2月27日、被災事業者・農林業者支援のための先行議決2023年度補正予算案の質疑が行われ、5分間の質疑を行いました。質疑と答弁の内容を公開します。
焼田宏明議長 佐藤正幸君
◎佐藤正幸議員
日本共産党を代表して、早速質疑に入ります。
今回の先行議決なる議案についても、能登に住み続けることができる希望を作る、この基本姿勢を貫き、制度の枠に被災事業者・農林漁業者をあてはめるのではなく、被災者の要望に合わせて制度を拡充するとの立場が必要であります。特に奥能登地域は、自宅と店舗を一体で、商売や事業をしてきた零細業者、家族経営が多いからなおさらであります。この点での知事の基本姿勢をまずお伺いをいたします。
輪島市の朝市通りの個人店の方は、自宅と店が全焼。金沢市に避難をされ、高齢などで廃業の予定とのことであります。また高齢化が進む被災地の零細業者の方は、「住む家が壊れ 避難所や親戚宅に身を寄せ、水道すら復旧していない中で生活するので精一杯。これから商売や事業を続けるかどうかまで考えられない」という人も多く、極力自己負担を抑えなければ再開の意欲を持つことはできません。
その点で300億円のなりわい再建支援補助金はどうでしょうか。中堅企業からは「最大15億円の規模が小さすぎる」、小規模 中小企業からは「自己負担が1/4 もあっては 残りを借金に頼らざるを得ず、事業や商売を再開できる気力がわかない」 との声が聞かれます。 300億円の予算はどういう算定をもとに計上したのか、県の考え方をお聞きをいたします。
なりわい再建支援補助金には、補助率 10分の10の上限 5億円の定額補助もありますが、 要件が厳しいことからその緩和を、陳列棚などの 備品購入にも使える持続化補助金も含め、 補助率を100%にすることが求められます。
輪島漆器商工業協同組合の方と懇談する機会がありましたが、中小企業基盤整備機構の仮設施設整備支援事業を使って仮設工房を輪島市が建てた場合、全額補助することに歓迎の声が上がると同時に、「124に及ぶ分業による製造過程があり、自宅の中に工房があるという 輪島塗の特性に合わせて、仮設工房と仮設住宅を一体で整備してほしい」との声が上がっております。
輪島塗の職人は自宅と工房が一体となっている場合が多く、自宅兼作業所で漆を塗り、数時間ごとに 漆の乾き具合を確認する必要がある。また、自宅内の塗師風呂で乾燥させるとのことであります。我が党の国会議員団による政府レクチャーや国会質問でも、こうした住宅の中にあった工房、作業所、店舗の復旧にも、なりわい再建支援補助金が活用できるとのことであります。伝統作業の作業の場合には、伝統工芸事業者再建支援事業費補助金で 道具、原材料、機械修繕もできるはずであります。県の認識と周知の方法をお示しをください。
また、被災者生活再建支援制度に基づいて住宅を再建した場合、工房、作業所を作る場合や住宅と一体の店舗を再建する場合にも、なりわい再建支援補助金や伝統工芸事業者再建支援事業費補助金を併用できるはずであります。見解を伺います。
農業事業者からは、「田んぼに亀裂がない場合でも用水路の寸断や土砂流入などで水を確保できるかどうかわからない。避難生活を続けながら農業を続けることができるか不安」との声が聞かれます。農業従事者の高齢化が進むもとで、提案された農林漁業者の機械再取得に対する支援の事業者負担があっては、離農、耕作放棄地がさらに拡大する恐れがあります。
この事業での県や市町の負担金に関しては、後から県、市町上乗せ分の7割の国の交付税措置があることを 政府担当者と確認をしております。この交付税措置を見越して 事業者負担を限りなくゼロに近づけ、離農者を生まない立場に立ち、再び米が作れる、漁に出ることができる、との希望を作る必要があると考えますが、県の姿勢を伺います。
最後に、なりわい再建支援補助金は個人事業主である農家や漁業者、開業医なども補助対象となるようであり、制度の周知が求められます。また、対象経費には車両も含まれ、農家などにとっては必要不可欠の軽四トラックも対象になるはずであります。県の見解を伺うものであります。
これらの手続きの簡素化とともに「支援の全体像や流れを分かりやすくフローチャートなどにして文書で通知して欲しい」との声に答えるよう要望して、質疑を終わるものであります。
焼田宏明議長 馳知事
◎馳知事
佐藤正幸議員にお答えをいたします。
被災事業者・農林漁業者の支援に対する私の基本姿勢についてご質問がございました。
農林水産業や伝統工芸産業、酒造業など、地域経済を支え、能登の生活と文化を形成する 能登のあらゆる産業の再建なくして 能登の復興は成し遂げられません。今回の補正予算案になりわい支援のための国のパッケージを最大限活用するとともに、県独自の支援を追加して実施するためのこれまでにない手厚い支援策を数多く盛り込んだところであります。
具体的には、被災事業者による施設整備の復旧に対する最大15億円のなりわい再建支援 補助金や、再建に向けた資金繰りを手当するための特別融資、中小企業による販路開拓等の前向きな取り組みや県指定希少伝統的工芸品の製造再開の取り組みへの県独自の支援のほか、農業機械や共同利用施設等の復旧への国の支援に対し、県と市町で協調して上乗せ補助を行うなど、被災事業者・ 農林漁業者が将来に希望を持ってなりわいの継続・再建に取り組めるよう制度設計を行いました。
今後とも、被災地の声を丁寧にお聞きしながら、 国、市町、関係団体と連携し、能登の産業の復興に全力で取り組んでまいります。
私からの答弁は以上であります。残余のご質問については、担当部長よりお答えをさせていただきます。
焼田宏明議長 米永商工労働部長
◎商工労働部長
私からは、なりわい再建支援補助金についての4つの質問にお答えいたします。
まず 、予算額につきましては、なりわい再建支援補助金の国と県の負担割合が2対1となっているところ、国の予算額が200億円であることから、これに県の負担分の100億円を合わせて合計で、300億円としたところであります。
住宅と一体となっている工房や作業所、店舗の復旧にあたっては、佐藤議員ご指摘の通り なりわい再建支援補助金により事業用途に供する工房や作業所、店舗の部分を復旧し、伝統工芸事業者再建支援補助金を併用して伝統的工芸品の製造を再開するために必要な設備や機器の修繕を行うことや、道具や原材料を購入することが可能であるほか、住宅部分の再建につきましては、被災者生活再建支援金を併用することが可能となっております。また、軽トラックも含め、車両については、被災前に所有しており、かつ事業用のみに使用していた場合には、その復旧に要する経費が補助対象となります。
以上でございます。
焼田宏明議長 竹沢農林水産部長
◎農林水産部長
農林漁業者に対する支援の事業者負担についてお答えをいたします。
今回の支援策の構築にあたり、発災直後から被災者のニーズをできるだけ多く酌み取ることを心がけてまいりました。現在でも開設をした相談窓口などで、今後の相談や要望を丁寧にお聞きをし、ニーズを酌み取っているところでございます。
議員ご指摘の事業者負担につきましては、「営農再建にあたっては、多額の資金が必要となる機械や施設の復旧が大きなハードルになる」という声を多くお聞きをいたしました。そのため、農業機械、木材加工設備、漁船などの修理や再取得について 国の補助に市町のご理解もいただき、県と市町が上乗せを行うことで 農林漁業者の負担を1割まで軽減をさせていただきました。さらに、この1割の自己負担につきましても、日本政策金融公庫などの金融機関の無利子・無担保または保証料免除の融資の活用により、当面、自己資金ゼロでの復旧を可能といたしました。
以上でございます。