10%増税はすべきでないと国に求めるべきです、見解をお伺いいたします。
実質賃金と家計消費の力が伸び悩んでいるときの消費増税は、現実にあわないものです。もっとも現実的なのは、税金の負担する力のある、大企業と富裕層から応分の負担を求めることであり、それだけで年間7兆円をこえる財源が生まれます。この財源を使い、家計の負担と不安を軽減する家計応援政策、格差と貧困を是正する政策をわが党は「3つの提案」にまとめました。以下その実現をはかる立場からお聞きをいたします。
第1の柱、8時間働けばまともに暮らせる社会を実現し、家計消費を増やして日本経済を立て直す見地から見解をお伺いします。平成30年度の最低賃金は全国加重平均で時給874円であり、1日8時間、週休2日で月収約14万円程度、年収約168万円にしかなりません。加えて、最高の東京(時給985円)と石川県(時給806円)との差は179円もあり、同じ仕事をしていても年間約34万円の所得格差が生じています。この地域間格差は、賃金が高い都市部での仕事を求める若者などが地方から離れる傾向や、労働力が不足し苦境にたたされている地方の企業の増加に拍車をかけることになっているのではないでしょうか。政治の責任で、全国一律の最低賃金を確立し、8時間働けばまともに暮らせるよう、時給を1000円以上に引き上げることは、女性や若者が多く働く非正規雇用の労働者にとって恩恵が大きいものであり、地方の活性化にもつながると考えます。この立場から、全国一律の最低賃金の実現、時給1000円以上の実現を国に求めるべきではありませんか。見解をお聞きします。
保育・介護・障害福祉労働者に対し、国の責任で、ただちに5万円の賃上げをし、一般労働者との格差をなくすことが求められます。この財源は1兆円程度であります。特に、政府による介護労働者の処遇改善は、すべての該当者に月額8万円の処遇改善がなされるわけでなく、複雑な制度になっております。8月までに申請を県に行うとされているようですが、制度の周知徹底、円滑な実施にむけて県としてどのように取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。介護報酬と連動させない、労働者に直接届く賃上げ支援策が求められます。新潟県柏崎市では、介護事業所で働く職員の夜勤手当を1回当たり、1400円を上限に補助する制度をつくり、月額1万円上積みできると試算。介護人材不足のもとで、待遇改善により若い世代をはじめ、人材確保をはかるためと聞きます。県としてもこうした施策をとるべきです。所見をお聞きをいたします。
ここで、ジャパンディスプレイ・JDIについてお尋ねします。2010年に閉鎖したキリンビール北陸工場の跡地に1700億円かけて建てられた白山工場が、7月から操業を中止するとの決定は、大企業「よびこみ」にたよる地域振興策のひずみが現れたものと考えています。県として18億円の支援の枠組みのもと、すでに8億円を補助した県の責任が問われています。現在、白山工場に400人の労働者とされていますが、非正規の労働者はどれくらいいるのでしょうか。また、JDIの下請け企業は県内53社、労働者は2421人いるとされています。労働者を一人も泣かせない、下請け企業への影響を食い止める、そういう立場で事に当たる必要が有ります。相談窓口の設置など必要な対策を取るべきですが、決意をお聞きいたします。平成29年9月議会でも指摘したように、JDIは国策液晶メーカーともいえるものであり、加えてその筆頭株主は、官民ファンドである「産業革新機構INCJ」。親会社の「産業革新投資機構JIC」は、2019年7月に、株式の95.3%を政府が保有する形で設立された経過があります。本来は民間が行うべき企業支援のファンドの運営に政府が口をはさみ、多くの官民ファンドを形成して「企業が世界一活躍しやすい国づくり」をすすめてきた、アベノミクスの失政であることに、県として向き合うことが必要であります。一時閉鎖を招くことになった国の責任も問われています。国に、国に労働者の雇用と生活を守る支援策を要請すべきではないでしょうか。見解を求めるものであります。大企業「よびこみ」にたよる産業政策を転換し、地域の力を生かす産業振興策を強めること、非正規労働の正社員化、長時間労働の是正が必要と強調して次の質問に移るものであります。
第2の柱、生存権を保障する社会保障本来のあり方にしていく立場から、国民健康保険についてお尋ねをいたします。都道府県化から1年、5月31日に開かれた、経済財政諮問会議では財界の民間議員から「保険料水準の統一」の提言が出され、6月にもまとめる経済財政運営に関する「骨太の方針」に、市区町村ごとに異なる保険料率の都道府県内での統一を促す、新たな誘導策の検討に入ったと報じられました。まさに、当初からねらっていた都道府県化の本当のねらいがむき出しの形で表れてきたと言えるでしょう。国の方針に付き従うのか、くらしを守る立場にたつのか、県の真価が問われています。平成29年12月に策定した県の「運営方針」にあるとおり、「当面、保険料水準の統一は行わない」、と明言すべきです。明快な答弁を求めます。国保料が高すぎて払えない要因のひとつは、他の保険にはない、均等割・平等割であります。知事が副会長をつとめる全国知事会は、均等割・平等割の廃止に匹敵する公費1兆円の公費投入を要望しているように、所得のいかんにかかわらず、一律の負担を強いる均等割・平等割は、本来なくすべき性格のものという認識が知事にはあるのでしょうか。所得が生活保護基準をぎりぎり上回る「境界層」が、国保料を払うことで所得が生活保護基準を下回る事態を解決する、県独自の支援策をとるつもりはないでしょうか。日本共産党は、先ほど指摘した、国保への公費投入1兆円の他に、就学前児童の医療費無料化2400億円、低年金の底上げ7千億円など、あわせて2.4兆円の社会保障の充実に向け、全力をあげることを表明し、次の質問に移ります。
第3の柱は、お金の心配なく学び、子育てができる社会を実現する立場から数点お尋ねをいたします。政府の「大学無償化」は、学費値上げを抑えることをせず、減免の対象は全学生の1割程度で、その財源を消費税増税にたよるなど、看板に偽りありと言わなければなりません。わが党は、授業料をすみやかに半分に値下げする予算1.3兆円、段階的に無償を目指すこと、70万人の学生に月3万円の給付奨学金と無利子化で4,600億円の財源を確保することを提案しております。2つの県立大学や県立の総合看護専門学校、保育専門学園の学費を半分にするためには、どれだけの予算が必要となるか、お聞きをいたします。学校給食の無償化についてお聞きいたします。憲法制定当時、1951年3月9日の参議院文部委員会で政府は、「義務教育の無償をできるだけ早く広範囲に実現したい」「学用品、学校給食費、できれば交通費」とも答弁しています。義務教育無償化は、本来どうあるべきと教育長は考えるでしょうか。基本的見解をお聞きいたします。文部科学省のホームページをみれば、憲法でいう「『無償』とは、『子女の保護者に対しその子女に普通教育を受けさせるにつき、その対価を徴収しないことを定めたもの』」であり、「教育提供に対する対価とは授業料を意味する」と「解するのが通例」としています。授業料無償はあくまで「通例」であり、学校給食が教育の一環として大きく位置づけが高まり、「食育」とされている今、学校給食も教育提供であり、その対価を徴収しないという立場に立つことも可能と考えます。教育長の見解をお聞きする者であります。学校給食の無償化の財源は、わずか7800億円程度であります。その実現へ全力をあげるものであります。
関連して、学校給食で使われているパンと農薬についてお聞きをいたします。農民連食品分析センターが昨年度末に実施した残留農薬試験によると、輸入小麦粉の一部から、除草剤のグリホサートが検出されました。このグリホサートは、人体への影響が懸念されるものであり、検出濃度は、1.1~0.03ppmと、残留基準の30ppmと比べて1ケタ小さいものですが、2017年12月までの基準値は6分の1の5ppmであったことを考えれば、看過できないと言えるでしょう。県内の学校のパン給食における、外国産の小麦の使用はどうなっていますか。国産小麦に切り替えるよう、県としての財政支援をすべきであります。見解を求めるものであります。また、年に1回、県としても農薬検査をしているようですが、その数値結果を公表すべきと考えます。所見をお伺いするものであります。消費税増税に頼らない「幼児教育・保育の無償化」が求められますが、いくつかの問題点についてお聞きいたします。第1、「無償化」によって保育の希望者が増え、待機児童が増えることが懸念されます。その対策をどうとるおつもりでしょうか。第2に、政府の措置は低所得者には恩恵が少ない一方で、「給食費」などの負担が残ります。保護者への制度の周知徹底はどうなっているでしょうか。低所得者の場合、無償化される保育料よりも、給食費の方が高く、逆に負担増になってしまう可能性もあり、すでに第2子無料にしている自治体でも、同じことが起こり得ます。県として、給食費を減免するなど細かい配慮が必要と思いますが、認識をお聞きいたします。第3、「無償化」の財源は、2019年度は国が全額負担しますが、20年度からは県・市町の負担も生じます。県や市町の負担はどうなると見込んでいるんでしょうか。また公立施設については全額市町の負担になるために、民営化に拍車がかかる懸念がありますが、県内の実情はどうなっているでしょうか。日本共産党は、消費税増税に頼らない「幼児教育・保育の無償化」の財源7800億円を見込み、「お金の心配なく学び、子育てができる」社会へ、合計3.4兆円の予算化をすすめるものであります。
日本とEUとの経済連携協定=EPAに関してお聞きをいたします。知事は、関税撤廃により、県内企業にとって欧州への輸出の追い風となるなどとして、トップセールスのため、欧州を訪問しましたが、それだけの認識なら大きな問題であります。日欧EPAは、TPP以上の市場開放を前倒しでやろうとしており、例えばワインの関税は即時撤廃となり、場合によっては1本100円台のものが本場の欧州から入ってくることも予想され、県内のワイナリーへの影響が懸念されます。この他にも、衣服などの繊維製品や陶磁器など本県にもかかわる製品の関税も撤廃されましたが、県内経済・企業への影響をどう考えているのでしょうか、お聞きをいたします。乳製品、小麦・パスタなどの関税撤廃前倒しに加え、公共サービスに関しても、中核市の建設工事以外の物品およびサービス発注はEU企業にも門戸を開くことなどを認めています。知事の認識をあらためると同時に、TPP、日米EPAの影響を直視し、家族農業支援を柱に、新規就農者支援、移住・定住支援策を強めることが必要との立場からお聞きいたします。
家族農業をないがしろにしてきたことが、能登の疲弊を生み、その反省のない地方創生は、結果として能登の人口減少に歯止めがかっておらず、その懸念の声は強まるばかりではありませんか。加えて、国は新規就農者にとって大きな支えとなってきた、農業次世代人材投資事業を改悪してきています。2017年度に青年就農給付金から改称したのに合わせ、返還要件や支給打ち切り要件を導入。2019年度からは「準備型」を利用した先進農家による研修受け入れを廃止すると同時に、4月1日になって「前年の世帯全体の所得が600万円以下とする」通知を出し、現場で矛盾が噴出をいたしました。慌てて4月3日通知で「あくまで目安で自治体が必要と判断すれば交付できる」と修正せざるを得ませんでした。4月18日の参院農林水産委員会では、この所得制限により、昨年の実績から、準備型で約2割、経営開始型で約1割」が支援の対象から除外される、との答弁がなされています。そこで2017年度以降の改悪で、支援対象から外されるような事態があるのかどうか含め、県内の影響について明らかにしてください。種子を守る県条例の制定を求める、県内市町議会の意見書採択が複数行われていることをふまえ、条例例制定に向けた検討をはじめるよう要望し、次の質問に移るものであります。
安倍政権の9条改憲は、海外で戦争をする国づくりをすすめることにあり、野党の共通政策には、「改憲発議そのものをさせないために全力をつくす」と明記されました。一方5月28日、安倍首相とトランプ大統領が海上自衛隊の護衛艦「かが」を視察した際、同艦を海兵隊用のF-35B戦闘機を搭載できる「空母」に改修するとしたことは、憲法に反するものと言わなければなりません。私は2月議会で、小松基地に配備される可能性のある空軍用のF-35A戦闘機の安全性を問題視した際、県は「『運用能力や飛行の安全性等に影響を及ぼすような課題はないことが判明している』との答弁がなされた」としていましたが、4月、青森沖で墜落事故を起こしたではありませんか。機体の異常は「極めて低い」として飛行を再開するとしましたが、むしろパイロットが平衡感覚を失う「空間識失調」が起きやすい夜間訓練が求められる戦闘機だということが明らかとなりました。F15戦闘機における部品落下、緊急着陸が相次ぐわが県として、攻撃型としか言えないF-35戦闘機の爆買いを中止するよう、国に求めるべきではないでしょうか。見解をお聞きしたします。
統一地方選挙では、選挙公報が投票日間近に配られているところもありました。期日前投票がこれだけ増えている今、配布を公示・告示後すみやかに配布するよう改善が必要ではないでしょうか。県内における選挙公報の配布体制はどうなっているか、実情とあわせ、今後の改善方向をお尋ねいたします。
最後に、災害対策について警鐘を鳴らしておきたいと思います。強調されている、「自助」「共助」「公助」の考え方は、財界が1990年代にはじめた「小さな政府」論の主要な柱建てとして登場させたものであります。防災分野では、2000年12月に東京都の、それまでの震災予防条例にあった「予防」の文言を削除し、「自助・共助」にもとづく役割分担論が「震災対策条例」に持ち込まれ、国政では、2002年の「防災白書」でこの考え方が持ち込まれたとの指摘があります。私は、防災における「自助・共助」の考え方が、公的責任を事実上棚上げする論拠にされないようにすべきであり、災害を未然に防ぐ予防原則にもとづく対策などを抜本的に強化することを求め、すべての質問を終わるものであります。