定例会

第1回定例会 一般質問質疑を公開します

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 県議会第1回定例会(1月30日開会ー2月16日閉会)が行われました。知事選を目前に、6期24年の多選による県政のひずみ・県民不在ぶりを告発し、原発NO・再生可能エネルギー普及による能登振興などの対案を掲げ、唯一の県政野党として佐藤まさゆき県議が一般質問、そして予算委員会・一問一答に立ちました。

 2月8日(木)に行われた一般質問質疑を公開します。知事・部長答弁は近日中に公開いたします。

 

 

 谷本知事になってから6期24年、決算総額に占める土木費の割合は全国25位から8位へ、地方債現在高の割合は12位から2位へ、一方で老人福祉費は5位から29位へなど、くらし応援が後回しという、税金の使い方のゆがみに象徴される多選ストップ。そして原発ノ―の2大争点をかかげ、市民と野党の共闘の力で県政転換めざし全力をあげる立場から、日本共産党を代表して質問します。

 知事は、「北陸の景気判断が、バブル期の平成3年以降では最も強い」と繰り返しますが、県民の生活実感とかけ離れているのはなぜでしょうか。それは12月議会でも指摘したように、自民党県連 知事選検討協議会が金沢大学に調査依頼した報告書にあるとおり、「県内総生産の成長に比べて 県民所得はほとんどふえていない」からに他なりません。経団連が発表した、2018年春闘の経営側方針「経営労働政策 特別委員会報告」は、大企業がもうけをため込む「内部留保」について、「『人材への投資』も含めた 一層の有効活用が望まれる」として、賃上げの活用を許容せざるを得なくなりました。国公労連は、正規従業員にボーナスを含めた月額2万賃上げをするには、主要127社うち96社で、それぞれ内部留保のわずか3%未満を取り崩すだけで可能、コマツは0.95%の取り崩しで可能との試算を出しました。知事として、コマツをはじめとした県内大企業に、内部留保を取り崩して賃上げを行い、県民所得を増やすように、メッセージを送るべきではありませんか。それが今求められている知事の姿です。見解を求めます。

 安倍政権は、来年度予算に「生産性向上、賃金引き上げのための支援」として688億円計上し、賃上げに取り組む中小企業・小規模事業者を支援するとしていますが、助成を受けられるのは、賃上げだけでなく、生産性の向上に資する設備投資等を行った企業に限られます。国まかせでなく県としても、賃金を引き上げための、融資にとどまらない思いきった中小企業支援策が必要です。県内経済を支える中小企業で働く労働者の賃上げのために、県としてどんな助成を行ってきましたか。来年度予算で、どんな助成をとるおつもりですが、お聞きします。

 安倍政権の5年間で、大企業は史上最大の利益をあげ、400兆円を超える内部留保をためこみ、超富裕層の資産は3倍にもなる一方、働く人の実質賃金は年額で15万円も減り、実質消費支出は20万円も減少しました。「大企業が一番もうけをあげやすい国」という、アベノミクスを賛美・追随する県の経済政策の転換が求められています。安倍政権の「働き方改革」は、残業代ゼロ法案と言われる「高度プロフェッショナル制度」を目玉とするなど、「働く人の視点・立場にたった改革」でなく、働かせる側、すなわち財界の立場にたった「働かせ方大改悪」と言わなければなりません。雇用期間の定めのある労働者が、同じ会社で通算5年以上働いた場合に、本人が申し込めば、無期雇用契約に転換する、改定労働契約法の対象の労働者が、4月1日に多数見込まれている中、雇止めにしたり、6か月のクーリング期間をおいて権利を無効にしたりするなど、「無期雇用逃れ」の違法・脱法行為が、自動車大手や大学、独立行政法人などで明らかになっています。県内でこうした事例が起こっているか、県として把握していますか。所見を求めます。

 代表質問の答弁どおり、石川労働局とも協力して、労働者・事業主への周知徹底とともに、相談窓口などを設置するよう求めて次の質問に移ります。来年度政府予算案では、生活保護を最大5%削減する方針を決めましたが、「生活保護を利用していない低所得世帯の生活水準が下がったから、それに合わせて引き下げる」とする理由は、「貧困は改善」という「アベノミクス」の失敗を自ら認めたことに他なりません。改悪は、生活保護受給者だけでなく、広範な国民の暮らしに重大な影響を与えるものですが、知事としての言及がなく、こうした改悪をそのまま県に持ち込む、国いいなりの県政でいいのかかが問われています。この間の生活保護基準引き下げによって、「古くてカビが生えた部屋、ふたが割れた洗濯機。1つのパンを半分にして、二日にわけて食べている」など、県内でも深刻な実態が広がり、こうした改悪は憲法25条の生存権に反すると、違憲訴訟が始まっています。全国29都道府県955人が原告となったこの生存権裁判、「いのちのとりで裁判全国アクション」は、金沢地裁にも提訴し、支援組織である「人権を主張するいしかわの会」が発足、活動しています。今度の政府による削減計画の県内への影響をどのように考えていますか。

 厚生労働省は、この削減計画に伴い、47の低所得者向けの医療・福祉、年金などの施策、例えば保育料、介護保険料・利用料の減免、難病患者への医療費助成などで影響が出ることを明らかにしました。国に削減中止の意見を挙げるべきではありませんか。認識をお聞かせください。

 県内4か所に設置された「滞納整理機構」は、その名のとおり県税などの滞納をなくすことが最優先されるために、滞納せざるを得ない状況にある県民の人権を侵害するような事例が後を絶ちません。滋賀県の野洲(やす)市では、滞納は生活困窮者のシグナルととらえ、自治体あげて生活再建の手助けをする仕組みを、「債権管理条例」、通称「ようこそ滞納していただきました条例」で定めました。住民税のほかに、水道料金などの滞納債権を一元的に管理し、市民生活相談課と連携し、滞納を解決するだけでなく、生活困窮状態から抜け出して生活再建を支援する仕組みです。知事、この取り組みに学び、滞納機構を「総合相談支援センター」に改組すべきではありませんか。見解を求めるものです。

 沖縄県の翁長知事は、「子どもの貧困問題の解消、これをやらずして、沖縄の将来の希望はない」として、沖縄県独自の子どもの貧困実態調査を行い、「子ども未来政策課」を設置して対策を始めています。今求められている知事の姿勢は、ここにこそあると確信します。沖縄県は、すでにあるデータでの事前比較を行うとともに、市町村が保有している既存データを活用した算出方式を採用して、県独自の調査をまとめ、関わった大学教授は「沖縄県が用いた方法は、他の都道府県及び基礎自治体においても行うことが可能な方法であり、実際に2017年度においては、東京都日野市が同様の方法で日野市独自の貧困率を算出している」と述べています。「子どもの貧困」の独自調査について、県は「ひとり親家庭の調査を行っている」と後ろ向きですが、知事の指示でできることです。沖縄のように、ただちに金沢大学などとも協力し、研究チームを結成するなどして、子どもの貧困にかかわる県独自の調査を手掛けるべきではありませんか。見解をお伺いします。

 12月議会で知事は、この4月から県も運営主体に加わる国民健康保険を、「加入者の適切な負担の上に成り立つ社会保険制度」と答弁したことは重大です。国民健康保険は、加入者の助け合いという保険料負担を原則にするものではなく、国や県・市町のからの公費負担を原則になりたつ社会保障制度なのであり、この精神を理解しようとしない知事には、国保の運営主体になる資格はないと断ぜざるを得ません。「適切な負担」というなら、保険料を払いたくても払えない県民には、保険料の「適切な」減額・免除の措置がとられるべきです。この4月から、保険料が上がった国保加入者への相談窓口の設置、必要な減免制度の確立などの支援を市町とともに行うべきです、所見をお聞かせください。

 安倍政権は、新自由主義的な経済政策を地方自治体に押し付けています。大型開発と「規制緩和」を、大都市を中心とした自治体に集中させ、「国際競争力の強化」のためのインフラ整備と称して、関連自治体に、高速・高規格道路へのアクセス道路・関連道路などの負担や、「訪日クルーズ500万人時代」に向けたクルーズ船受け入れ環境整備などを強いています。こうした国の方針をそのまま持ち込む県政でいいのかが問われています。来年度予算には。小松白川連絡道路の調査費として、450万円がまたもや計上されました。以前事業費の概算、現在の高速道路を使って小松市から白川村までの所要時間の短縮効果を尋ねたところ、事業費1700億円、短縮時間はわずか17分とのことでした。現在、総事業費はいくらと見込み、短縮効果をどのように想定しているのですか。いったい霊峰白山に「長大トンネル」を掘る工事を、どのゼネコンが請け負うことになるのですか、あわせてお聞きします。さらに、加賀海浜産業道路はいまだに総工費も明らかにされないまま、工事が着々とすすめられ、来年度予算には10億円余計上されています。この事業は、結局コマツ粟津工場と金沢港を結ぶなど、コマツの便宜をはかるものではないのですか。この加賀海浜産業道路によって、大企業コマツはどんな恩恵を受けることになるのですか。しかとお答え願います。金沢港大浜大水深岸壁工事には、約264億円の税金が投入され、水深13メートル化事業は、さらに延長されることになりました。事実上、大企業コマツ1社のための大水深岸壁工事の事業は、どの事業体が行っているのですか。また、現在すすめている金沢港無量寺岸壁整備は、どの事業体が行っているのですか。あわせてお聞かせ願います。

 農政問題との関係でも聞いておきたいことがあります。自民党農政は、自分たちのつくりたいモデルを示して、そのモデルに農家や農業を選別・誘導してきましたが、農村の現状にあっていないために、本来的な成果はあがらず、無理に成果を作り出そうとして、トヨタが県内の農業法人に「カイゼン」システムを伝授したなど、個別的な事例をとりあげて成果だとしています。県がコマツとすすめてきた、稲作の低コスト化としての多機能ブルドーザーを、コマツはインドネシアに1千台程度普及させると報道されました。結局はコマツの利益のための、大規模化、低コスト化の実証実験にすぎなかったのではありませんか。県の見解をお伺いします。今必要なことは、現状で農業をやっている人を基礎にして、農家、農村を支え振興し、伸ばしていくことであり、知事の政治姿勢の転換が求められています。北陸新幹線敦賀延伸の建設費負担金には205億円、本来当てるべきでない貸付料66億円の減額補正後でも138億円という莫大な県費が計上されました。この建設工事は、地元に仕事が回ってこないと指摘されていますが、どこの事業体が工事を行い、県内企業にはどういう経済効果があるのですか、お答えください。敦賀延伸に伴い、並行在来線金沢・福井県境間が、IRいしかわ鉄道の経営になることに対し、知事は12月19日、南加賀の市町が、2023年に開催を企画する「北陸乗り物博(仮称)」の要望の席上、「正直言ってお荷物」と発言したとの報道がありました。知事に直接お聞きします。知事は、「お荷物」という発言をしたのですか。したのであれば、撤回・訂正すべきではありませんか。お答えください。

 利便性低下と県民負担増の最大の原因は、政府与党合意にあり、今知事がやるべきことは、国とJRに対して真正面から並行在来線維持のための社会的責任を果たせと迫ることであり、これを反故にしていることは、IRいしかわ鉄道への運行支援補助金の減額補正に端的に示されていると指摘せざるを得ません。日本共産党は、「ダブルラダー輝きの美知」構想、東京オリンピック・パラリンピック対応の名による、不要・不急の大型開発を見直し、子どもの医療費助成の対象年齢を中学卒業まで拡充することによって、市町が保育料の第2子無料化の所得制限を緩和できるように、学校給食の無料化に市町が取り組めるように、重度心身障害者医療費助成の65歳以上窓口無料化の実現、さらには、除雪・断水対策など、県民のくらしの悲鳴によりそった新しい県政をつくるために全力をあげることを表明し、次の質問に移ります。

 小泉純一郎元首相らが顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」、略称・原自連は1月10日、「全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進に関する基本法案」の骨子案を発表しました。原発は今後一切稼働させないこと、自然エネルギーの電力比率目標を、2030年までに50%以上、2050年までに100%とし、政府は原発の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の推進状況に関する報告書を国会に提出しなければならない、としています。福島では原発事故から7年近くになるのに、いまなお県発表で5万人を超える県民の方々が、避難生活を余儀なくされています。家もある、土地もある、草ぼうぼうになったけれども畑がある。でも、故郷には帰れない…この福島の現状を目の当たりにした私は、そこで生活をしていた人々の痛恨の極みの思いに心をめぐらせ、原発の再稼働をしてはならないと強く感じました。そこで知事にお聞きします。知事は、福島原発事故により荒廃した地域を訪れたことや、避難者と直接話をしたことはありますか。こうした現実を見たなら、再稼働はできないと思いますが、率直な感想をお聞かせください。

 今年本県をおそった寒波によって、道路への積雪が大きな問題となりましたが、こうした時期に志賀原発で過酷事故が起こったら、居住地域や避難先の市町の道路の積雪によって計画どおりの住民避難は困難であることは明らかです。積雪の影響を見据えた避難計画をどう策定するか、研究・対応をすべきではありませんか。2016年9月、志賀原発2号機の原子炉建屋に雨水が流入した重大事故をふまえ、北陸電力は社長直属の監視組織「原子力安全推進部」を設置するとしましたが、わずか6人の体制、社外のアドバイザーがわずか1名ということも含め、どこまで独立性・実効性があるのか、きわめて疑問です。組織を社長直属にしただけで、どうして独立性があると言えるのでしょうか。県の見解をお聞きします。そもそも、今回の事故に関し、北陸電力自ら「設備管理不備」「自然災害に対するリスク管理不足」などはもちろん、「常に問いかける姿勢の不足」「学習する姿勢の不足」があったと指摘し、原子力規制庁も「原因分析は概ね妥当」としました。これはまさに、北陸電力は原子力発電を管理・運転する資格がない、ということを示すものではないでしょうか。見解を伺います。

 群馬県西部の本(もと)白根山の噴火は、気象庁が重視して警戒していた火口とは異なる場所で、兆候をつかめず突然噴火しました。いつ噴火するかを予知するのは困難な状況を改めて示すもので、日本の火山の観測・警戒体制全体にとって重い課題を突き付けています。草津白根山と同じく、24時間体制で観測する白山で悲劇が起こらないように、火山防災の仕組みの整備・強化へ向けて、総点検と検証する立場から質問します。それぞれの火山ごとに特性や歴史が異なるうえに、活動周期が長期にわたり、記録が少ないことから、火山ごとに熟知した専門家をはじめ、十分な人材と体制を整えることがどうしても欠かせません。現在、白山に関わる研究者の体制はどんな状況でしょうか。国、金沢大学などとも連携し、白山の研究に特化した、複数の研究者の育成に本腰を入れるべきではありませんか。有人監視体制をしくために、気象庁の火山専門職員の養成・増員を国に求めるべきです。県の専門職員はどうなっているか、その養成・配置をどうすすめるか、意気込みをお伺いします。

 県が設置許可を出した、輪島市門前町大釜の産業廃棄物最終処分場計画に関し、1月22日、全国組織でもある、世界自然保護基金・WWFジャパン、日本野鳥の会など3団体が、地元団体と共同で、ミゾゴイやミサゴ、サシバなどの希少な鳥類5種が確認されている珍しい場所だとして、知事あてに許可取り消しを求める要望書を提出したと報じられました。わが党は、住民合意のない処分場建設の許可取り消しを求めてきましたが、事は全国的な問題となりました。なぜ知事は、直接お会いしなかったのですか。「取り消しは限られた場合にしかできない」と担当者に説明させるだけではなく、知事自ら関係者とお会いし、全国的組織からの要請である以上、関係者からの説明を受ける場、事業者を含めた意見交換や協議をする場を持つことが、本来の知事のとるべき姿ではありませんか、見解を求め、すべての質問を終わります。

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