◎佐藤正幸委員 全国平均では10万円という資料もあります。強調したいのは、この計画の中で「安いと思っている方がいる」とか、思っているんではなくて実際安いということなんだと思うんですね。それで、ある若者の話ですけれども、介護の仕事につきたいというふうに親に言ったら、親からそれだけはやめてくれというふうに言われたとか、あるいは結婚を機に退職をするとか、そして仕事がきつくて途中で仕事をやめるという例が後を絶たないと思うんですね。私せっかくこういう場与えられましたので、先日お聞きした時給850円の50代の女性の例を紹介したいと思います。この女性は、有料老人ホームで生活相談員として2年勤務。この2年間の間にたくさんの方がやめられていきました。現在も不足したままだけれども、募集しても人は来ない。調理職員の方がやめていらっしゃるみたいなので、この方、朝6時に出社して、県外の本社から来るレトルトの食品を盛りつけして出していると。日中は食事の介助をして、入浴の介助をする。そして、人手が足りない夕食の配膳をして家に着くのが8時だと。本来勤務時間中に業務の記録を書くということなんですけど、それができないため書類を持ち帰って自宅で作成をする。そしてまた翌朝6時出勤です。もっと条件のいいところに就職しようというふうに思っても、職員不足なのでやめると残された高齢者の皆さんがどうなるのかと思うとやめる決心がつかない。こういう現状で今県内の介護が支えられているということの実態を直視する必要が私はあると思います。だからこそ、国も処遇改善措置を行いましたけれども、現場はどうなっているかといったら定期昇給がある職場、この定期昇給がある職場は「これで少し改善しているんだから処遇改善した」と答える事業所もあるそうなんです。国の支援は現場まできちんと届いていない。この実態を踏まえた対応が必要だというふうに思います。我々は、介護報酬とは別枠で国費の直接投入で賃金引き上げをするという仕組みをっくりたいというふうに思ってますし、その立場から第一歩として野党共同でさきの国会では国費によって月1万円の賃上げ法案を提出したという経緯もございます。そこでお聞きしたいんですけど、県としてもさまざまな努力を行っていると思います。しかし、その努力が実際に介護職の増につながっているのかどうか、調査が必要ではないかというふうに私は思います。それで、県のプランは来年の平成29年まで職員の需要が2万人、だけどこのままの取り組みでは1万9,000人の供給にとどまって1,000人足りないというふうに推計しています。では実際に、今介護職員はどこまでふえているのか。また、来年、平成29年までに2万人までふやせる計画、見通しはあるのか、そこはどうなのか、お尋ねしておきたいというふうに思います。
◎山本陽一健康福祉部長 介護職員数につきましては、平成24年に約1万6,100人であったものが国の調査をもとに県で推計をいたしましたところ、平成27年には1万8,200人程度と、3カ年で約2,100人の増となっております。このペースで推移すれば石川県長寿社会プラン2015に掲げた平成29年の2万人程度の介護職員の確保はおおむね達成できるのではないかと考えているところでございますけれども、今後は2025年の2万3,000人の介護職員の確保に向けまして幅広い方面からの参入促進と職員の定着促進に関係業界とともにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◎佐藤正幸委員 ぜひ努力していただくと同時に、充足しているのかどうかということでの調査も必要ではないかと私は思います。それで、介護職員をふやすために全国の自治体ではさまざまな努力があって、その一つに家賃補助があるということをお聞きいたしました。例えば東京都では、民間の事業所に対して介護職員の宿舎の借り上げを支援し、住宅費負担を軽減することで介護職員の働きやすい職場環境を実現して介護人材の確保定着を図ると。宿舎1戸当たり月8万2,000円の助成をしているということだそうです。また、大阪の茨木市というところでも家賃の半額を助成する補助を行っているというふうにお聞きしました。私はこうした事例も参考にして、市町とも協力して介護職員への家賃補助、支援を行ってはどうかと思いますけれども、所見をお伺いしておきたいと思います。
◎山本陽一健康福祉部長 東京都では、今御指摘のありましたように介護人材の確保定着を図りますために、本年度から介護事業者に対して介護職員宿舎の借り上げに必要な経費の一部を補助する事業を創設したことは承知をしております。そもそも介護人材の確保定着を図るためには、まずもって賃金水準の引き上げ等の処遇改善が必要というふうに考えておりまして、平成27年度の介護報酬改定において介護職員の賃金月額1万2,000円に相当する処遇改善加算の拡充が図られましたことから、県といたしましてはできる限り多くの事業所にこの加算を活用して処遇改善にしっかりと取り組んでいただくように実地指導や事業者説明会の場を捉えて周知に努めてきたところでございます。さらに、さきに閣議決定されました国の経済対策において、介護人材の処遇改善についてキャリアに応じて昇給する仕組みなどを構築した場合に賃金月額1万円相当を上乗せする措置を平成29年度から実施することが盛り込まれておりまして、現在国の社会保障審議会において議論がなされているところと承知しております。県といたしましては、今後とも国の動向を注視し、制度が固まり次第、事業者に周知を図り、賃金のさらなる引き上げによる処遇改善にっなげていただくようにしっかりと働きかけてまいりたいと考えております。
◎佐藤正幸委員 介護報酬とは別枠で直接の処遇改善が必要だというふうに私は思いますし、ぜひこれは人口が減っている自治体も、特に奥能登中心にして定住促進にもつながるものだと私思いますので、ぜひ積極的な検討をお願いしたいというふうに思います。 次に、介護に関連して、いわゆる介護予防・日常生活支援総合事業、新総合事業についてお尋ねしたいと思います。既にこの4月から白山市、能美市、加賀市、小松市でこの事業が始まっております。いわゆる要支援1、2の方が介護給付から外されて、自治体が実施する地域支援事業というものに移行いたしました。決算特別委員会でこの問題質間したときに県は「現在のところ、大きな課題は発生しているとは聞いていない」と、こういう立場でございましたけれども、来年の4月からは例外なく全市町でこの事業が実施をされることになって本当に大丈夫かという不安を私は拭い切れないので質問したいと思います。この新総合事業というのは、予算の上限があるために各自治体は給付費の抑制が求められることになります。例えば県内のある市の例は、介護事業所の側からすると「今までの70%の単価でやってほしし刊と、こう自治体から言われるわけですね。そうすると、その市では70%ではできないと2つの事業所がこのサービスを提供することをやめました。すると、介護の担い手がいないのでおのずと民生委員の人が必死にボランティア集めやるわけですよね。国は「地域の多様な主体、人材を活用するんだ」と、こう言うんですけれども、こんな状態で来年から人口減少や高齢化の進む奥能登とかで本当にスムーズに制度が移行できるのか。また、顔なじみの人が利用している事業者からすれば70%の単価でもやらざるを得ないわけですよ、人情として。そうすると、事業所の運営が成り立つのかどうかという不安も拭えません。さらに、通所介護のサービスでは政府は「多様なサービス」と言うんですけど、その場所では食事とっている人もいれば食事とってない人もいる。お風呂入っている人もお風呂入れない人もいる。そうすると、かわいそうだということになって、事業者が無償で食事提供や入浴をしてもらうわけですね。加えて、入浴はお金取っていたけれども、それはやっぱりかわいそうだということで無料にしてあげる。事業所が全部かぶってしまうわけです。「大きな課題は発生しない」というふうに言いますけれども、こういう事例が出ております。そういう意味で、県としてはこうした解決すべき事例をどう認識、把握しているのか、お尋ねしておきたいというふうに思います。
◎山本陽一健康福祉部長 要支援者を対象とした訪間介護と通所介護サービスにつきましては、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯が増加をしていく中、平成29年度までに介護保険の給付対象から市町が実施します地域支援事業に移行されることとされたところでございまして、県内では今御指摘のありました4市が本年3月1日に移行し、その他の15市町につきましては平成29年4月の移行を予定しているところでございます。県といたしましては、市町におけるこうした移行の動きを支援するため、市町の職員を対象に他県の先にそういった制度を導入している先進自治体の職員を講師に招いての研修会の開催でありますとか、市町事業ヘの移行に際し助言を行うアドバイザーの派遣を行うとともに、こうしたサービスは今後ボランティア等が担うことも想定されますことから、元気な高齢者のボランティア育成支援などにも取り組んできたところでございます。移行後の状況については、先行実施をした4市に改めて確認をしたところ、「現在のところ大きな問題は発生していなし刊という回答を得ているところでございますが、今後も引き続き各市町の実施状況を把握し、必要に応じて国に対して要望するなど、これらのサービスが適切に提供されるように市町とも連携しながらしっかりと対応してまいりたいと考えております。
◎佐藤正幸委員 国の狙いはひたすら国の介護給付を抑制する、ということにあって、こうしたもとでは市町はやはりそうした緩和サービスは導入しないというふうに頑張る市町もあるようです。ぜひ市町の取り組みを県としても応援してほしいですし、こういう改悪は中止すベきだという立場で国に要望してほしいと思って、次の質問に移りたいというふうに思います。次は、建物の解体改修に伴うアスベストの飛散拡散対策について、時間の許す範囲でお尋ねしたいと思いますが、国土交通省の2014年に作成したマニュアルによると、国内でアスベストが使用された可能性のある建物は民間建築物だけでも280万棟もあるというふうに推計しているようです。この推計に基づいて、まず県内ではどれぐらいの建築物がアスベストを使用しているとされているのか、またそれをデータベース化で公表すべきではないかと私は思うんですが、そこはいかがでしようか。
◎盛谷明弘土木部長 国では、アスベストを使用している可能性のある民間建築物は約280万棟あるとしておりますが、これはアスベストを含有した建材が多く流通した時期に建築された非木造の民間建築物の総数を建築着工統計に基づき推計したものでありまして、個々の建築物でのアスベスト使用の有無を調査したものではないため、各県ごとのアスベストを使用した建築物のデータは存在していない状況でございます。
◎佐藤正幸委員 単純計算で100分の1ということでいえば2万棟から3万棟というふうになると思うんですね。それで、なぜこの質問をしたかといいますと、、この解体の工事は届け出制。解体するとアスベストが飛散する。そのための対応にお金がかかるために無届けのまま解体をするという状況があるようなんですね。一定の解体のときに国の補助もあるようですけれども、非常に極めて少ない。だから私は、ここは県としてアスベストの建築物を解体するときの解体の費用を支援するということが必要ではないかということを、恐らく最後になると思いますけど、お尋ねしておきたいというふうに思います。
◎盛谷明弘土木部長 県では環境保全のための資金の融資制度におきまして、アスベスト除去工事も対象としておりますことから、県として補助制度を創設する予定はありませんが、県内市町から補助制度創設の相談がありましたら必要な予算を国に要望してまいりたいと考えております。
◎佐藤正幸委員 ぜひ具体化していただきたいと思います。時間が来ましたので終わります。
◎焼田宏明副委員長 以上で佐藤正幸委員の質疑を終わります。