遅くなりましたが、参議院選挙後最初の県議会での、最終日に行った議会議案の討論の大要を紹介します。
日本共産党は2件に反対、3件は発議者として、他2件は賛成します。以下その理由を述べます。
反対する、第4号、地方議員の厚生年金加入を求める意見書について。町議会議員など、議員報酬の低い地方議員の問題を解決することは必要です。同時にそれは、すべての国民の無年金・低年金の解決、そのための最低保障年金の確立などと同時に行われるべきと考えます。そこを抜きにした議論では、現状では「なぜ議員だけ」と、国民の理解を得ることができないことから反対するものです。
もう1件反対する、第5号、チーム学校運営の推進などに関する意見書は、要望項目の2から4の内容については、学校現場で解決が求められるものばかりであり、すぐにでも実効ある対策をとる必要があります。問題は、要望項目1にある「チーム学校推進法」です。もとになった昨年12月の中央審議会の答申では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、部活動指導員を法令上、学校に必要な教員と位置づけ、教職員定数の拡充を打ち出したことは重要でした。しかし、先の国会で議員発議され、衆議院で継続審議になっている「チーム学校運営の推進等に関する法律案」では、第19条で「校長に対する必要な権限の付与その他の必要な施策を講ずる」とされ、学校の管理運営の強化、校長中心の「上意下達型」の学校づくりを推し進める拠り所となりかねないことから反対します。子どもを中心に、教職員の創造性・自発性による諸問題の解決が必要であることを強調しておきます。
賛成はするものの意見表明が必要な、第3号、民泊に関する意見書について。政府の「民泊」の規制緩和をねらう動きに対し、旅館ホテル生活衛生同業組合関係者からは、「安易な緩和は、国民の安全と公衆衛生を守る旅館業法の否定につながるものであり、断固反対」という声が広がっています。意見書にあるような様々な問題を生じさせたのは、民泊の規制緩和政策であり、そのことへの言及がありませんが、趣旨にかんがみ賛成します。
次に、発議者として賛同を求める立場から討論します。
第7号、共謀罪の立法化に反対する意見書について。この問題の核心は、犯罪の実行行為がまったくなく、被害も発生していないのに「犯罪がおこなわれた」として処罰することになることです。ゆえに、どうしても犯罪の意志のない人が処罰されてしまう危険があり、人の思想や単なる発言が罰せられることになりかねません。「テロ防止」といいますが、テロといえば基本は殺人行為ですから、それは「準備行為」も現行の予備罪の対象になり、すでに「資金提供処罰法」もあるなど、既成の法律で対処できるものです。密告の奨励、冤罪多発の危険性も危惧されるなど、「共謀罪」法案の危険性は明白と考えます。各位の賛同を求めます。
第6号、選択的夫婦別姓などの民法改正について。この議論のひとつの大事なポイントは、あくまで選択制の実現であり、夫婦によっては従来どおり夫の姓を選択することも当然ありうるわけです。自らの意志として姓の選択を行うという点からすれば、「家族の一体感が損なわれる」「家族が崩壊する」などの意見にはその論拠がないと考えます。さらにその底流には、戦後の民主化の中で否定された戦前の「家制度」のような社会と家族を理想とする古い価値観があることを指摘せざるを得ません。多くの人々がもつ、「家族仲良く暮らしたい」などの当たり前の願いを実現するうえでも、各位の賛同を求めるものです。
第8号、介護保険の保険料負担年齢引き下げ方針の撤回を求める意見書についても、若年層の新たな未納を生みだしかねないという点もかんがみ、各位の賛同を求めすべての討論を終わります。