◎佐藤正幸委員 私も森林環境基金事業について2点ほどお聞きしたいんですけれども。森林経営管理法については、幾つか問題点があるということで我が党は国会では反対をしておりましたし、県産材利用促進条例も、当初の意に反してその受け皿になりかねないというふうに私は考えております。森林経営管理法では、今御説明があったように、林業経営に適すると市町が判断するわけですけれども、その森林で木材の販売価格から業者の利益とかコストを引いて、あまりがあれば森林所有者に支払われるということに、利益が還元されるということになっていると思うんですけれども、本当にその利益が還元される保障があるのかどうかという疑念の声も上がっているんですが、そこは県としてはどんなふうにお考えになっているのか。
◎遠藤知庸農林水産部長 国からは、新たな森林管理システムにつきまして、委員おっしゃられるように販売収益から伐採等に要する経費を控除して、なお利益がある場合に林業経営者は森林所有者に金銭を支払うこととというふうにされておりまして、国からは、この件につきまして、必ずしも利益の還元が保障されるわけではないというふうに伺っております。ただ、新たな森林管理システムについては、林業経営者の同意に基づいて、設定されるものでございますので、森林所有者に対しても利益が還元されるというふうに考えていると聞いているところです。
◎佐藤正幸委員 結局、問題のひとつは、主伐の意向がなくて伐採などの責任を果たせない所有者の森林に対しては、経営意欲が低いというふうにみなして、市町がその管理権を設定してどんどん集積していく。ということは、森林所有者というのは経営権があるわけで、その経営権を強権的に自由を奪ってしまうという面があるという、その辺の対応は視点を持って対応する必要があると思うんです。結局、本来国がやらなければならない維持管理を、経営管理権とか集積計画とか、あるいは儲からない森林の管理などを市町に押し付けちゃうことになる面があると思うんです。最も困難な仕事を市町がやる。ただ、去年6月の委員会でも私も質問した時に、部長が金沢市以外の市町には専門職員が配置されていないというふうに答弁されました。そうはいっても市町には林業の専門家がいないもとで、本当に市町がそういう役割を果たせるのかどうかという疑問が残るんですけれども、市町の担当者の育成という、この辺はこの計画の中でどんなふうに今後の方向性の中でどのように行われるのか、お聞きしたいと思います。
◎遠藤知庸農林水産部長 まず申し上げたいことが1点ございます。新たな森林管理システムにおいては、経営管理実施権、これは林業経営者の同意に基づいて設定するものでございまして、強権的に、一方的に設定されるものではないというものです。
それから委員御指摘のように、市町が今度主体的にやる場合に、担当の専門家がいないということは非常に大きな課題だというふうに考えておりまして、現在の手入れ不足人工林の整備の体制については、県が広域的に調整いたしまして、森林組合と連携して整備をしているところございますので、現行体制に鑑みまして市町の職員の支援をやっていきたい。例えば育成ですとか、そういったことをする必要があるのかなというふうに考えております。
◎佐藤正幸委員 あまり拙速にどんどん進んでいくことのないように、要望はしておきたいというふうに思います。
次に時間もあるようなので、都市農業について少し、2点だけ簡単にお聞きしておきたいと思います。私も不勉強だったんですけれども、2015年の4月に都市農業振興基本法というものができたようです。従来の方針を180度変えて、都市農業は保全すべきものだというふうにこの基本法ではなったと認識しています。かつ自治体に基本方針の策定を位置付けているようなので、県として都市農地復興の基本方針というものがあるのかどうか。また、市町では基本方針の策定状況はどうなっているのか。お聞きしたいと思います。
◎遠藤知庸農林水産部長 都市農業については、都市住民との距離が近いという立地から、近年、新鮮な農作物の供給に加えまして、農業体験、学習の場や良好な景観形成など多様な機能に対する住民の評価が高まっておりまして、これらの機能の発揮を通じて良好な都市環境を形成するために、平成27年4月に都市農業振興基本法が制定されたものと承知しております。本法においては、都市農業の振興に関する施策の推進に当たりまして、国に基本計画の策定を義務づけている一方で、地方公共団体は地域の実情に応じまして、都市農業の振興に関する地方計画を定めることを努めるということとされております。現時点では、本県では地方計画を策定しておりません。また、県内の各市町におきましても現時点で地方計画を策定した市町はないと承知しております。
◎佐藤正幸委員 残念ながらまだ計画はないということなので、ぜひ計画がつくられるように後押ししてほしいとおもいますし、最後に、県内の都市農業の実情とか課題、どんなふうに認識されているのかお聞きして、質問を終わりたいと思います。
◎遠藤知庸農林水産部長 本県においては、金沢市などの市街地の近郊で多様な農業が営まれておりまして、農産物の直売をはじめといたしまして農業体験や自然学習、市民農園の開設などによりまして農業の重要性について情報発信するなど、生産者と消費者の交流を図る取り組みが広く行われております。
例えば、河北潟干拓地、またその周辺では個別の農家による直売所やJA、道の駅等の直売所が設置されておりまして、地元の新鮮な農産物が販売されております。こうした取り組みを後押しするために、干拓地に関係する2市2町を中心に県も参画いたしまして河北潟農産物ブランド化推進連絡会を立ち上げており、平成29年度から農産物直売所マップですとか、干拓地内の情報をホームページより発信しているところです。また、生産者団体等が開催いたします河北潟ふれあいフェスタ、河北潟ひまわり村など、生産者と消費者のふれあいを通じた河北潟干拓地農業への親しみと理解を促進する取り組みにも県として支援しているところです。
県といたしましては、今後とも関係市町、団体等と連携を図りながら、市街地の近郊などにおける生産者と消費者の交流を継続的に促進していくことで、生産者と消費者の相互理解のもと、本県農業、農村の振興が図られるように努めてまいります。