昨日、12月13日(火)石川県議会12月定例会にて、一般質問にたちました。全文を公開します。
日本共産党を代表して質問します。安倍政権が臨時国会を延長してまで、TPP国会批准、年金カット法案、カジノ法案の採決を強行するなかでの県議会となりました。安倍政権はもはや、民意無視の強権政治に頼るほかに、この国を統治するすべをもてなくなっていることの表れです。その根本にある、県民との矛盾のひとつ、異常な「対米従属」の表れである、安保法制=戦争法の現実的危険について、以下お聞きします。 陸上自衛隊金沢駐屯地からも派遣されていた、南スーダンの国連PKОに参加する自衛隊に、政府は安保法制の運用として「駆けつけ警護」などの新任務を付与しました。9月19日の国連報告書によれば、「南スーダン政府軍による人道支援の職員を標的にした攻撃の激しさと範囲がエスカレートしている」と述べているように、「駆けつけ警護」などを行えば、自衛隊が政府軍に対して武器の使用をすることになります。やむにやまれぬ思いから、自衛官の息子を持つ北海道の50代の母親が11月30日、「南スーダンPKОへの派遣は憲法違反」と派遣差し止めと撤退を求めて、札幌地裁に提訴する事態となりました。「自分が産んだ子も、誰の子も死なせない」と訴えるこの女性の思いは、県内はじめ自衛隊関係者はもちろん、多くの県民の共通の願いではないでしょうか。県民の命を守る知事として、「駆けつけ警護」「宿営地共同防護」などの新任務付与の閣議決定撤回、派遣の撤収を国に求めるべきではありませんか。知事の見解をおたずねします。 県内のすべての自治体が加盟した「平和首長会議」会長の松井広島市長らは11月24日、岸田外相と会い、来年の核兵器禁止条約交渉開始を定めた国連決議に日本政府が反対したことについて「被爆者の切実な願いに背くもので、極めて遺憾だ」と厳しく批判する要望書を渡しました。世界の被爆者がはじめて力をあわせて呼びかけた「ヒバクシャ国際署名」について、「平和首長会議として賛同・協力する」との文書を採択し、岩手県知事も署名したとのことです。「人類は、生物兵器・化学兵器について、使用・開発・生産・保有を条約、議定書などで禁じてきました。それらをはるかに上回る破壊力をもつ核兵器を禁じることに何のためらいか必要でしょうか」とする、この署名に知事として賛同するよう求めるものです。見解をお伺いします。 安倍政権の経済政策―「アベノミクス」が始まって4年、格差と貧困をいっそう拡大し、社会と経済の危機をさらに深刻にしています。「富裕層への富の集中」、「中間層の疲弊」に加え、「貯蓄ゼロ世帯」が、1997年から2015年に3倍となり、30.9%と実に3分の1の世帯にせまるなど、先進国のなかで「貧困大国」ともなりました。貧国は特別な事情でなく、倒産、病気、親や家族の介護などで職を失えば、誰もが貧困に陥ってもおかしくない、「板子(いたご)一枚下は地獄」の社会。さらに社会保障の削減をすすめている安倍政権のもと、暮らしを守る防波堤としての役割発揮を求め、社会保障推進協議会の自治体訪問に参加して明らかになったことを踏まえ、いくつかおたずねします。
第1は、子どもの貧困対策、子育て支援です。少子化がすすむなか、中能登町の第2子以降の学校給食の無料化のように、市町は財政がたいへんな中でも、様々な努力を始めています。こうした市町の努力を充実、後押しするためにも、県の子どもの医療費助成の対象年齢の拡充が必要です。県の助成対象年齢は、通院3歳以下、入院就学前までと全国的にも遅れています。一方、15の市町は入・通院とも18歳まで、残りの市町も入・通院とも中学卒業までを対象に広げ、県から補助金が来ない分、独自の財政手当を行っています。県が対象年齢を拡充すれば、その分市町は、今までの財源を、給食費無料や保育料無料化の所得制限緩和、財源がなくてやりたくてもできないと聞く、出産祝い金の支給、新婚家庭への家賃補助など若者定住策などの財源に充てられます。県の乳幼児医療費助成の対象年齢拡充を求めます。全自治体がやっている、入・通院とも中学卒業までに対象を広げた場合の必要財源はどれくらいになるか、あわせて見解をお聞きします。 あと1年3か月後にせまった、国民健康保険の都道府県化についてお聞きします。今後県は、「国保運営方針」を策定し、市町に「納付金」を割り当て、「医療費給付費の水準」「標準的な収納率」「標準保険料」などの指標も示すことになり、給付の抑制、収納率の向上、繰入解消への圧力がかかることが懸念されます。実際、市町からは、「国保が都道府県化されたら、保険料を上げざるを得なくなるのではないか」との不安の声があがり、昨年と今年それぞれ国から1700億円、県全体で、2年で約29億円余にのぼる支援金が入ったにも関わらず、結果として保険料引き下げに使わなかった市町が多数でした。この不安の声にこたえる責任が県にあります。県として、あくまで保険料などは市町が決めることであり、保険料軽減などのこの間の市町の努力を妨げない、「保険料負担の平準化」なるもので、保険料引き上げの圧力を市町にかけない、と明言すべきです。明快な答弁を求めます。 7月29日に全国知事会が提出した「平成29年度…予算に関する提案・要望」の中で、国民健康保険に関し「子どもに係る均等割保険料軽減措置の導入」が盛り込まれたように、子どもが多い世帯ほど保険料が高くなるのは子育て支援に逆行するものです。加入者の頭数に応じて負担を増やす「均等割」、すべての加入世帯に定額を賦課する「平等割」など、頭割りで賦課される「応益割」は、保険料の逆進性を高め、低所得者世帯を重い負担で苦しめる最大要因となっています。今後策定される県の国保運営方針に、「均等割」「平等割」の軽減策、住民の生活実態を反映しない「所得割」の「旧但し書き方式」、固定資産税を根拠に低所得者にも負担を強いる「資産割」など、不合理な算定式の見直し・撤廃を盛り込むべきではありませんか。見解を求めます。 そもそも市町それぞれに、主要産業も違えば、年齢構成の違いもあります。だからこそ市町によって国保が運営され、独自の努力ができたのであり、それを広域化することそのものに無理があります。政府は「持続可能」とか、「安定的な財政運営…制度を安定化」と言いますが、このままいけばまったく逆の方向に進まざるを得ません。日本共産党は国保の都道府県化の撤回・中止を求めると同時に、国庫負担の充実などを求めて全力をあげる決意を述べ、次の質問に移ります。 「地域における医療及び介護の総合的な確保のための事業を実施する」として、県に「地域医療介護総合確保基金」が創設され、「医療分」では、国費含め、2014年に8.1億円、2015年に10.5億円、今年度は9億円の基金が積み立てられると聞いています。しかし、規模はそれぞれ全国45位、38位、43位と低く、県民一人あたりの金額が石川25位と、富山県3位、福井県6位と比べても極めて低くなっています。なぜこんなことになるのでしょうか。どんな基準で各県に配分されるのか、とあわせお答えください。必要な基金が確保されるよう国にも増額を求め、県としても必要な予算を組むべきだと思いますが、所見をお伺いします。 11月25日に県が策定した地域医療構想についても、いくら県が「ただちに病床を減らすものではない」と説明しても、市町からの懸念が絶えません。 「産科医が1人しかいないうえに、分娩施設がなく、市外の医療機関でしか出産できない。さらに病床が削減されたらどうなるのか」、ある公立病院からは、「すでにベッドを177床から100まで減らし、採算はぎりぎり。これ以上の削減で病院そのものが成り立つのか」などの声が聞かれます。厚生労働省のやり方にそった試算がいかに地域の実態と合っていないかの表れではないでしょうか。パブリックコメントにも同様の声が出されており、それらの不安ひとつひとつに真剣に向き合い、実態にみあう、市町も納得できる医療構想をつくるべきです。議論してきた医療審議会で、このパブリックコメントの声はどう扱われ、どう反映されたのでしょうか。また、今後2次医療圏ごとの議論などはどのように行われていくのかお尋ねし、次の質問に移ります。
長時間労働の末に過労自殺した、大手広告代理店・電通の24歳の新入女性社員の事件は、大きな衝撃を広げました。県内から過重労働をなくしていくには、国の労働行政の強化は不可欠ですが、労働基準監督署の体制などは十分でしょうか。1万人の労働者ごとに1人の監督官を配置するというILO理事会決定も踏まえれば、県内の就業者数58万人に対し、500人を超える監督官が必要です。現在、第一線で事業所の監督などを行う労働基準監督官の人数は県内でどれくらいいるのでしょうか。不足しているであろう監督官の増員を国に求めるべきと思いますが、見解をお聞きします。 労働安全衛生法にもとづく職場環境の改善が必要であり、それは教員分野でも例外でなく、労働安全衛生法の改正にもとづいて2006年4月3日に文部科学省が通達を出しました。まずおたずねしたいのは、平成27年の人事行政報告によれば、教育委員会の公務災害認定は45件とのことですが、うち長時間労働などが原因で病気になるなどの公務災害は、どれくらいあるのでしょうか。労働基準法第104条1項では、事業主に労働基準法に違反する事実がある場合、労働者はその事実を労働基準監督官に申告できるとの規定があり、労働者自らが記載した労働時間の資料なども受理されるとのことです。同じように、教員の公務災害においても、公務災害認定請求書を提出する際、労働者自らが記載した労働時間などの資料を、請求書に記載されている「添付する資料名」の「その他」として添付すれば、受理される、との理解でいいでしょうか。所見を伺います。 関連し、「中間層の疲弊」の要因となっている、非正規雇用労働者を改善することに関し、鳥取県は、非正規労働者から正規雇用への転換をした場合、事業者に対して助成金を支給する制度をつくりました。石川県にも創設すべきと考えます。見解を求めます。
次に、志賀原発2号機原子炉建屋への雨水流入に関してお尋ねします。11月11日の防災・安全対策特別委員会の資料によれば、雨水流入の当日に現地の原子力保安官も現場を確認、翌日9月29日、県は志賀町と立ち入り調査をしたとありました。この問題が大きく報道されたのは、10月19日の規制委員会においての議論を受けてであり、県はその前の10月6日にすでに「安全上重要な設備への流水の可能性があることから」、北陸電力から説明を聴取した、とのことでした。そこでお聞きします。先の10月6日の時点で、県として公表することをなぜしなかったのでしょうか。問題の重要性の認識が、県も現地の規制事務所も甘かったのではないでしょうか。明快な答弁を求めます。 今回の問題は、原発に賛成してきた人たちからも、「原発は安全と説明できないような対応を、なぜ北電も県も、現地の規制事務所もやるのか」と疑念の声があがっています。こういう不安がぬぐえないからこそ、世界最大級の原発を抱える新潟県では、「福島原発の事故の検証なしに、再稼働はできない」とした新しい知事が誕生したのです。知事、せめて新潟県知事のように、「福島の事故の検証なしに再稼働は認められない」との立場にたつべきです。明快な所見をお伺いします。北陸電力は、2011年3月11日以降5年9か月にわたって、原発なしでやってきました。この際、北陸電力とも協議して、原発から撤退して「原発ゼロ」宣言を行い、国内外に発信すれば大きなインパクトになります。それは、電力自由化のもと、原発に頼らない電気を購入したいという国民の願いにこたえることにもなり、石川県の魅力を発信することになると考えます。見解をお聞きします。
次に森林環境税に関連し、林業振興についてお尋ねします。TPP協定では、かろうじて残されていた製材品や合板の関税が撤廃されます。これは県の林業「振興ビジョン2011」でかかげた、あと5年で達成すべき目標の「県産材供給量を、2倍強の30万立方メートル」「林業就業者を約倍の900人」とする阻害要因となると考えます。林業におけるTPPの県内への影響をどう考えているか、その対策をどうとるおつもりか。お聞かせください。 TPP離脱の意志を示しているトランプ次期大統領は、2国間の貿易交渉を行うとしており、より露骨に米国の要求を押し付けてくる危険があります。県としても2国間交渉反対の立場で国に要望するよう求めるものです。また、林業女子会の現状と、県としての支援はどのように行ってきたのか。今後の支援策はどうか、お聞ききします。さらに、県内における「緑の青年就業準備給付金」の活用状況と、今後の活用拡充にむけた対応をお尋ねし、次の質問に移ります。
北陸新幹線敦賀以西ルートでは、関係自治体の中でも意見が分かれました。一番大事な住民のなかでの議論や合意が遅れていることを指摘せざるを得ません。 福井県では、人口減少に伴う利用者減が予想されるなか、莫大な地元財政負担、並行在来線の第3セクター化による運賃値上げの不安などから、根強い不安と不要論があり、中京圏へのアクセスでも、特急廃止による敦賀駅乗り換えの、利便性低下の懸念は強いものがあります。 京都では、「新幹線誘致よりも在来線の複線化を」「まずエレベーターや屋根をつくってほしい」「トイレを男女別々にしてほしい」など、在来線の拡充や駅舎整備を求める声があがっています。 費用便益の問題、小松空港や高速道路など既存の交通インフラとの関係整理を含め、根本からの検討が必要ではないでしょうか。 並行在来線の経営分離を前提とする「政府与党合意」見直し、特急の充実を含めJRに社会的責任を果たさせること、並行在来線など地方鉄道路線を維持・存続するために、国と地方自治体、JRなど公共交通機関の役割と責務を明確にした新たな法律制定が急がれます。 今後の金沢以西延伸も展望し、IRいしかわ鉄道への、JRの経営参画を含めた国による積極的な経営支援、設備更新への支援、災害時の復旧支援スキームの整備などを国に求めるべきではありませんか。見解を求め、最後の質問に移ります。
輪島市の産廃処分場建設の賛否を問う住民投票請求署名が、必要数を大きく超える8,751人分が輪島市の選管に提出され、住民投票が実施される見込みとなりました。このこと自体、住民合意がないことの表れであり、建設計画を中止すべきと考えます。県としても、住民合意はない段階だと認識していますか、答弁を求めます。 処分場から排出される浸出水を下水道に接続したら、どう安全になるのか科学的根拠を示せないのでは、知事意見として下水道接続に言及したその責任が問われます。 「住民等意見における事業者の見解」によれば、年間受け入れ計画量7万トン、年間搬入日数307日との関係では、1日あたりの平均受け入れ量230トン、最大10トン車25台、4トン車15台、合計40台の車両が走行すると想定しています。ほぼ毎日、1日40台の産廃トラックが、のと里山海道、能越道、国道249号、周辺の県道を往来、すなわちのべ80台が処分場周辺を走ることになります。汚泥、がれき類、ばいじんなどを積んだトラックが、日中だけの走行とすれば、1時間に10台近い往来となり、地元住民の皆さんの不安はいかばかりかと思います。このこと含め、産廃処分場建設は、能登の里山・里海にはふさわしくなく、「生物文化多様性に関する石川宣言2016」にも反することになりませんか。県の認識をおたずねし、すべての質問を終わります。