6月23日県議会第3回定例会で一般質問をしました。質問内容を公開します。
日本共産党を代表して質問します。
【1】奥能登地震災害対応…政府要望書をふまえ
(1)支援の県の基本姿勢について
震度6強を珠洲市で観測した5月5日の地震の翌日、私は井上さとし参議院議員と被害の大きかった珠洲市正院地区を訪れ、現地の日本共産党支部の人の案内で被災状況を調査しました。
1階がつぶれてしまった家、納屋が全壊した方、珪藻土の山が崩れ、家が押しつぶされた現場…ただちに国や県の支援が必要と、内閣府作成の災害救助法にもとづく公的支援のリーフレットも配布し、たいへん喜ばれました。
1週間後の5月14日には、衆議院災害対策特別委員の田村貴昭衆議院議員と狼煙地域を訪れ、珠洲市の担当者からも被災状況について説明を受けました。
家の土台のモルタルにひびが入った高齢のご夫婦の世帯は、「応急判定の人が来ず、壁の4隅も崩れているが、これから住み続けられるかどうかわからない。今後の地震も心配」とのことでした。事実、応急危険度判定は通常10日間程度行われるにも関らず、6日後の5月11日で終了せざるを得なかったようであります。
ここに象徴的に示されているように、珠洲市は半島の先という地理的条件もあって、過疎・高齢化が進み、一人暮らしの高齢者も多いという地域の特性、市の財政基盤も弱く行革などによる職員減でマンパワーが足りないという状況を踏まえ、特別の支援がなければ公的支援の情報が行き届かず、取り残される住民が生まれかねません。
加えて、昨年2022年6月に珠洲市で震度6弱を観測した地震による被害を直したところへの重ねての被害、コロナ禍から立ち直ろうという矢先の災害でもあり、
5月29日に3たび衆参前国会議員ともに珠洲市を訪れた際には、地元経済界からも、「もう仕事を辞めざるを得ない」「珠洲を離れて子どもが住むところで暮らすことになるかもしれない」など、「元に戻る力も弱くなっている」との悲痛の声を聞きました。
そこでお聞きします。
更なる過疎化の進行も危惧されていることもふまえ、今後の余震や群発地震による被害の拡大を防ぎ、一刻も早く早急な住民の生活・生業再建を実現するために、県も、国も現地に座り、「市からの要請にもとづいて」という立場から一歩踏み出し、国や県から支援を提起するプッシュ型の支援を行うため、人的・財政的支援を行うことが必要と考えます。知事の、復興・再建にあたる基本姿勢について伺うものです。 以下、具体的にお聞きします。
(2)罹災証明の発行支援
・り災証明の申請後行われる被害判定は、大きい住家等では時間がかかり、再調査の要望にも 丁寧にこたえていくことが必要です。
・6月9日政府要望に行った際、罹災証明の発行について、当時“1日4件、発行2週間待ち”との報道に、国職員からも驚きの声があがり、「総務省に応援派遣を要請してほしい」とのことでした。
・珠洲市は、罹災証明の申請件数は最大で4000件程度にまで増える可能性があるとしており、高齢化が進み「罹災証明申請へ、車もなく市役所へ行くことができない」などの声にこたえるべく、被災者に寄り添った支援が必要であると思いますが、県はどのように認識しているのかお聞きします。
・市のマンパワーが足りないもとで、迅速な罹災証明の発行にむけた県・国の人的・財政的な支援が求められますが、県としてどう支援しようと考えているか、見解をお聞きします
(3)屋根の修理
・珠洲市特有の大きく重い「黒い屋根瓦」が市内で数多く壊れ、ブルーシートを張っている家屋が多数ありますが、「市内に生産する工場がなく他県の業者に特注せざるを得ない」「瓦修理は100番目と言われた」というのが現場の状況です。
・政府要望の場で国の担当者から、過去の房総半島台風の被害の経験をふまえ、「本格的な修理ができない場合」「破損部分に耐久性の高い防水シートを貼り、保護シートで覆う工法」の提案があり、珠洲市での活用も期待されます。
・耐久性の高い防水シートの活用は進んでいるのか、屋根の補修の完了までどの程度の時間がかかるのか、県としてどう支援するのか、所見を伺います。
(4)住宅の応急修理等への支援
・災害救助法にもとづく準半壊までの住宅の応急修理を早く行うことが求められますが、「畳屋、建具屋ともに市内に1軒しかない」と聞きました。住宅の応急修理に関する住民の要望にこたえるだけの体制が作られているのか、実情をお尋ねします。他市町への応援要請含め、県の支援が必要だと考えますが、あわせて県の認識をお聞きします。
・数多くの一部損壊の住宅修理は、応急修理の公的支援の対象になりません。「風呂が壊れて入れない」「壁に長いひびが入った」「昨年の地震で屋根瓦を60万円で修理したが、また壊れた。今後の地震でどうなるか」などの声があり、年金だけの収入では修理などを躊躇する人もいます。
・珠洲市は準半壊、一部損壊の住宅に支援金を出す補正予算を組んだことは大変重要と考えます。市の財政負担を軽減するために、県としての財政支援をとってはどうかと考えますが、所見を伺います。
・今後の群発地震を展望した際、傾いているブロック塀等の除去について、珠洲市の「ブロック塀等除却事業」の周知、補助対象物の拡大などへ、県の支援策が必要と考えます。所見をあわせて伺います。
・農村地帯でもあり、壊れた納屋の修理・再建への公的支援も求められます。
(5)住宅の再建に向けた支援
・応急判定で、「この建築物に立ち入ることは危険です」と明記された「危険」の赤紙が貼られた家に住み続けている方は、「このまま住み続けられるかどうか。しかし新しい家を建てるには、被災者生活再建支援の300万だけではとうてい足りないし、今後を考えれば新築も躊躇する」と肩を落としていました
・珠洲市が生活再建支援法の上乗せを行う予算を組んだことはたいへん重要ですが、上乗せをしなければならないほど国の支援額が低いことが明らかとなり、わが党は、加算金を2倍にし、支援金全体の最高額を500万円に引き上げること、国庫負担を拡充するなど、具体的な提案を行っています。
・高齢世帯の多い地域での地震被害に鑑み、特に住まいの確保に向けた丁寧な支援が求められます。県として生活再建に向けて、市をどう支援しようとしているか、所見を伺います。
(6)事業者支援
・コロナ禍から抜け出し、ゴールデンウィークの観光客でにぎわっていたにも関わらず、一時休業に追い込まれ、再開の見通しのたたない事業者からは「こんなことになるなら長生きしなければ良かった」との悲鳴があがっています。
・「味噌を作っていたが、後継者もおらず再開の見通しが立たない」などの地場産業・観光産業の事業者に対し、「希望と意欲が持てる」「元通りに事業ができる」支援策が求められます。
・県の補正予算に計上される、国の地方自治体連携補助金を活用した、上限300万円の補助金は、「融資を受けようと思っても今までの返済もあり躊躇する」との事業者にとっては、大変大事と考えます。
・昨年の能登地震及び南加賀の大雨災害における、被災事業者に対する支援でもこのメニューが活用されたようですが、具体的にどのような支援が行われたのか、決算総額を含め実績をおきかせください。
・この補助金の適用にあたっては、生産性の向上や販路開拓といった前向きな取り組みに対して活用できるとのことですが、高齢化などの状況にかんがみ、様々な条件をつけず「元通りに事業ができる」よう特段の配慮が必要と考えます。県の姿勢を伺います。
(7)見守り・相談支援等事業具体化への支援
・日本共産党能登地区委員会も災害対策本部をたちあげ、5月中旬、2回にわたって被災住民100世帯から聞き取りを行い、
・昨年来からの地震で「車の走る音だけでも不安になる」「いつまた地震が来るか不安で、夜も安心して寝られない」との悲鳴が寄せられ、珠洲市に要望書を提出しました。
・一人暮らしの高齢者、高齢者だけの世帯、認知症の方や障害者のいる世帯、耳が遠くて会話も困難な場合もあり、「話を聞いてくれるだけもありがたい」との声もあり、心のケア、公的支援に結び付ける支援が求められています。
・わが党の国会での質問も受けて、孤立防止等のための見守りや支援や日常生活の応援を行った上で、被災者の方を各専門相談機関につなぐなどの支援を行う「被災者見守り・相談支援等事業」の適用が可能であるとのことであり、政府要望の場では、実際珠洲市と情報共有を始めている、とのことでした。
・しかし、珠洲市だけで具体化するのは、マンパワー不足のもとで困難もあると考えられ、県としての役割発揮が求められます。
・国会質疑では、この事業の実施にあたり、新たな「職員雇用や人件費も補助対象となる」とのことであり、珠洲市全域でこの事業が展開され、誰一人取り残さず、被災者ひとりひとりの実情にあった支援が行き届くようにすることが必要と考えます。
・この事業の実施にあたり、県としてどう珠洲市を支援するか、国にどういう支援を求めるか、県の姿勢を伺います。
(8)今後の群発地震を想定して
・今後の群発地震も長引くとの研究結果があることを踏まえ、空き家率が2割を超えることから、半壊まで至らない空き家の修理や解体費用への支援、更地にした際の固定資産税の減免措置などが求められます。
・固定資産税の減免は市の収入減にもつながることであり、これらの点での県の支援策の具体化を強く要望するものです。
・今後の住宅の耐震化工事がすすむよう、住民への周知、さらなる公的支援を行えるよう市を支援することも必要です。
・珠洲市の「耐震改修促進計画」によれば、2018年度末の住宅の耐震化は総戸数5886戸の約51%にとどまり、耐震性なしが3159戸残されています。
・中間目標として2025年度末までに耐震化率を65%にまで引き上げるとしているものの、「アクションプログラム2020」によれば、2009年からの改修実績は2件の補助実績にとどまっています。
・この間の群発地震、昨年の地震被害にも鑑み、県として珠洲市の耐震化工事を促進するための、特別な支援が必要と考えます。県の見解を伺い、次の質問に移ります。
【2】新型コロナ5類に伴う対応について
・新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う減額補正が、231億円にのぼりました。
・このウイルスは、感染力が高く、インフルエンザのような治療薬が開発されておらず、高齢者や基礎疾患を持つ方にとっては未だ危険な感染症であり、後遺症対策も十分とは言えません。
・公衆衛生の基本である、感染者をいち早く見つけ出し、保護・治療する対策を疎かにすることがあってはなりません。
・国の補助金などとは別に、県の一般財源として減額補正した予算は、どの程度になりますか。
・その予算を使い、少なくとも薬局での無料検査、医療機関・高齢者施設での頻回検査を継続すべきと考えます。県の姿勢を伺います
【3】県の「成長戦略」素案について
・県の「成長戦略」素案について端的にお尋ねします。
・戦略1の産業政策については、「貧困と格差」を広げてきた非正規雇用拡大の労働法制改悪についての検証、「賃上げの環境整備」と大企業を支援しても賃上げへ好循環が起きなかった反省が見受けられず、県内労働者の賃上げに、県としてさらにどう踏み込むのかが不鮮明です。
・最低賃金1500円以上を目標と明記すべきであり、県の最低賃金引き上げへ県としてどういう努力をするか、所見を伺います。
・戦略2については、とりわけ奥能登の基幹産業である農林水産業振興のために、食料自給率、新規就農者数をさらに高い目標に設定し、意欲的な取り組みを具体化することが求められます。
・戦略3については、西部緑地公園再整備は過大な開発にならないよう留意すべきであり、
・戦略4「石川の未来を切り拓く人づくり」では、全国学力調査の平均正答率の目標をかかげることは、過度な競争を生み出しかねず削除すべきであり、「自己肯定感の高い児童生徒の割合」を目標にすえてほしいと提案します。知事の見解をお聞きします。…(15)
・戦略5「温もりのある社会づくり」では、子どもの医療費助成制度を中学卒業まで拡充することを明記し、
・戦略6:「安全・安心かつ持続可能な地域づくり」では、志賀原発廃炉の立場を確立し、再生可能エネルギーによる発電電力量の目標をさらに引き上げるべきと考えます。
・関連して、志賀原発に関する規制委員会審査会合において3月、敷地内断層の活動性はないとする北電の評価が概ね妥当とされた件についてお聞きします。
2016年の有識者会合の報告は、上載地層法という、断層の活動時期の判断に通常とられる方法で、シーム「S-1」に関る地質のスケッチも参考に、「活動性を否定できない」「活断層と考えるのが最も合理的」という評価を下したのであります。
・しかし、今回北陸電力と規制委員会が採用したのは「鉱物脈法」による活動性評価で、この手法については、年代の精度の問題に加え、有識者会合のメンバーだった東京学芸大教授の藤本光一郎さんが「上載地層法は広い範囲を見るのに対し、鉱物脈法は非常にピンポイントな情報を集める…2つを並列に扱うのはどうか」と指摘されています。
・2つの結論が共存しているにも関わらず、規制委員会は有識者会合の見解を改めて聞くことはしないというのは、極めて一方的であり、ここで県の役割が問われていると強調しなければなりません。
・まず、規制委員会審査会合で採用された、断層の活動性評価の手法のひとつとされる「鉱物脈法」の問題点などについて、県はどのような認識をお持ちか、端的にお答えください。
・2つの結論が共存し、国が片方の結論のみを採用したなかで、県としてあらためて「活動性は否定できない」とした有識者会合の意見を聞く場をもつことが必要と考えます。県の姿勢をお聞きします。
・我々の前に広がる道は、地震大国と言われる日本で、原発をつくって安全な地域はどこにも存在しないということであり、原発ゼロの決断が求められていることをあらためて強調し、次の質問に移ります。
【4】第2滑走路問題
・小松基地の第2滑走路について、知事は極めて前のめりですが、防衛大臣ですら「1本で十分」と述べる有様です。
・知事は、「防衛上の観点からの第2滑走路の必要性を国に理解いただく」といいますが、その必要性とはいったいどういうものですか、明らかにしてください。
岸田政権による敵基地攻撃能力の保有、軍拡路線の具体化にしてはなりません。
・また、小松基地による騒音被害については、騒音裁判の判決で今でさえ「受忍限度を超える」騒音被害と断罪しており、第2滑走路の建設とそれに伴う戦闘機訓練の増加は、さらなる騒音被害などにつながるもので容認できません。
・少なくとも今以上の戦闘機訓練を行わせない、との立場に立つべきです。知事の明快な答弁を求めます。
【5】社会のデジタル化
・社会のデジタル化については、紙の保険証を廃止し、マイナンバーカードを強要する法案が成立させられた後に、誤登録などが次々と明るみに出たことに見られるように、個人情報保護の面でも、「誰一人取り残さない」どころかカードを所得しにくい高齢者や障害を持つ方などが国民皆保険制度から排除されかねない面でも、多くの問題が露呈する結果となりました。
・昨年10月の第1回県デジタル化推進会議において、最高デジタル責任者の西垣副知事は、「マイナンバーカードの全住民への交付」と説明しましたが、一連の経過を見ると、この方向性はいささか無理があると考えます。
・県保険医協会による会員向け調査中間報告では、県内の医療現場でも、いったん患者に10割の給付を求めるなど、33医療機関でトラブルが起こっているとのことであり、保険証と一体化する来年秋の運用は中止するよう、県として国に求めるべきではありませんか。知事の明快な答弁を求めます。
【6】暮らし応援
・物価、電気代高騰に伴う、県民の暮らしへの直接支援が求められます。
・県内でも学校給食の無償化に踏み出す自治体が増え続け、その切実さに県としてこたえる必要があります。
・県は、学校給食法第11条を持ち出し「保護者負担が基本」と繰り返しますが、市町はそれをのりこえ、無償化に足を踏み出しているもとで、県として、例えば無償化に踏み出した市町へ負担分の半分を支援する制度設計を行ってはどうかと考えます。見解をお聞きします。
・私はこの3月、金沢市内の県営住宅の方々へアンケートをお願いし、約40通の返答をもらいました。
・「電気代があがると不安」「収入は増えず減るのに、家族の医療費の自己負担が増え苦しい」など涙なしに見れない切実な声にあふれており、これらの声にこたえる県の役割が問われます。
・共益費について、「毎月1500円は高い」などの声があり、共用部分の電気代の負担軽減へ、「早くLEDにしてほしい」との声も聞かれます。
・県として省エネ設備導入へ様々な支援策をとっている現在、県営住宅の共用部分においても、入居者に負担をかぶせることなく県の責任でLED化をすすめるべきと考えます。県の所見をお伺いし、すべての質問を終わります。