委員会

厚生文教委員会 教育委員会関係(10/26) 質疑答弁を公開します

カテゴリー:

◎佐藤正幸委員 まず教科書採択に関してお聞きしたいと思います。来年から「特別の教科道徳」が小学校で本格実施されるにあたって、それぞれの採択地区で教科書採択が行われたと思うんですけど、県教委としても特別支援学校の小学部で使う教科書、採択をしホームページにも結果が公表されているんですが、特に盲学校ですね。ここで、点字の教科書を使うことになるとお聞きしているんですけど、しかしここでは、教育出版の教科書が採択されていると、なぜこういうことになったのかということを、事実関係だけ、まずお聞きをしておきたいと思います。

◎田中新太郎教育長 30年度から特別支援学校小学部で使用します「特別の教科道徳」の教科書について採択が今行われたわけでございますけれども、県立学校でございます、盲学校。この盲学校については、御指摘のとおり教育出版が発行する教科書を教育委員会として、採択させていただきました。これについては、盲学校ということもございまして、文部科学省のほうで検定をおこなった教科書の中から視覚障害の専門家から成る編集協力者会議というものを設置いたしまして、そこでそれぞれの教科書の中から挿絵や図のバランス、そして検定教科書のうち最も点訳に一番適した教科書を選ぶと。その選んだ一社を点訳して教科書として使えるようにするということで、検定教科書の中からこれまでの1社に絞って点訳をしていると。当然内容を吟味し、盲学校で活用するのにどれが一番いいのかということを、有資格も交えたところで検討しておこなっていると。今回はそれに御指摘の出版社の教科書が選ばれて点訳をされたところでございます。私どもは採択に当たりまして、内容等々を教育委員会等々で吟味をいたしまして、盲学校で点訳された教科書として活用するのに適当だと判断をし、採択させていただきました。文科省に確認したところ、全部の教科書を点訳するとなると膨大な費用もかかるということもございまして、これまでもそのような形で運用をされてきたというふうに承知をしております。

◎佐藤正幸委員 この教育出版の教科書、少しさまざまな問題があるというふう声も教育関係者から上がっておりますし、加賀市の教育委員会、これを採択したようですけれども、そのやり直しを求める要請も行われていることは御承知のことかと思います。要は、文部科学省が点訳するのはこの出版社しかないと。ないというか、教育出版の教科書のみ点訳されていると、こういうふうにしたんでしょうけど、聞くところによりますと、今点字プリンターなるものも随分発達しており、点字の教科書をつくるのには、以前より労力を要しないとお聞きもしました。たとえば、教育委員会として、点字の教科書をつくるということを、関係団体の方々の協力も得て、やることができるんではないかというようなお話もお聞きしているんですけど、もう少し教科書選択の多様性ということから、少し教育委員会としても努力をすべき点もあるのではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

◎田中新太郎教育長 他県の状況も調べさせていただきました。いくつかの県では教育出版の教科書を活用しないというところがございました。しかし、よくよく聞いてみたところ、盲学校に全盲の児童がいないため、通常教科書で対応できるということで、点訳された教科書を採択しなかった県が4県ほどあるということでした。やはり点訳された教科書を使い、挿絵など健常の子どもさんが使う場合にはそれでいいのですが、点訳した時に活用しやすいようになるかどうか、そういったところが大きな観点だということで、先ほどいいましたように文科省のほうで有識者も交えた形で点訳するものを選んでいるということでございまして、特段特別の教科書だけを念頭に置いて行ったことではないと思います。ただ特別にそういう形でやるとしたら、簡単に点訳ということでございますが、そのまま点訳するのは御指摘のボランティアの皆さんとか、そんな形で時間のない中でも、単純に点訳をするだけならできるようです。しかしながら、やはり単純にそのまま点訳するのではなく、総合的に監修をした形で、国のほうで専門家も交えて教科書を点訳化したものが、私個人としましては、盲学校で使用するのには現行の制度の中では適当であると思います。先ほどいいました費用の問題もあるようでございますので、そこは御理解いただきたいと思います。

◎佐藤正幸委員 これ以上はつっこみませんが、ぜひ改善できようになったらいいなと思っております。次に先ほどの質問にも関連するんですが、今、安倍政権のもとでゼロトレランス政策という、直訳で「許容度ゼロ」という、こういう政策が教育分野で進められていたり、学校スタンダードということで、この委員会でも取り上げましたが、子どもの言動を事細かく指定するようなやり方が広がっており、教育関係者からも懸念の声が上がっております。そこでこのゼロトレランス、許容度ゼロというこの制度が今の指導方向になっているようですけれども、これは県教育委員会としてはどのような立場で臨んで、どのような立場で具体化されているのであればしているのか、その基本的なことをまずお尋ねしておきたと思います。

◎田中新太郎教育長 懐かしい名前ですね。昔加賀市長になられた元宮本県議がよく議会でも御質問されていた記憶がございます。私も改めて勉強させてもらいましたけど、1990年代にアメリカの学校が有れたときに、しっかりと規律を守らせる、そういう方向で打ち出された方策のように記憶しております。文科省も一時そういう方針も、そういう方向も参考にしなさいという指導が一時期ありましたが、今は、先ほどの福井の学校の例もありまして、一定の規律等々に基づいた統一的な指導、これも大事だけど、一人一人の生徒の状況にしっかりと対応した生徒指導をやりなさいというのが文科省の今の方針でございます。今安倍政権がゼロトレランスを推奨しているというのはちょっと理解できないんですが、私どもとしては一人一人の個に応じた適切な生徒指導、こういったものをしっかりやっていきたいと思っております。

◎佐藤正幸委員 そういう対応でぜひ学校現場でやられるように努力をお願いしたいというふうに思います。最後に私、特別支援学校における教室不足についてお聞きしたいんですけど、文科省の公立特別支援学校における教室不足調査というものの結果が公表されておりまして、ホームページにも出ております。全国で3,430もの教室が不足。ただ石川県のみ教室不足はゼロとなって報告されておりました。しかし実際、特別支援学校の関係者からお聞きしますと、1教室に複数のクラスがはいっているところが22あると。あるいは3つの教室の壁を取り崩して、4つの小さい教室に作り替えたなど、こういう対応があるんですね。こうした実態をみると教室不足ゼロという回答になるのはどうも違うんじゃないかという声があります。実態をつかんでないと言わざるを得ないんですけど、なぜ石川県が教室不足ゼロいうふうに報告を行ったのか、そこはいかがでしょうか。

◎田中新太郎教育長 特別支援学校については、ここ20年くらいをみてみますと、どんどん生徒数が増えてきております。そんな中で、いしかわ特別支援学校の新設や、明和特別支援学校の改築、小松特別支援学校の増築、そして能登においては珠洲分校と輪島分校という形で分校を設置するという形で、キャパ全体を広げるということもやってまいりました。また個別の学校の施設の中では、既存の施設の中で特別教室等々を一部普通教室に転用するとか、あるいはいろんな形で生徒の増に現場で対応してきているのが実態です。文科省の調査内容というか、調査の基準ですけど、その根っこに設置基準というものがありますが、通常の学校では教室面積は一人当たり何平米とかあるわけですけれども、特別支援学校は皆さんにも御案内のとおり、一人一人障がいの状況も違い、少人数で授業もおこなうと。一人一人にきめ細かい対応をするということで、部屋の広さはこれだけ必要ですよ、などとの基準は実は特別支援学校の場合示されておりません。まさに子ども達の実態に応じて、きちんとした教育ができる環境を整備しなさいというのが原則のようです。そんな中で、文科省の調査は、その年、年、調査の段階で実際に教育に支障が出るような形で不足をしている状況があるかという調査のようです。そういう形で、過去に私どもも、不足があるというような報告をしてきておるわけですけれども、御指摘の年度については学校に問い合わせた形で照会をしたところ、特段教育に支障が出るような形の不足はないということで、教室不足ゼロという報告になったということでございます。そういう意味で、逆にいしかわ特別支援学校の高等部なんかでは少人数で3クラスに分けるのではなく、3つの教室の境を取っ払って1つの教室にして、会社のオフィスのような雰囲気で、たくさんの子ども達が1つの教室で将来の就労に向けて教育効果を高めるために、あえて3クラスをひとまとめにして行っている場合もあります。ただ、御指摘のように特別教室を普通教室にしたり、あるいは生徒が増えて間に合わないので、3つの教室の間仕切りをずらして4つの教室にして使っている場合もあります。ただ、1つの教室の広さで十分教育的な活動ができるという判断でやっております。実態として若干のやりくりがあるのは事実です。ただ、そういうことが看過できない状況になるということであれば、当然増改築、そういったことも今後もしっかりと現場をみて、実態に応じてしっかりと対応していきたいと思っております。

◎佐藤正幸委員 これ以上は突っ込みませんが、実態をよくつかんでいただいて、この通達の中にはわざわざ教育不足に関する国庫補助制度の概要も紹介されていると思いますので、ぜひ必要な増改築を含め、現場の声をよくつかんでいただいて、必要な改善を図ってもらえるようにお願いいたいと思います。

▲ このページの先頭にもどる

© 2013 - 2024 SATOU MASAYUKI