日本共産党は、第3・第5号の2件に反対、第2・第6号の2件に賛成し、2件の提案者として賛同を求める立場から討論します。第5号・参院選合区解消などに関する意見書について。一部の県のみが単独の選挙区でなくなることによる、「格差」と不公平を是正するのは当然ですが、意見書案の最後にある「都道府県の代表が国政に参加することが可能な選挙制度」だけにこだわると、新たな合区やその見直し・数合わせが生じかねないとう点を直視しなければなりません。事実、参議院選挙制度の見直しに関して、2009年に最高裁が投票価値の平等の観点から、「現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と指摘し、2012年には最高裁が違憲状態を判示し、抜本改革の実行を求めていることに目を向ける必要があります。この点では、2010年12月に、当時の西岡参議院議長が各党協議に提示した、当初の案である「全国9ブロック比例代表制・総定数242維持」を「たたき台」とする必要がある、との立場から、意見書には反対の態度をとるものです。
次に、第3号、オウム真理教対策に関する意見書について、サリンによる無差別大量殺人という、世界に例のない前代未聞の凶悪犯罪を行ったオウム集団の活動を規制することは当然のことであり、わが党は1999年に、全会一致で成立している暴対法を基本にして、犯罪の予防、鎮圧に責任を持つ警察にその任を当たらせることを提案した経過があります。この枠組みが、関係住民の要望に速やかにこたえ、犯罪を防止し、住民の安全を確保するうえで最も道理ある現実的な方法だと考えています。現在のオウム対策は、思想、信教、集会、結社、表現の自由、勤労者の団結権など、国民の基本的人権を侵害する違憲の法律である破防法を土台にしており、団体規制手続が簡易・強化されたものともなっており、公安調査庁による乱用の恐れがあることを指摘しなければなりません。この立場から、意見書案には賛同しかねるものです。
賛成する第6号・教員定数の改善などについては、広く国民的認識となっている教員の多忙化解消は急務であり、「少人数学級による教員定数増がその重要な保障となること」を強調するものです。
次に、発議者として第7号・米国政府のパリ協定離脱表明の撤回に関する意見書について。このまま温室効果ガスの排出が続けば、今世紀後半には気温上昇が4度以上になり、豪雨や巨大台風などの異常気象、海面上昇、食糧不足、生態系の損失など、人類の生存が危機を迎えるというのが、世界中の科学者からの警告です。米国以外の主要7か国・G7首脳は、「パリ協定」について「迅速に実施する」と表明し、大排出国の中国・インドも協定順守を言明しています。各位の賛同を求めるものです。
第8号・解雇の金銭解決制度を導入しないように求める意見書について。連合会長も、厚労省の検討会報告書について、「到底理解できるものではない」と批判。「金さえ払えば首切り自由の世の中にすることではない。導入を許さない取り組みを進めていかないといけない」と述べました。労働者の人間らしく生きる権利を奪う「働き方改革」の本質、「大企業がもっとも利益をあげられる国」づくりをすすめる安倍政権のねらいを明らかにしていくうえでも、各位の賛同を求め、討論を終わります。