~知事提出議案~
日本共産党は、予算委員会に付託された1号、3号、20号、43号の4件と、関連する23・24・29・33・42号の5件に反対。残余の51件は賛成します。以下、その理由を述べます。
反対する第1は、実質賃金の落ち込み・家計消費の冷え込みなど、この秋からの消費税10%増税の根拠がすべて崩れ去ったにも関わらず、国いいなりに増税を容認するうえに、兼六園入園料や水道用水供給料金値上げなど、県民に増税を負担させる予算案になっているからです。内閣府が3月7日に発表した1月の景気動向指数は、3か月連続で悪化。景気判断を「足踏み」から「下方への局面変化」に引き下げました。前回同じ判断をしたのは、2014年11月。消費税8%への増税で景気に影響が出たためであり、今回は10%増税への実施前に 景気悪化の可能性が生まれています。こういう時期に、県民に増税の負担を強いるべきではありません。知事は、実質賃金が伸び悩んでいるのは、「景気が回復し雇用が増加する中、女性や高齢者などパートなどで働く人が増えていることなどから、1人当たりの平均賃金が低くなり」と、政府答弁を引用しましたが消費税8%増税以降の平均賃金の伸び悩みを、パートなどが増えたからと説明するのは無理があり、消費税増税の影響が大きな要因です。雇用が増加といいますが、それは15歳から24歳までの90万人増、65歳以上の高齢者で266万人増が主な内訳です。「年金だけでは生活できない」と高齢者が無理をしてでも働かざるを得ない、「仕送りだけでは生活できない」と学生が勉強の時間を削ってアルバイトをせざるを得ない、こういう状況をもって、雇用が増加したとか、所得環境は改善したといえるのでしょうか。
反対する第2の理由は、大型事業優先、くらし応援後回しという構造が温存されているからです。総額139億円とされた加賀海浜産業道路の建設、金沢港ライトアップ約2億4千万円余、コマツ優遇と言わざるを得ない総額31億円の木場潟東園地整備などは、県民生活の実態からみれば、その必要性・緊急性が問われます。県の方針どおり、標準財政規模に対する投資的経費の割合31.7%を、全国平均28.5%程度にすることで生まれる財源、約100億円などを使い、子どもの医療費助成対象を中学卒業まで広げること、国民健康保険料の子どもの「均等割」をゼロにして 国保料を引き下げること、小中学の学校給食無償化など、県民の暮らしを応援するメッセージは盛り込まれませんでした。教員定数を減らす第42号は、教員の多忙化改善に逆行することから反対します。幼稚園を含む学校給食の無償化、保育料の無償化も実施している、群馬県嬬恋村の村長は、ホームページでこう述べています。「憲法26条2項には 義務教育はこれを無償とすると規定されています。宣言規定でありすべてが無償ではないとされていますが、一歩でも理想に近づけるのが行政であり、原則義務教育の中学3年生までは、無償といたしました」谷本知事はこの言葉をどう受け止めるでしょうか。
反対する第3は、志賀原発再稼働容認、国まかせの原発防災・安全対策になっているからです。核燃料税収入7億7千万円に依存する一方、危機管理監室関係の原子力防災・安全対策費の総額7億7千8百万円のうち、県費は423万円とわずか0.5%にしかすぎません。第43号補正予算は、志賀原発が存在することによる税収、電力移出県等交付金5億8百万円余を、県立図書館運営費などに充当する内容を含むことから、反対します。
~請願~
次に、請願3件すべての紹介議員として、各位の賛同を求める立場から賛成討論を行います。第70号、憲法9条の改定に反対する 意見書採択を求める請願について。9条改憲に執念を燃やす安倍首相は、憲法擁護義務があるにも関わらず、自ら改憲の号令をかけなければ、その動きが広がらないという矛盾を抱えています。大手新聞の3月7日付夕刊に登場した、第7航空団司令や、自衛官募集を担当する鳥取地方連絡部長を務めた、元空将補の林吉永氏はこう述べました。「すべての自治体が自衛隊の隊員募集に協力している、それを『非協力』と言われたら自治体も反発する」「自衛隊の誇りとは何か。自衛隊がヒーローになる時は、必ず災害などで世の中に不幸がある時です。むしろ自衛隊なんか必要ない、と言われているほうが、良い世の中なんです。それでもいざという時が来れば役に立つ。この『無用の長物』願望こそ、自衛官の誇りだと思う。憲法に書かれたら誇りが生まれるなどというものではありません」自衛隊元幹部の発言として、説得力ある発言です。この主旨から各位の賛同を求めます。
71号、72号、種子法関係の請願について。種子法廃止による懸念は、利益優先で、他国籍企業の参入による遺伝子組み換え農産物の栽培、改良された新しい種子に「特許」がかけられ、価格が高騰することなどです。だからこそ、富山県・新潟県など6道県は条例を制定、福井・長野・岐阜・宮崎に加え、宮城県でも準備がすすめられています。北陸信越では、石川県だけが取り残される状況です。種子法は、自国民の食糧の供給について、国と都道府県の責任を明確にし、主要の種子の安定した普及を 各都道府県に促す法律でした。これが揺るぎかねないとの危機感から、他県で条例制定が進んでいるのではないでしょうか。国へ種子法復活を求める意見書採択、県としての条例制定を求める2つの請願への賛同を求め、討論を終わります。