18日、馳浩石川県知事あてに「珠洲市等での地震被害に関する要望書」(第1次)を提出しました。
5月5日の地震後、私が日本共産党石川県委員会の地震災害対策本部長となり、翌6日には井上さとし参議院議員と、14日には田村貴昭衆議院議員・災害対策特別委員と現地入りしました。そこで現地の被災状況を見てまわり、被災者の要望をお聞きしました。また、珠洲市危機管理室長から国などへの要望もお聞きしました。
14日には党能登地区委員会が正院地区で約70世帯から聞き取り調査を行いました。これらを踏まえ、第1次として要望をまとめ、提出したものです。詳しくは、要望書をご覧ください。県からは、南良一危機対策課長らが対応しました。
石川県知事 馳 浩 殿
珠洲市等での地震被害に関する要望書(第1次)
2023年5月18日
日本共産党石川県委員会 委員長 秋元邦宏
県議会議員 佐藤正幸
震度6強を珠洲市で観測した5月5日の地震から2週間余が経過した。日本共産党石川県委員会は地震災害対策本部(本部長=佐藤正幸県議)をたちあげ、翌6日には井上さとし参議院議員が佐藤県議とともに現地に入り、住民の要望を聞いて国会で質問。14日には田村貴昭衆議院議員・災害対策特別委員が佐藤県議と現地に入り、珠洲市危機管理室長から国などへの要望をお聞きするとともに、狼煙地区などで被災者の要望を聞いた。同日、党能登地区委員会は正院地区での聞き取りを行い、約70世帯から要望を聞いた。
珠洲市は半島の先という地理的条件もあって、過疎・高齢化が進み、一人暮らしの高齢者も多いという地域の特性、市の財政基盤も弱いという状況もふまえ、今後の余震や群発地震による2次被害を防ぎ、住民の生活支援のために以下の点を第1次として要望する。
1)被害と被災者の実態把握のためにも、被災建築物応急危険度判定を全市的に行えるようにするなど、県としての人的派遣を強め、総務省などにも応援要請を行うこと。
・住宅がずれるなどの被害にあった狼煙地区や、被害の大きかった正院地区でも中心部から離れた地域では、応急危険度判定がなされないまま、判定作業が終了することとなった。しかし、被災された住民から「余震が心配でこのまま住み続けられるかどうか不安」「家が押しつぶされたが、何からどうしていいのかわかない」との不安の声が聞かれる。
・被災建築物応急危険判定は、建築の専門家である判定士による現地調査でもあり、目的である2次災害の防止とともに、被災者の不安緩和につながると言われている。
・しかし、行政改革等による市の職員不足もあり、被災者の立場にたった支援を届けるには圧倒的にマンパワーが足りない。こうした実情をふまえ、被害の実態をつかむうえでも、県と国の主導で珠洲市全域で被災建築物応急危険度判定を行えるよう、支援策を検討してほしい。
・その他、写真を添付した罹災証明申請などはじめ、耳の遠い一人暮らしの高齢者等にも支援が行き届くよう、県・国の人的支援を強く要請する。
・市と協力して、「なんでも相談窓口・電話」などを開設し、出先機関の開設も含め、住民の不安や要望にこたえられる体制がとれるよう県の人的支援を行うこと。
2)国に対し、激甚災害に指定されるよう要望すること。環境省の「災害等廃棄物処理事業費補助金」を柔軟に適用し、倒壊した建物の解体・撤去費用などが公的支援の対象となるよう、助言等を行うこと。
・同事業の補助(国2分の1、市2分の1)対象は、一定以上の被害の判定を受けた個人所有の家屋に加え、中小企業の所有建築物、これらと一体となって撤去する工作物も対象となるとされている(環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課「災害関係業務事務処理マニュアル」令和4年11月改訂など)。
・加えて、「特定非常災害」に指定された場合は、「全壊」だけでなく「半壊家屋の解体も含めて補助対象とする」とされている(同マニュアル151ページ、問43)。
・5月9日の参議院内閣委員会における、井上さとし参議院議員の質問に対し、「自費で処置した後でも市町村が同事業の対象として行うものであれば(公的支援の)対象となりうる」と答弁している(同マニュアル問45)。
・「全壊」だけでなく、「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」などにも同事業が適用されるよう、「特定非常災害」の指定を国に求めるとともに、実施主体である珠洲市が同事業を柔軟に適用できるよう、県として助言すること。
・り災証明の際、住宅等の被害程度の認定について「事実上住むことができない」場合はその点を考慮することや、再調査も可能であることなどが住民に周知できるよう、県として珠洲市を支援すること。
3)家屋の塀やブロックなどの倒壊防止のための応急処置、納屋などの再建がすすむよう県の財政支援も検討すること。
・塀やブロックが傾いているものが散見され、余震によって倒壊する危険もある。応急処置などがすすむよう支援すること。
・納屋などの解体・撤去、再建などについても支援策を検討すること。
4)災害救助法による住宅の応急修理の対象とならない、一部損壊などの世帯に対する支援策を講じられるよう、県の支援を行うこと。
5)仮設住宅の完成までには、一定の時間を要することから、近隣自治体の公営住宅の確保や民間アパートの借り上げなども含め、ニーズに応じて住まいが確保されるよう支援すること。
・準備されている公営住宅は5階のため入居しづらい、仮設住宅は家を修理する間だけでは入れないと聞いた、との声にこたえ、県としての支援策を検討すること。
6)珠洲市の地域経済を支える生業・中小零細事業者への支援を強化すること。
・地震により店舗の瓦が壊れ、翌日からの雨により雨漏りで壁の断熱材も破損して床に散乱、取引先の農家のビニールハウスが倒壊したことも含め一時閉店を余儀なくされ、今後事業が継続できるかどうか不安をもつ方もいる。
・コロナ禍から少し抜け出し、ゴールデンウィークの観光客でにぎわっていたにも関わらず、地震によって休業せざるを得ない事業者・観光産業への支援が求められる。
・能登半島の先端であり、観光に頼らざるを得ない地域の特性にかんがみ、「元通りの事業ができるようにする」基本見地をすえて県の支援策を検討すること。
7)空き家の撤去費用・修理費用などの公的支援がさらに充実できるよう、県の財政支援を行うこと。
8)上記を踏まえ、県としての被災者再建支援制度をつくること。
・内閣府の資料によればすでに40都道府県で独自の支援策をつくっている。
9)今後起こりうる群発地震を想定した場合、今後の住宅の耐震化工事がすすむよう、住民への周知、さらなる公的支援を行えるよう市を支援すること。
以上