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2021年9月定例会一般質問を公開します

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 9月8日から9月定例会が行われ、佐藤正幸県議が9月14日一般質問に立ちました。この概要を紹介します。

年半に及ぶパンデミックは、日本社会が抱える矛盾を根本から明るみに出しました。それは県政も同じです。これに対応する力を持ちえなかった菅首相の政権投げ出しは、党をあげて安倍・菅政権の9年間を支えてきた自公政治そのものの破綻であり、総裁選で目先の「顔」を変える「競い合い」を演じても、新しい政治は生まれてこないでしょう。今求められることは、目前に迫った総選挙で、野党が結束して政権交代を実現することであり、県政においても継続・継承でなくその中身を変えることです。その立場から、以下、日本共産党代表して質問します。

 

【1】従来の延長線上でない新型コロナ対策を

(1)なぜ県内で自宅療養が増えたのか

 わが党は8月19日、科学的姿勢にたち、菅首相あてに「コロナから命を守るための緊急提案」を届けました。

 政府が8月3日、重症者と重症化リスクの高い患者以外は、「原則自宅療養」という重大な方針転換を行ったことは、究極の自己責任の持ち込みであり、東京などで結果として救える命が救えなくなるという事態を招いたことは、痛恨の極みです。この方針を前後して、県内でも「自宅療養」が急増し全療養者の5割を占める状態となる時期もありました。例えば8月8日、入院247人、宿泊療養130人、合計377人に対し、自宅療養はそれを上回る、384人でした。今議会の知事の議案説明でも、「原則として、軽症や無症状の方については宿泊療養施設に直接入所していただき」、「医師の判断の下、自宅療養が認められた方」と自宅療養は例外的扱いのはずであるにも関わらず、なぜこうした事態になったのか、説明を求めます。

 東京江東区でコロナ患者の治療にあたる、感染制御医師の白石廣照(ひろあき)氏は、「どの患者さんが重症化するのかは、入院していればある程度予想がつきますが、自宅療養で重症化リスクを予測するのは不可能」と指摘します。政府が「自宅療養」の方針を今なお撤回していないことからみても、県として入院・宿泊療養の原則を貫くために、宿泊療養施設における医療機能を強化することを求めます。見解を伺います。

(2)感染症対策の基本、感染源対策のために大規模検査の具体化を

 政府新型コロナ対策分科会メンバーでもある、谷口清州(きよす)三重病院院長は、「感染症対策は、感染経路対策、感染源対策、ワクチンをはじめ宿主免疫の3つをバランスよく進める以外にない」と指摘。経路対策として、五輪に関する矛盾を認めてメッセージを明確に出し、国民に協力を依頼するしかないが、感染経路対策にだけに頼るといろいろなひずみが出てくるとし、「重要なのは検査で無症状感染者を発見し、保護・隔離していく感染源を減らす対策です」と強調します。

 具体的には「唾液のPCR検査か抗原検査キットを用い、事業所あるいは自宅で1日2回まで無料で検査する。検査して陰性なら感染対策をして活動する。もし陽性であれば、自宅待機してもらう。そうやって感染伝播の鎖をひとつひとつ断ち切る」と強調しているように、「自粛を求めるだけでなく、感染拡大防止対策の体制」を県としてもきちんと整備することが必要ではないでしょうか。

 行政検査を抜本的に拡充するとともに、事業所、学校、保育園、学童クラブ等が行う自主的な集団検査に、県が思い切った補助を出して、推進することを提案します。県の見解をお尋ねします。

 谷口氏は、東京五輪では、毎日検査して200人以上の感染者が出ているとし、「五輪でできるなら日本人の家庭でもできるでしょう」とのメッセージに、真摯に耳を傾けるべきと考えます。

 大規模PCR検査を行ってきた広島県において、大規模抗体調査も行った疫学・疾病制御学の田中純子・広島大学副学長は、「感染制御の立場から言えば、感染拡大地域からの人流をできるだけ控えてもらうことが必要」としながら、「感染が下火の時にPCR検査で無症状の人を補足することを続ける。みんなが集団免疫をつけ治療薬が出るまで待つしかないと思う」とも述べています。

 岐阜県飛騨市では、8月1日から2か月間、水際対策として、市民だけでなく帰省者も対象に、無症状のPCR検査を無料で実施しています。感染に不安のある市民が、市内の指定医療機関でPCR検査を行った場合、自己負担3000円で受けられるようにしていますが、夏期限定で、自己負担なし、回数制限なしになり、期間中に飛騨市に帰省した人も対象になります。

 三重県議会では、8月27日の臨時議会で5億円のPCR検査予算を可決。若者を中心とした無症状感染者の把握を目的に、県内のショッピングセンターや駅前など6カ所で希望者に検査キットを無料配布、自宅等で検体を採取したものを検査機関に送付し、結果判明後に本人と県に通知します。

 人の流れが多くなる連休、あるいは年末年始にむけて、感染伝播の鎖を断つための「いつでも、誰でも、何度でも」の立場で、従来の枠にとらわれず、時期を区切って実施することも含め、大胆かつ大規模に検査を行う具体化のメッセージを県民に発信すべきです、知事の決意のほどをお聞きします。

(3)傷病手当金の周知徹底、濃厚接触者への経済的支援

 感染者が仕事を休んだ場合、傷病手当金が支給されますが、本人への周知徹底はどのように行っているでしょうか。国保の場合は、条例改正が必要でしたが、県内のすべての市町で条例改正が行われているのでしょうか、実情を合わせてお聞きします。

 濃厚接触者の場合、自宅待機で仕事を休んでも傷病手当金の対象になりませんが、山梨県では、休業助成金を支給しています。県としても濃厚接者や自宅待機の人への経済的支援を行い、安心して治療・自宅待機できる環境を整えるべきと考えます。県の姿勢を伺います。

(4)国の制度では救えない事業者の支援を

 時短・自粛を余儀なくされている事業者から、「もう客足が戻ってこないのではないか」と先が見通せない不安が広がり、商売を断念せざるを得ない事態が生まれているもとで、経済的支援は「事業継続の励みになる」との切実な声が寄せられています。

 七尾市は、売上金が20%減の事業者に対して、市独自の「事業継続緊急支援金」を支給。静岡県は、国の月次支援金の要件を緩和し、売り上げ30%以上減少、さらに酒類事業者は2か月連続15%以上減少の場合も認める「中小企業応援金」予算が組まれました。

 鳥取県でも、売り上げ30%以上減少の事業者に「コロナ禍打破特別応援金」を創設、市町村が行う事業者を対象とした、事業継続のための補助金を半額支援します。県として、国の月次支援金の要件を緩和した経済支援をあらためて求めます。知事の姿勢を伺います。

 安倍・菅政権のコロナ対応は、科学の無視、国民の声を聞かず・説明せず、そして自己責任を持ち込むという致命的欠陥がありました。目前の総選挙で政権交代を実現し、命を守る政権をつくるために、知恵と力をつくすことを申し述べるものです。

 

【2】学校の夏休み明けにおける対策

 日本共産党国会議員団文部科学部会は8月25日、「デルタ株による事態急変、学校の夏休み明けにあたっての緊急提言」を発表、以下のその立場からお尋ねします。

 感染しにくいとされてきた子どもへの感染が増え、子どもから大人に伝播するケースもあり、保護者世代にワクチンが間に合っていない問題などから、「このまま学校を開けてても大丈夫か」との不安があがるのも当然です。デルタ株の感染力の強さを考慮し、学校の状況に応じ、登校見合わせの選択・分散登校・オンライン授業など柔軟な組み合わせで対応するよう、市町教育委員会とも調整すべきと考えます。そのためにも、分散登校については、文部科学省は、高校に限って通知しましたが、県としても小中学校でも分散登校がありうることを明確にすべきではないでしょうか。県教育委員会の方針を伺います。

 分散登校は、保護者の減収や失職、医療従事者が出勤できなくなるなどのデメリットもあります。そうしたしわ寄せがおきないよう、必要な子どもが朝から学校で学べるような対応が必要と考えます。所見を伺います。

 少なくない保護者・子どもが、感染対策のため登校を見合わせる選択を検討していますが、国の学校衛生管理マニュアルは「同居家族に高齢者や基礎疾患がある者がいる」場合には欠席扱いしないなど、登校見合わせの対象を狭くしています。県 として、広く認めるよう転換するとともに、登校を見合わせる子どもたちの学びや成長の支援を明確に位置付けるよう求めます、教育長の見解を求めます。

 教室のエアロゾル感染防止へ、短時間での全換気、着用が困難な子どもを除いて教職員も子どもも不織布マスクの着用が望まれることから、必要な子どもへの不織布マスクの支給も求められます。県教育委員会としてどんな努力をしていますか、お聞かせください。

 学童クラブが3密にならないよう、広い場所の保障などの柔軟な対応、感染対策への支援などが求められますが、新学期にあたり、県としてどのような工夫をしていますか、また検討していますか、お答えください。

 文科省は8月27日、学校内で感染者が出た場合の「ガイドライン」を発表、「検査対象」として、濃厚接触者やその周辺の検査対象の速やかな特定が困難な場合は、「判明した感染者が1人でも、感染状況によっては、原則として…学級等の全ての者を検査対象とすることができる」と明記していることは、検査拡大を求める声に押されての前向きの変化と考えます。まず、こうした対応で、広めのPCR検査を行うよう求めます。決意のほどをお聞かせください。

 またすでに、6月4日付の厚生労働省通知によれば、保健所の調査を待たなくても、濃厚接触者や検査対象者の候補者リストを学校が作成し、それを保健所が認定すれば行政検査の対象となります。県教育委員会として、この方針を現場に徹底するよう求めます。見解を伺います。

 ドイツでは、児童生徒に週2回、迅速抗原検査をしています。感染状況が深刻になった場合には、教職員・子どもに週2回、県の予算で自宅で行える迅速検査を行える準備を今のうちから整えていくことが必要と考えます。

 なお、文科省の8月25日の通知によれば、「大学、高校、特別支援学校等に対して、最大80万回分の抗原簡易キットの配布を7月末に開始するとともに、中学校、小学校、幼稚園等に対しても、最大約80万回分程度の抗原簡易キットの配布を9月上旬に開始」と明記されています。県内ではどのような配布状況でしょうか、実情をお聞かせ下さい。

 これは症状のある人への緊急のものであり、「検体採取に関する注意点等を理解した職員等の管理下で検査を実施させる」とあるものの、学校現場では、採取に必要な場所も防具もないなどの問題点も指摘されています。教育委員会として、通知にある「迅速かつ適切に検査が実施されるよう」現場の状況をどうつかみ、どんな支援策をとっていますか。

 全国一律休校の後のように、例年通りの授業時間の確保を基本とすれば、詰め込みとなり、子どもたちがストレスをためるだけです。県教育委員会として、学習指導要領を弾力的に運用し、限られた時間のなかで、重要な核となる学習内容をじっくり学ぶなど学習内容も精選し、子どもの成長に必要な行事も行えるようにするなど、「災害時」にふさわしい対応が必要と思いますが、教育長の姿勢をお聞かせください。

 子どもたちは長い間我慢を強いられ、様々な不安を強いられています。新型コロナウイルスの感染の仕組みを学び、受け身でなく自分の頭で考え納得して行動を変容し、「部活動もこれなら可能では」といった自分たちの学校生活の前向きな話し合いを行うことも、この時期に欠かせない学びと考えます。

 また、教職員が世界と日本の研究成果などを学び、感染対策を含め討議できるゆとりを保障することを求めます。これら、子どもの自主性や前向きの話し合い、教職員の科学的知見の習得などのために、県として努力していること、今後努力していきたいと考えていることをお聞かせください。

 

【3】「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」をふまえて

 わが党は9月1日、「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表し、2010年度比で2030年度までにCO₂を50~60%削減することを目標に、エネルギー消費量を4割減らす省エネと石炭火力・原発の発電量をゼロにして、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなう。この2つの組み合わせで、電力、産業、運輸、都市・住宅の断熱化など、あらゆる分野の大改革を提案しました。目前の総選挙でわが党は、「気候危機の打開」を大争点とし、提案を実現していく立場から、以下数点お聞きします。

 環境省によると、「2050年CO2排出ゼロ」を表明したのは40都道府県にのぼり、わが県は表明していない7県に含まれ、県「環境総合計画」を、国の動向をふまえて改定するうえで、目標をどこに定めるかが問われます。国が今年4月に、2013年度比で2030年までに46%減とした目標は、2010年比42%であり、国連が示した2010年比45%減という全世界平均よりも低いものであり、この姿勢にみられるように、政府の「2050年カーボンゼロ」は本気には程遠いものと言わざるを得ません。県の「環境総合計画」の改定にあたっては、他の先進国の姿勢に学び、高い削減目標を掲げて温暖化対策に取り組むべきですが、知事の姿勢を伺います。

 県自らの脱炭素化計画である「県庁グリーン化率先行動プラン」では、「施設の新築及び改修時には、再生可能エネルギー設備を最大限導入する」としており、司令塔を担う部署をはっきりさせて強力に推進することが必要です。一方、再生可能エネルギー普及の大きな障害となっているのが、大型風力発電やメガソーラーのための乱開発が、住環境の悪化や健康被害、森林破壊や土砂崩れの危険を広げていることであり、2つの点での解決が必要と考えます。

 第1は、環境を守る規制を強化し、乱開発をなくすことです。県内でも規制する条例を検討する市町もあるようですが、県としても、住民の参加・合意のもとで、環境保全地区と建設可能地区を明確にしたゾーニングを行うことが求められます。

 第2は、「新たな開発」ではなく、既存の施設・建築物・未利用地などの活用を推進することです。 工場の屋根に太陽光パネルを設置して、エネルギー転換とコスト削減を実現した企業もあり、欧州ではほとんどの住宅や建築物に太陽光パネルが設置されている町も多くあります。

 今年度から始めた、「いしかわ工場・施設版環境ISO推進事業」として、省エネ・再エネ設備の導入に最大300万円の補助、採択件数は5件程度を想定し、モデル事業創出を目的としていますが、本格的な拡充が求められます。県内中小企業にとって、脱炭素の取り組みは、光熱費・燃料費削減などのコスト面だけでなく、売り上げの拡大、融資獲得といった事業の成長にもつながります。住宅・小規模工場の屋根への太陽光パネル設置への優遇策、断熱・省エネルギー住宅・店舗へのリフォーム助成制度を県としても充実すべきと考えます。県の意欲を伺います。

 県は、事業者版環境ISO登録事業者数を、1,000事業所までに増やすとし、地球温暖化対策支援融資制度も設け、今年度新規融資枠を2億円とする予算を組んでいます。昨年度累計818事業所となったこの取り組みをさらに広げるためにも、中小企業、農林漁業を対象に、無利子・無担保・無保証としてはどうかと提案します。所見を伺います。

 政府の「脱炭素」を口実にした原発だのみのエネルギー政策は、放射能汚染という最悪の環境破壊を引き起こすことになり、許されません。8月3日、経済産業省発電コストワーキンググループがまとめた資料によれば、2030年電源別発電コストの試算結果として、太陽光1キロワット時8円程度に比して、原子力は11.7円と高コストになることが明らかになりました。原発は高コストになることを国も隠せなくなったことに対して、志賀原発を抱える県としての見解をお伺いしておきます。

 

【4】盛り土問題

 最後に、静岡県熱海市の土石流災害を踏まえた対応についてお尋ねします。

 静岡県の「土砂採取等規制条例」では、一定規模を超える盛り土を行う業者は「届け出制」だったとして、神奈川県の「許可制」に比して規制が不十分だったとの指摘があります。また、宅地をつくったり廃棄物を埋め立てたりする場合の盛り土は、法律で安全対策が義務付けられていますが、ビルの建設工事などで出る残土を処分するための盛り土を規制する法律はありません。独自の条例を制定している自治体もあるようですが、強く規制できる力はないとされています。盛り土を規制する全国一律の法整備が求められますが、県の考えはどうかお聞ききし、私のすべての質問を終わります。

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