定例会

12月12日 知事の五輪招致発言を真正面から問う 県議会で一般質問

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12月12日、一般質問に立ちました。その内容を公開します。

日本共産党を代表して質問します。

【1】五輪招致をめぐる知事発言、政治資金パーティについて

 2021年開催の東京五輪招致を巡る知事の発言が、国内外に大きな波紋を広げています。

すなわち、2013年招致決定当時、自民党で招致推進本部長だった馳知事は、安倍首相から「必ず勝ち取れ」「金はいくらでも出す。官房機密費もあるから」と告げられ、開催都市決定の投票権を持つ100人あまりのIOC委員に対し、官房機密費でそれぞれの選手時代の写真などを1冊20万円で作成。「それを持って世界中を歩き回った」とする内容です。

会合の参加者に発言のメモをとらないように念を押していたことも、信ぴょう性が高いことをうかがわせるものであり、発言に「事実誤認」があったとすぐに全面撤回したものの、どこが誤認なのか一切語らない態度では疑惑は深まるばかり。

「撤回」で幕引きを図る姿勢はあまりにも無責任と言わざるを得ないし、その政治姿勢が知事として失格ではないかとの批判があがるのも当然と考えます。

 知事は、現在の公式サイトでも五輪招致を実績として紹介しているとおり、スポーツに、そしてスポーツ行政に関ってきたことをアピールして、昨年の知事選挙で当選されました。

その点からみても、県民への説明責任を果たすことが必要であり、以下お聞きします。

IOCの倫理規定は、第4条で「オリンピック関係者または第三者は…ごくわずかな価値の感謝のしるし、または友情のしるし以外は提供することも、受け取ることもできない。そのようなしるしは、オリンピック関係者の公正と高潔性に疑いが持たれるようなものであってはならない」としています。

これらの規定はなぜ生まれたのか、スポーツ振興に関ってきた前衆議院議員として、そしてこれからも県内のスポーツ振興に関わる知事としての認識を伺います.

 東京オリンピック招致のただ中にあった、2013年4月1日の馳浩公式ブログには、「IOC委員への…間接的な働きかけと、東京開催の意義を伝播させるためのロビー活動」との記述があり、当時の「菅官房長官に、五輪招致本部の活動方針を報告、“安倍総理も強く望んでいることだから、政府と党が連携して、しっかりと招致を勝ち取れるように、お願いします!”と発破をかけられる」と明記されています。

このブログにある「思い出アルバム作戦」とはいったいどういう内容ですか、何を目的にしたものですか、明快な答弁を求めます.

 国は2016年五輪の招致に失敗したさい、“きれいな招致活動では勝てない”との教訓を導きだしたと言われており、今回の疑惑は、いまの五輪の根本を問い直し、倫理的なあり方を取り戻すうえでも解明が欠かせません。

表に出ることのない、税金である官房機密費―年間約12億円とされる、領収書不要で、チェックする仕組みもなく使途が問われない「闇ガネ」で、国が五輪を買おうとしたのか否か。

 撤回したからと言って発言の事実は消えません。

知事は今議会の答弁で、「複数の事実誤認があった」「誤った情報が拡散される懸念が生じる」などと答弁されましたが、「複数の事実誤認」とは何か、「誤った情報」とは何か、拡散されると何が問題なのか、どこが「舌足らずだったのか」明快にお答えください…(3)

 識者によれば、民主主義において、健全な統治機能(ガバナンス)を支える重要な概念は、「適正な手続き」と「説明責任」であるとし、法の下の適正な手続きに従って権力が行使されること、そして問題が生じた場合に説明責任が果たされないと、民主主義は成り立たないと指摘。

説明がなければ県民は闇に置かれ、またその説明責任が成り立たなければ為政者は責任をとらなければならない、ともしています。

知事は、この「説明責任が果たされないと民主主義は成り立たない」との指摘をどう受け止めますか。答弁を求めます。

「しんぶん赤旗」が報じた、自民党派閥の政治資金パーティ券収入の疑惑は、最大派閥「清和研究会」(安倍派)が巨額の裏金づくりをしていた疑惑に発展、松野官房長官の更迭、他幹部5人の疑惑も表面化し、岸田文雄政権の政治基盤を揺るがす大問題に発展しています。

所属議員が販売ノルマを超えて集めた分の収入を政治資金収支報告に記載せず、議員側に還流させるキックバックが組織的に行なわれていたとされ、東京地検特捜部が政治資金規正法違反容疑で立件を視野に捜査する事態となりました。

安倍派に所属していた知事は12月6日、「適切に処理してきた」と記者団に述べましたが、その後12月9日の報道では、「安倍派の大半の所属議員側が…キックバックを受けていたとみられることが関係者への取材で新たにわかりました」とされ、当然安倍派の閣僚経験者でもある、馳知事にとっても説明責任が問われます。

「適正に処理してきた」と説明した議員も、その後疑惑が表面化しているなかで、あらためて、知事が衆議院議員時代にキックバックを受けていたのかどうか、またそれを証明するものは何か、明快な答弁を求め、次の質問に移ります。

(ア)実質賃金

 物価高騰に暮らしの悲鳴があがっています

 今回の物価高騰がとりわけ県民生活にとって苦しく深刻な打撃となっているのは、自民党政治のもとで、30年という長期にわたって経済の低迷と衰退―いわば「失われた30年」で、暮らしの困難が続いていたところに、物価高騰が襲いかかっていることによるものです。

それは、岸田首相自身が9月25日の会見で「長年続いてきたコストカット型の経済」が、賃金や設備投資までコストカットの対象として削ってきたことで、「消費と投資の停滞」を招いたことを指摘、「30年ぶりに歴史的転換を図る」と強調せざるを得なかったことにも裏付けられています。

 経済の低迷と衰退のひとつは、日本は世界でも特異な「賃金が上がらない国」となっているからであり、事実我が国の実質賃金は1991年(平成3年)から2022年(令和4年)にかけて、0.88倍。

県内の実質賃金は、1991年から2022年まではどのように推移しているでしょうか、お答え下さい。

(イ)国民健康保険について

経済の低迷と衰退の第2は、重税と貧しい社会保障・教育です。

消費税は「社会保障のため」との名目で5%から8%、10%へと14兆円もの大増税が行われたものの、増税分は富裕層・大企業減税などの穴埋めに消え、社会保障は年金、医療、介護など、あらゆる分野で負担増と給付削減が繰り返されました。

 介護保険料は、県の「長寿社会プラン」によれば、65歳以上の高齢者が負担する保険料(基準月額)は、導入当初の第1期で加重平均2,940円から、現在の第8期は6,349円と実に2.2倍に跳ね上がりました。

国民健康保険料は、国全体では1990年は1人あたり年6,2万円だったものが、2020年度には9.6万円と1,5倍。県内の1人あたりの国民健康保険料の同時期の推移はどうなっているのか、お示しください。

国民健康保険に関しては、今回の知事提案説明で、国の方針を受け「各市町の保険料水準の将来的な統一を目指す」と重大な表明がありました。

 しかし、2020年12月に策定された県国保運営方針では、「本県では、市町の医療費水準や保険料水準に相当の差異があり、一斉に保険料水準を統一させることは、被保険者の保険料負担の急変を招く恐れがあることから、当面、保険料水準の統一を行わない」と明記されており、重大な方針転換と後退。国いいなりのそしりをまぬかれず、国保運営協議会での議論を待つことなく県として方向をだすのは、乱暴ではないでしょうか。

 全国的にも保険料水準の統一には慎重であり、納付金算定時に各市町村の医療費水準を反映させない「納付金ベースの統一」を行っているのはわずか6府県、新たに5道県が採用する見通しと言われますが、少数派です。

県は、市町の保険料水準の統一によって、今でも高くて払えない人がいる保険料の負担がいちじるしく増加せざるを得ない恐れをどのように認識されているのでしょうか、お聞かせください.

今必要なのは、国いいなりで保険料水準の統一にむけた準備をすすめることではなく、全国知事会、全国市長会などが求めているように、加入者の所得が低い国保が、他の医療保険よりも保険料が高く、負担が限界になっている「国保の構造問題」の解決へ、公費投入・国庫負担を増やすよう要望すると同時に、県として国保料(税)を引き下げる支援をさらに強化することです。見解をお聞きします。

また、国保運営協議会での議論だけでなく、県民や被保険者、医療関係者との直接的な意見交換の場をもつなど丁寧な対応が必要とは考えませんか、あわせて見解を伺います…(10)

少なくとも今回のような、関係者の意見を聞く場をもたず、上から保険料水準の「統一に向けた準備を進め」る方向は、撤回・凍結すべきと考えます。知事の所見を伺うものです。

(ウ)県立大学の学費について

世界一高い学費と貧しい奨学金制度によって、若者が背負わされている借金は総額10兆円にも及び、30年間で7倍になりました。

高学費の負担軽減は焦眉の課題であり、わが党は大学・専門学校の学費半減などを求めています。

 県が関わる県立大学、看護大学において、学費は何を基準に決められ、どのように推移してきているでしょうか。
 県立大学は1991年当時の農業短期大学から、看護大学は創立当日の2000年からの推移をお示しください。

(エ)農業問題

経済の低迷と衰退の第3は、食料・エネルギーが自給できないことです。

 食料自給率は令和4年度カロリーベースで38%と、この30年余で10ポイント近くも下落しました。かつて1965年にはまだ73%の自給率を維持していたことからみても、この間の自民党農政の失敗は明らかです。

県内食料自給率は、令和3年度生産額ベースで43%、成長戦略ではこれを10年後に、55%にまで引き上げるとしていますが、30年前の県内食料自給率はどの程度だったでしょうか。お示しください。

あわせて、農業の振興のためには、価格保障・所得補償が欠かせません。国に求めることが肝心と考えますが、県の姿勢をあわせてお聞きします。…(12)

これら3つの要因をふまえ、暮らしも経済も「良くなる」という、深刻な状況・閉塞感を打破する抜本的な方策が、県としても求められます。

わが党は、9月末に、政治の責任による賃上げと待遇改善、消費税減税など3つの柱からなる「経済再生プラン」の実行を提唱しましたが、県においても30年に及ぶ経済停滞・暮らしの困難を打開する立場で、「成長戦略」の実践的な検証を行うよう強く要望します。

(オ)県立図書館

関連し、公務の職場は、民間よりも非正規の割合が高く、賃金格差も大きく、雇い止めも深刻だと指摘されています。公務員削減、定員合理化によって、特に市民と直接接する業務で、人手不足を非正規や民間委託にしてきたためであり、新自由主義による公務の削減、パブリックを投げ出す施策がもたらしたものに他なりません。

とりわけ県立図書館の職員の配置などの現状はどうでしょうか。

知事部局移行前の平成28年11月の総務企画委員会での答弁では、正規職員割合は60.5%、約4割は非正規とのことでしたが、

知事部局移行後の正規職員の割合、業務委託の現状など、またその考え方についての県の所見を伺います。

【3】医療・介護現場からの切実な声にこたえるために

来年度の診療報酬改定にあたり、財務省の諮問機関である財政制度審議会が、医療機関の人件費や設備関係費となる報酬「本体」の引き下げを提案したことに、大きな怒りの声が広がっています。

医療法人の診療所が黒字となったことを口実にしているようですが、日本医師会会長は、11月22日の記者会見で「新型コロナ禍で頑張ったところから召し上げるのは、通常医療と両立して頑張った医療従事者の心が折れる建議」「思い切ったプラス改定しかない」と語りました。

  県内の医療従事者からも「コロナで多大な影響を受けている診療所の経営にさらに大きなダメージを与える暴論」との声があがっています。

 県として診療報酬のプラス改定を行うべきと、国に強く要望すべきではありませんか。見解を求めます。

11月9日、石川県医療労働組合(医労連)は県に対し、「母性保護、生理休暇アンケート結果を受けて母性保護推進の申し入れ」を行い、私も同席しました。

今年8月取り組んだアンケートは、医療・介護で働く290人の組合員が回答、9割弱の人が生理による体調の不具合を訴える一方、生理休暇をとっている人はほとんどいない、ということでした。

その理由は、「周りが誰もとっていない」45%、「仕事が多忙で雰囲気としてとりづらい」31%となっており、生理休暇の名称を変更し、更年期障害も含め体調不良時に使用できる休暇にしてほしい、など切実な声があふれています。

  そこでお聞きします。

県職員の生理休暇取得の現状はどう把握されていますか?特に、医療・介護・福祉現場における生理休暇の取得の現状を、民間も含め調査をすべきではありませんか、見解をお聞きします。

 労働基準法第68条は「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合は、その者を生理日に就業させてはならない」とし、使用者からの申請は拒否できないとされ、有給での取得が望まれます。

県内の医療・介護・福祉で働く労働者が生理休暇を取りやすくするよう、生理休暇の取り方の周知、根本的な解決策である人員不足の解消など、県として努力をすべきではないか、見解をお聞きします。

【4】学校部活動でのセクシャル・ハラスメント根絶

学校の部活動における、体罰・暴言・ハラスメントの一掃に関してお聞きします。

 スポーツの指導現場は一般社会よりもセクシャル・ハラスメントが起こりやすいと言われ、その理由として、他人の身体に触れる機会が多いこと、合宿や遠征などで他人と共有する時間が長いこと、が指摘されています。

 とりわけ学校の部活動では、指導者は大人、競技者は子どもと主従関係が強く、指導者は誰をレギュラーにするか決定権を持つなどしており、そうした人から「いやだ」と感じることをされたとしてもなかなか言い出せず、よほどの意識的な取り組みがなければ、セクシャル・ハラスメントを見過ごすことになりかねません。

 スポーツ庁は2018年3月、運動部活動の在り方に関する指針をまとめ、生徒の心身の健康管理や事故防止、体罰・ハラスメントの根絶を徹底する指導を改めてよびかけました

 この指針を受け、部活動におけるセクシャル・ハラスメントの一掃へ県教育委員会としてはどのような取り組みをすすめてきたのか、相談窓口の設置、匿名での相談を受け付けるなど今後の取り組みの強化をどうすすめようとしているのか、告発した人などへの2次被害を防ぐための方策などについて、見解をお聞かせください。

【5】特別支援学校の通学区域見直しに関して

9月議会予算委員会質疑でとりあげた、特別支援学校の通学区域の見直しに関してお尋ねします。

 この目的は、「いしかわ」と「明和」特別支援学校両校の教育環境の改善を図るため」と説明されました。

しかし、「通学時間が長くなり、その支援のために仕事を辞めざるを得なくなる」「慣れ親しんだ放課後等デイサービスも変更になる」など、教育環境の悪化につながる生徒と保護者が生まれるという矛盾に直面しています。

教育長には、通学区域の見直しによって、教育環境の改善につながらなくなる懸念がある、との認識はありますか?見解を求めます。

 問題の根本には、支援が必要な児童生徒の増加に、学校整備が追い付いていないことにあるのは明白であり、全ての市に特別支援学校か分校を設置する計画をもつことが必要です。見解を求めると同時に、せめて今問題となっている、明和特別支援学校のマンモス化解消へ、学校ないし分校新築の対応策を検討すべきと考えます。あわせて所見を伺うものです。…(20)

【6】都市再生特措法と、金沢の街づくり

 JR金沢駅前の都ホテル跡地などの再開発に関してお聞きします。

 都市再生特別措置法の活用に関し、村山金沢市長は「都市再生緊急整備地域」への候補地は、金沢駅から片町に至る広大な都心軸とすると表明。金沢都ホテル跡地は、「都市再生特別地区」に位置づけられるとされています。

都市再生特別措置法は、大規模開発、高さ制限撤廃などの規制緩和、民間投資の拡大をすすめるものであり、住民合意が後回しされ、生活環境の破壊にもつながることが懸念されます。

金沢市は、その歴史と伝統・文化をふまえ、関係者との協議などの積み重ねを経て、高さ制限などが生まれ、2009年には「金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例」が制定され、景観に関する金沢での基本条例とされています。

知事は、この条例の意義をどう認識されていますか、お答えください。

知事のいう「県の役割」として、県としての都市計画決定にあたっては、拙速に陥らず、利権優先を戒め、地元住民や関係者との合意を重視し、関係する金沢の景観条例の精神を尊重することが求められます。県の姿勢を伺い、全ての質問を終わります。

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