定例会

3月4日 県議会での一般質問とその答弁を公開します

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3月4日県議会3月定例会で一般質問に立ちました。その一般質問に対する答弁を公開します。

日本共産党を代表し、「能登に住み続けることができる希望がほしい」との被災者の願いを実現する立場で質問します。

(1)災害関連死を防ぐために

 ア)1次避難所の生活環境改善

 被災者の命と健康を守り抜き、「災害関連死」と防ぐことは、最優先の課題です。

 1月3日、井上哲士参議院議員らと輪島市にたどりつき、市役所を訪ねた際、輪島市幹部の方が「避難所に1万人が避難しているのに食料の備蓄は2,000食分しかない」「2,000人分ではなく2,000食分」と窮状を訴え、避難所では「配給 食事:未定 水:未定」との掲示があったことを忘れることができません。県の地域防災計画「災害対策編」が1997年当時の想定から見直されてこなかった縮図がここにあると考えます。

 過酷を極めた1次避難所では、本来福祉避難所に入るべき高齢者もおり、体調が悪化して亡くなられた、との声も聞きました。その後、輪島市では東京都職員などの応援も入り、落ち着きを見せ始めたものの、1月末には、「炊き出しをしていた人たちが、本来の仕事に戻るため“炊き出しは1月25日を持って終了”」「自衛隊の入浴も他の避難所に行くため中止」などの動きもあり、わが党は発災から1か月たった2月1日、「現状から改善されることはあっても、後退することのないよう」1次避難所等の生活環境改善に関する緊急要望を県庁各部局に届けました。

 2月初旬にも、ある自治体の避難所に行きましたが、食事提供はα米とインスタント食品だけ、という状況でした。

 1次避難所において改善すべき問題は何か、特に食事の改善について、救助の実施主体である県としての認識を伺います。

避難所の運営を市町任せにするには、市町職員が大幅に削減されてきたことからみても限界があります。文書による周知や「きめ細やかな対応」と言うだけではなく、県の災害対策本部員会議の資料にある「避難所の運営等を1対1で丸ごと支援(カウンターパート方式による支援)するチーム(対口支援チーム)」などの大幅増員を総務省に要請することが必要です。

令和2年5月に内閣府男女共同参画局が作成した「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」では、「避難所チェックシート」の例も明示されており、「洋式トイレが設置されている」などの具体的項目があります。

内閣府の資料でも「避難所できること(災害救助法の対象となるもの)」として、「環境整備のための冷蔵庫、洗濯機等のレンタル。レンタルの場合が困難な場合は購入しても差し支えない」等と明記されており、これらの立場で各避難所を回り、避難所生活で何か足りないかその場でチェックし、ただちに改善の手だてをとる体制を整備するよう、国に求めるべきです。この指針等は国主導で作成された点からみても、道理があると考えます。県の考えをお聞かせください。

具体的には、災害救助法の救助基準において、「炊き出しにその他による食品の給与」は「1人1日当たり1230円以内」とあり、内閣府の資料でも「温かく栄養バランスのとれた食事のために」、「保健師、栄養士、調理師等の炊き出しスタッフの雇上げ」、「炊き出しのための食材、調理器具の購入など」「被災者用の弁当等」の購入、とあります。避難所でこうした対応がとれるよう、国に人的支援を要請すべきと考えます。あわせて、、東日本大震災の際は、国との協議のうえ基準額が1日1500円に引き上げられたことに鑑み、基準額の引き上げも国に求めるべきです。あわせて見解をおききします。

 こうしたスタッフの雇上げは、被災者の雇用等にもつながるのではないでしょうか。

さらに、女性用トイレは、男性用と別の場所に。そして照明のある場所に。加えて、高齢者も念頭に、簡易的な洋式にするなどの改善をすべきです。見解を伺います。

また、上下水道の復旧を念頭に、避難所その他における洗濯機・乾燥機のレンタルや購入の設置計画をもち、洗濯ができないという問題を改善するよう、国に要望すべきです。県の姿勢を伺います。

また、自主避難所の数や人数、その実態について県としてどう把握されているでしょうか。

市町の人員不足から、自主避難所への物資供給を停止する動きもありますが、災害対策基本法第86条の7第1項は、「避難所以外の場所に滞在する被災者についての配慮」とあり、「災害応急対策責任者は…必要な生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供、情報の提供その他これらの者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるように努めなくてはならない」と明記されています。

ここでも国の支援がどうしても必要です。自主避難所や車中泊の方の生活環境の改善を国と県の責任で行うことが必要です。県の見解を伺います。

 イ)1.5次避難所の生活環境改善、福祉避難所の現状

1.5次避難所である金沢市の県スポーツセンターには高齢者中心に約130人の方がおり、行先が決まらず2週間たってようやく県外の高齢者施設に入った、という方もいました。あくまで1.5次避難という位置づけであり、この間の介護・障害者施策の後退から受け入れ先の施設を見つけるのも困難があるなかで、県や国の施設も活用し、全国から介護労働者の応援も求めて介護サービスを提供できる臨時的な対応も検討すべきではないでしょうか。1.5次避難所の生活環境の改善、受け入れ先の確保へ、どんな課題があると考えているか、お聞きします。

 また今回の災害では、能登北部で、福祉避難所としても機能すべき高齢者施設も甚大な被害を受け、職員も被災し出勤できないことも含めサービス提供が困難となり、約1500人の入所者が県内外に避難されていると聞きました。

 介護施設などは普段から待機者が多数いるもとで、こうした被災者の受け入れが困難な状況もありました。今回、被災地の入所者を受けいれてもらうにあたり、県として県内施設にどのような依頼をしたのか、また、そういった施設を県が福祉避難所としてみなすこともできるようですが、その場合、どういう対応ができるようになるのかお尋ねします。

ウ)2次避難所の改善について

災害基準法の救助基準、「ホテル・旅館など宿泊施設を借り上げて実施することか可能」の規定にもとづき、利用額を食費込み1人1泊1万円に引き上げたものの、物価高騰もありこの範囲では不十分なため、食事が提供されなかったり、駐車場が自己負担になる例がありました。

「北陸応援割」で、50億円の予算計上、1人上限2万円。これをやるなら、さらに1万円基準額を上乗せし、遡及措置するよう国に求めるべきではありませんか。

また、必要なら県として支援策をとるなどして、旅館・ホテルまかせにせず、県作成の「2次避難所に関する、お部屋・お食事・滞在中の注意事項など」に、「食事付きをお申し込みの場合、1日3食提供します」と明記されているように、またそもそも災害救助基準には、利用額は食費込、と明記されていることからも、国と県の責任で食事が提供されるよう見届けるべきと考えます。あわせて駐車場の自己負担が出ないように改善できないでしょうか、見解を伺います。

(2)みなし仮設と生活用品支給

 賃貸型応急住宅・みなし仮設として、金沢市内などの民間アパートに入居されている方の実態と要望についてお聞きします。

 2月2日、環境農林建設委員会で、民間アパート申し込みの際、家賃等の一時的自己負担が求められていた実態を取り上げて以降、奥能登2市2町など「ライフラインが途絶し長期にわたり自宅に入居できないと市町長が認める地域」であれば、一時的な自己負担の軽減につながるようになったことは前進と考えます。土木部長や建築住宅課の皆さんの努力に心から敬意を表します。

 一方で、被災されアパート入居を申し込んだ、一人暮らしの80歳代の方が、単身ということもあり入居を断られた、との例もありました。こうしたことにならないよう、県としてどう努力されるか、姿勢を伺います。

 災害救助法では、生活必需品の給与・貸与ができるとされ、毛布や布団などの寝具、洋服上下、炊飯器などの調理器具がその対象となっており、市町に申請し、発送されることになっていますが、実際活用されているでしょうか。

 また、今回の3月1次補正予算で、「災害救助法による支援の対象外である洗濯機・冷蔵庫・テレビの提供」として13億円計上され、被災者向けの文書では先の生活必需品の給与・貸与があることも明記はされています。

 応急仮設に既に入居・これから入居される方はもちろん、みなし仮設・公営住宅、旅館・ホテルに既に入居されている方にも再度の周知が求められます。

市町のマンパワー不足の中、国の協力も得て独自の体制をとる必要があると考えますが、県の考えをお聞きします。

(3)義援金の支給に関して

義援金は申請方式だけでは限界があります。

 新型コロナ感染症対策として2020年、住民基本台帳に記載されている人に10万円の特別定額給付金を給付した情報があるのだから、それを活用して義援金が届くような体制をとる必要があるのではありませんか。見解を伺います。

(4)罹災証明など

住家の公費解体が始まるのは3月末との報道もあり、罹災証明書発行の深刻な遅れを一気に打開する必要があります。

奥能登2市2町では、罹災証明の申請と発行はどのようになっているでしょうか。

また、全国から専門職員を投入し、思い切った調査項目の簡略化とともに、災害対策基本法が求める「遅延なく」罹災証明が発行できるよう国に要請すべきです。あわせて県の姿勢をお聞きします。

能登地域という特性もあり、家はなんとか持っていても、ブロック塀の一部が崩れ、再建費用とあわせ60万円近くになる、との訴えがありました。

国土交通省の資料によれば、ブロック塀等の除却・改修等に対する支援制度があり、除却・改修等に国3分の1、地方3分の1、民間3分の1とあります。

石川県では17市町に補助制度かあるとされ、28県では市町と協調補助を実施とあります。

今回の実施にあたり、倒壊しそうなブロック塀の解体・修復へ、県としても支援してはどうかと考えますが、見解を伺います。

(5)住まいの再建について

住宅再建のための被災者生活再建支援金は、最大でも従来と同額の300万円。資材高騰、高齢化率の高さを考えたらこれだけでは住宅再建への希望は見えません。

 高齢者のいる世帯などに家財等支援最大100万円、新築・修繕に要した費用最大200万円の第2次3月補正予算が組まれましたが、高齢化に伴い新築はできない、家を直しても後を継ぐ人がいないと修繕すらはばかる高齢者。また、若者世帯にこそ支援すべきでないか、奥能登地域だけでなくすべての被災者を対象にしてほしい、被災者を分断するな、との声が後をたちません。

被災者生活再建支援金を600万円以上に引き上げるよう国に強く要望するのが、被災地の役割ではありませんか。知事の答弁を求めます。

内灘町からは「準半壊」も多く、災害救助法による応急修理の対象ではあるものの、被災者生活再建支援金の対象外であり、対象の拡大と緊急の住宅確保の要望が出されています。

金沢市の一部損壊の方からは、何の支援策もない、との声が聞かれます。

昨年の珠洲地震の際、珠洲市は市独自に、準半壊に生活再建支援25万円、一部損壊には10万円支給したと理解しています。

今回の地震の場合も、準半壊、一部損壊にも支援が行き届くように、国に要望すべきではありませんか、見解を伺います。

内灘町、かほく市の液状化に関してお聞きします。

 家は立っているものの、土台からずれている、地盤が沈み込んでいる、地盤ごと傾いているなど事実上住めないにも関わらず、被害判定が一部損壊と軽く判定され、仮設住宅にも入れない事態となっています。内閣府の住家被害認定運用指針に液状化についての項目はあるものの「地盤そのものは、住家の主要な構成要素ではなく」とされていることがネックになっているようです。

 平成28年熊本地震復興基金交付事業では、「液状化再度被害防止のための住宅建屋下の地盤改良工事」などに上限633.3万円の補助金が交付されるスキームがあります。こうした地盤被害への支援策を検討すべきではないでしょうか、県の考えをお聞きします。

 県道が左右に大きく傾いており、県道の復旧をどうすすめていくのか、文字通り内灘町・かほく市と一体となってすすめていく必要があります。「ここは県道なんです。復旧は県の仕事です」と何度も市町の幹部の方は訴えていました。

熊本地震の教訓をふまえ、地盤改良には8年かかるとも言われるなか、知事は「まずは市町において、地域住民の意向を踏まえたまちづくりの方針を決める必要があり、県としても、国と連携して、後押し」するとのことですが、“まずは市町、県は後押し”では、市町には経験の蓄積などはありません。住民の合意を基本として、文字通り一体となって復旧をすすめていくことが必要です。

内灘町・かほく市の液状化からどう町を復興するか、さらに踏み込んだ県として支援が必要です。見解をお聞きします。

(6)生業の再建

 和倉温泉観光協会の方々と懇談する機会がありました。旅館再開には多くの時間を要することから、人材の流出を防ぐためにも雇用調整助成金をコロナ並みに拡充してほしいとの強い、強い要望を受けました。国へ要望すべきと考えます。見解を伺います。

 先行議決された「なりわい再生支援補助金」には、定額補助上限5億円の特例があり、補助率は10分の10、国が3分の2、県が3分の1となっています。しかし、対象は多重被災など5つの要件をすべて満たす事業者となっており、たいへん厳しい要件です。

 わが党の調べによれば、同様の条件で実施した熊本県の2020年7月豪雨においては、熊本県内で2400者を超える事業者が被災したものの、なりわい補助金の交付決定は522件にとどまり、定額補助は48件にすぎません。いちばん被害の大きかった人吉市でも、約300の適用、定額補助は30件で1割でした。

 実際の運用においては、要件の緩和、手続きの簡素化を求めます。県の姿勢を伺います。

・先行議決された補助金についても、所得税・法人税課税すべきではないとの要望を受けました。国に要望すべきと考えますが、県の姿勢をお聞きします。

(7)原発問題

今回の地震の震源が、珠洲市の原発建設予定地周辺だったことから、原発をつくらせなくてよかったとの声があがっています。

志賀原発では、使用済み核燃料プール内の水が地震の揺れであふれ、1号機ではポンプが止まり、冷却機能が約40分間停止。

変圧器の故障で外部電源が一部使えなくなり、絶縁や冷却の油が漏れだしましたが、その量は当初の発表とは全く違って5倍以上、その原因は“「計器がない」ため正確に計測できなかった”と国会で原子力規制庁が説明するありさまです。

こうしたトラブルがあったにも関わらず、原子力規制委員会は地震発生から40分足らずで「異常なし」と公表したのは、新たな安全神話につながりかねず、北陸電力に対しても正確な情報開示を求めていく必要があると考えます。

同時に、原発再稼働の前提となる避難計画は、今回の道路の寸断等で、逃げようにも逃げられず、「屋内退避」というが倒壊の危険にある建物にとどまることはできないなど、机上の空論だったことは誰の目にも明らかです。知事にはこういう認識があるでしょうか。見解を伺います。

この現実を目の当たりにして、志賀町長が再稼働に慎重な姿勢を示したことはたいへん重要ですが、知事提出議案の説明では従来どおりの志賀原発依存の姿勢と予算提案だったことは極めて重大です。

政府の地震調査委員会は、今回の地震で動いた断層の長さは能登半島北岸に沿う約150キロと見ており、北陸電力の想定は96キロと過小評価していた結果、揺れも想定値を上回りました。2007年の能登半島地震のときも、海底活断層の長さの過小評価と大きな揺れがあり、2回連続の想定の失敗です。

これらの点からも、志賀原発は直ちに廃炉にするよう、国に要請すべきです。少 なくとも、再稼働は現実的ではないことを明言すべきではありませんか、知事の明快な答弁を求めます。

(8)医療提供体制について

「奥能登公立四病院機能強化検討会(仮称)」を設置するとし、200万円の予算を計上しましたが、公的病院の縮小・統廃合につながるのではないかとの懸念が広がっています。

「知事は4病院の役割は一層高まった」と言いながら、「将来的な集約を含めて」と答弁しています。

被災地の医療逼迫の下でも、病床を削減する国の「地域医療構想」に追随はしない、公立4病院を守り、充実させると明言すべきです。知事の見解を伺います。

最後に、復興にあたっては、2004年の中越地震から復興した中山間地である新潟県旧山古志村の復興プランが参考になると考えます。「帰ろう山古志へ」、集落再建を、人間の復興を、とした山古志村。

「帰ろう能登へ」…この思いを込めて、質問を終わります。

                                                              

◎馳知事 

 佐藤正幸議員にお答えをいたします。

 「 帰ろう能登へ」というのはまさしくそのとおりと思いますし、我々行政にとりましては「帰そう能登へ」 この姿勢をしっかりと持ちたいと思います。

 まず、被災者生活再建支援制度についてのご質問がございました。被災者生活再建支援制度については、今回の地震災害の甚大さに鑑み、異例の措置として、被害状況の調査を待つことなく 県内全市町への適用を決定し、全壊世帯に対し、最大300万円を支援するなどの国制度による支援が行われることとなりました。これに合わせて、県独自に国制度では支給対象外となっている居住のための基本的な機能の一部を喪失したものとされる半壊世帯について、市町と連携し、国制度の中規模半壊と同様に最大100万円の支援を行うこととしました。さらに、支給額の拡大については国において新たな交付金制度を創設し、七尾市以北の6市町の高齢者等のいる世帯等を対象として、被災者生活再建支援制度に加えて 特例的に住宅再建を手厚くするため、最大300万円を給付するほか、さらにこの制度の対象とならない地域においても多くの家屋に被害が発生していることを踏まえ、県として県内全域の半壊世帯を対象に、住宅を再建されるために借り入れた住宅融資の利子について、新たな交付金制度による支援と同額の最大300万円を支援することとしたところであります。

 また、支給対象の拡大については1月14日に 岸田 首相に要望したほか、一部の市町において独自に、半壊に至らない程度の破損で補修を必要とする準半壊や一部損壊も含めた住家被害への支援を実施することとしたと承知しています。

 県としては、被災者生活再建支援制度に加え、今回新たに創設されることとなった支援を、高齢者から子供まで住宅に被害を被った被災者世帯にしっかりと届けて、地域コミュニティの再生につなげてまいりたいと存じます。

 避難計画についてご質問がございました。県は福島第一原子力発電所事故を契機として、国の原子力災害対策指針に基づき、平成25年3月に原発から30km 圏内全ての住民の避難先について、町会単位の具体的な割り振りを行い、想定される避難ルートなども盛り込んだ 避難計画要綱を定め、市町はこれを踏まえ、避難計画を策定しています。一方、国は、平成26年度から県、市町の地域防災計画や避難計画の具体化、充実化を支援するため、全国の原子力発電所の所在地域ごとに地域原子力防災協議会を設置し、原子力災害時における避難先、移動手段の確保、避難ルートなどの具体策を緊急時対応として取りまとめております。 志賀原発についても、平成27年に内閣府が事務局となり、志賀地域原子力防災協議会が設置され、関係省庁と石川県及び富山県が参加し、緊急時対応の取りまとめの作業が行われているところであります。

 こうした中、今回の地震を受け、岸田総理は国会答弁で、「志賀地域における緊急時対応については取りまとめに向けて取り組んでいるところであり、今回の地震の被災状況を検証しつつ、 避難経路、避難手段などを検討し、地元の声をしっかり聞いて、志賀原子力発電所の緊急事態を取りまとめていく」と述べられたと承知しています。

 今回の地震を受けた本県の避難計画の対応については、今後の国の対応を見極めていく必要があると考えております。

 志賀原子力発電所についてのご質問がございました。志賀原子力発電所については 現在、 原子力規制委員会の法律に基づく新規制基準への適合性に関する審査会合において、敷地周辺断層の活動性等に関する審査が行われております。規制委員会は、今般の能登半島 地震で得られた知見を踏まえた対応状況についても審査会合において確認していくこととしております。

 規制委員会には、今後の地震による影響をしっかりと検証するとともに、科学的な根拠に基づき、厳格な審査を行い、地元住民はもとより、国民の理解と納得が得られるよう、しっかりと説明責任を果たすことを引き続き 強く要望してまいります。

 奥能登の公立4病院の充実についてご質問がございました。1月1日の大災害の発生により 奥能登の4つの公立病院を取り巻く環境は 激変しました。これからの奥能登の復旧、そして 創造的復興を進める中で、地域における公立病院の役割の重要性は、より一層高くなったものと考えています。

 そこで、新年度、奥能登公立4病院機能強化検討会を設置し、4市町や県、関係機関の方々と、まずは医療機能の維持に必要な具体策の検討を行います。その上で 4市町と問題意識を十分共有し、金沢大学、金沢医科大学など関係機関と意思疎通を図り、次の段階として、将来的な病院の集約を含めた医療体制の強化策を検討してまいりたいと思います。

 私からの答弁は以上であります。残余のご質問については、担当部長より答弁をさせていただきます。ありがとうございました。

 ◎飯田危機管理監

 まず、一時避難所の食事について お尋ねがございました。 今回の地震により、いまだ多くの方が 避難生活を余儀なくされている中、食事の内容や栄養バランスに配慮するなど、食生活の質の向上を図っていくことが重要であります。

 県では、発災直後は国による調達、自衛隊の輸送のもと、避難所にパックご飯、水などの緊急性の高い物資をプッシュ型支援により提供してまいりました。その後、市町からのニーズを聞き取った上で食品の種類を充実させるなど、被災者の要望に応じて支援を実施しております。また、避難生活が長期化する中、避難者に栄養バランスが取れた食事や暖かい食事を提供するため、被災市町ではボランティアによる炊き出し、地元調理人やキッチンカーによる食事の提供、地元飲食店への弁当の発注等を行っております。

 救助費の基準額につきましては、一般基準 1日3食 1,230円となっておりまして、適切な食事の提供が困難な場合には、特別基準の設定が可能となっております。市町のニーズを把握しながら、必要に応じて 内閣府と協議を行うこととしております。

 今後とも市町と連携いたしまして、被災者のニーズも踏まえ、避難所における食生活の充実に努めてまいります。

 次に、一次避難所に備えるべき設備について お尋ね がございました。令和6年能登半島 地震によりまして、いまだ多くの方が 避難所において避難生活を余儀なくされております。避難所の良好な生活環境を継続的に確保することは重要でございます。

 今回の地震におきましては、国、県、市町の職員が避難所を巡回し、避難者のニーズを把握し、段ボール ベッドや冷暖房器具、仮設トイレ、感染症対策に必要な消毒液などを自衛隊等と連携いたしまして 避難者に搬送したところでございます。また、断水していた避難所では洗濯機械の確保が問題となっておりましたことから、国の協力も得ながらランドリーカーを配置したほか、衣類等を回収して クリーニングを実施するサービスも行ったところでございます。通水した避難所には、洗濯機や乾燥機をリースにより配置したところでございまして、引き続き被災地のニーズをしっかりと把握し、市町等と連携いたしまして、避難所の生活環境の改善に取り組んでまいります。

 次に避難所のトイレの改善についてのご質問がございました。避難所にトイレを確保することは、衛生管理や健康管理の面から非常に重要でございます。仮設トイレを設置する際には、女性用と男性用を別の場所に配置するほか、高齢者に配慮いたしまして、和室を様式にするトイレアタッチメントを提供するなど、避難者の要望に応じて対応しております。また、 県外の自治体のご協力のもと、照明、換気、広さ、衛生面で普段使用いたしますトイレに近いしつらえとなっておりますトイレトレーラーが奥能登2市2町、七尾市の避難者が多い避難所に派遣されております。

 引き続き、国、市町と連携し、女性や高齢者等全ての避難者が安心してトイレを利用できるよう努めてまいります。

 次に、自主避難所の実態把握、避難所外被災者の生活環境の改善について、お尋ねがございました。自主避難所を含めた避難所の開設状況等につきましては、市町のほか自衛隊や DMATがそれぞれ収集した情報を集約し、市町が確認した上で、県総合防災情報システムで一元的に管理する仕組みを構築し、避難所の開設数や避難者数の把握を行っております。また、車中泊や親戚、知人宅などの避難所外被災者につきましては、LINE 等により、避難先や電話番号などを登録していただくことでその把握に努めております。また、避難所外被災者の方々への支援に活用いただくため、住所登録されている市町に対し、情報提供を行っているところでございます。市町では、これらの情報をもとに 避難所外被災者の方々への健康管理や生活物資、広報誌の配布などの支援を行っていますほか、車中泊避難者の早期解消に向けまして 環境等の環境の整った指定避難所への誘導等を行っております。 

 引き続き、関係機関と連携し、市町の取り組みを支援してまいります。

 次に、生活必需品の給与、貸与についての周知の問題についてご質問がございました。 災害によりまして、直ちに日常生活を営むことが困難な方に対しましては、災害救助法に基づきまして、被服や寝具、日用品、炊事用具および食器などの生活必需品を支給することができます。対象となる被災者に対しましては、仮設住宅の入居案内時等に支給を希望する物品を支給物一覧表から聞き取りまして、後日、被災者に現物を提供しております。

 こうした生活必需品の支給など様々な支援制度につきましては、県のホームページや公式 SNS、新聞等を活用して広報を行っているほか、紙媒体で直接情報を届けて欲しいというニーズに応えるため、相談窓口や支援情報などをまとめたチラシを作成しまして、市町と連携して、1次、1.5次、2次の各避難所や在宅等避難避難所外被災者にも配布するよう努めております。

 最後に、罹災証明書につきまして、奥能登2市2町での申請と発行状況について、お尋ね がございました。奥能登2市2町の罹災証明書の申請と発行の状況でございますが、2月25日現在で2市2町の交付率は77%となっております。

 罹災証明書を市町が迅速に発行できますよう、国の制度によりまして全国の自治体から被災市町に対し、2月27日現在で約350名の罹災証明書関係業務に従事する多くの応援職員を派遣いただいております。県職員も2月26日から派遣をしております。市町に対しましては、国土地理院による空中写真等を比較検証することで、被害認定調査を行わず 一括して 全壊と判定できる、また甚大な被害が発生した地区では、罹災証明書の交付申請前でも被害認定調査に着手できることなどを助言しております。また、モバイル端末に表示される項目を選択することで、円滑に罹災証明書の発行が可能となるシステムの活用も促しております。

 引き続き、市町の罹災証明書発行事務につきまして、しっかりと支援をしてまいります。 

◎柚森健康福祉部長 

 1.5次避難所の生活改善と福祉事務所の現状についてお答えをします。県では、今般の地震による特例措置として、定員を超過して受け入れて差し支えないとする国からの通知を受け、県内の高齢者施設に対し、入所定員を超える 受け入れを要請するとともに、全国からの応援職員による人的支援を行いながら介護が必要な高齢者の施設での受け入れを進めてまいりました。加えて、近隣6県に対しても施設での受け入れを要請し、本人や家族に丁寧に説明を行いながら同意をいただき、県外施設への入所も進めております。

 1.5次避難所には入所が長期化している方もおられることから、こうした方々の生活環境の改善に向け、心身機能の低下を防ぐことが課題となっており、体操やウォーキング、塗り絵などの機能訓練活動や ミキサー食やソフト食などの食事の提供、心身の清潔を保持するための入浴支援など、一人一人の状態に合わせた対応を行っているところでございます。

 また、福祉避難所について、国のガイドラインによれば 市町があらかじめ指定した指定福祉避難所では、収容定員が不足する場合は 高齢者施設等を県や市町が福祉避難所としてみなすことが可能であり、今回の災害により高齢者等受け入れた県内外の施設を福祉避難所としてみなしております。福祉避難所となった施設に避難した方に対しては、部屋の使用料、食事などの避難所の運営に必要な経費が災害救助法の対象となるため、入居者の負担の軽減につながるものでございます。

 次に、義援金の支給についてお答えをいたします。議員ご指摘の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として実施された各市町が1人につき10万円を 世帯主に給付する特別定額給付については 4年前に実施されたものでございます。その情報を今般の義援金の給付へ活用することについては、市町に相談をしたところ、4年間で振込口座の変更や転入出等もあることから活用は難しいのではないかとのご意見をいただいたところです。こうしたことから全住民を対象に いち早く支給するため、申請方式を採用したところであり、申請の際に被災者の避難情報の把握につなげるとともに、申請者に同意いただくことで今後の市町等による給付に振込口座の情報を活用することもできるようにしたところでございます。

 以上でございます 

◎米永商工労働部長

 私からは、なりわいの再建についての3つのご質問にお答えをいたします。

 まず、雇用調整助成金については、助成率の引き上げや支給限度日数の延長など、令和6年能登半島地震に伴う特例措置が講じられておりますところ、さらに、特例措置を拡充するよう、本年1月、本県を訪問された武見厚生労働大臣に知事から要望しております。

 次に、なりわい再建支援補助金の定額補助の特例については、過去の災害からの復旧に関わる債務を抱えているなど、復興に向けて道半ばであった事業者が再び被災した場合に、経営状況は極めて厳しくなることなどを踏まえて 特例的に措置されるものと 承知しております。過去の災害時における取り扱いとの均衡も踏まえますと、要件を緩和することは難しいものと思われますが、なりわい再建支援補助金の申請手続きについては国とも調整の上、申請書類を極力簡素化しております。

 また、補助金については、過去の災害時と同様に 所得税、法人税の課税対象となっておりますが、国税庁において、国税の納付期限の延長や納税の猶予などの措置が講じられておりますので、被災事業者におかれては必要に応じて これらの措置を活用していただきたいと考えております。

  以上になります。

◎竹内観光戦略推進部長

 2次避難所の生活環境改善についてお答えをいたします。

 2次避難先のホテル旅館のマッチングにあたりましては、施設の場所、食事提供や駐車場の有無などについて 避難者の意向を確認しながら行っております。金沢市内のビジネスホテルなどでは、調理施設や人員体制が整っていないことを理由に、食事提供を行っていない施設が多数ありますが、食事提供なしであっても金沢を希望する方がいることから、県では施設に対しまして、弁当事業者を活用している事例を紹介し、2次避難所借り上げの基準である 1人1泊1万円の範囲内で食事を提供いただけるよう 働きかけを行ってまいりました。 この結果、現在、避難所全体の93%にあたる 約4400人に食事提供が行われており、金沢市内においても 83%に当たる約1200人に食事提供が行われております。加えて、先月26日からは、金沢市が独自に食事提供がない施設の避難者に対し、飲食用にコンビニ等で利用できるプリペイドカードの配布を開始したところであり、これによってほぼ全ての避難者にの方に食事が提供されることとなりました。また、駐車料金につきましては、災害救助法の対象外であることから、自家用車で金沢市内の無料駐車場がない宿泊施設に2次避難された方に対しまして、県、金沢市、民間事業者により 約400台分の無料駐車場を確保しており、現在 約280台が利用しているところであります。

 こうした取り組みにより食事提供や駐車料金につきましては、1万円の借り上げ基準額のさらなる上乗せではない形で現在対応できるとできていると考えております。

  以上です。

◎鈴見土木部長 

 はじめに、みなし仮設住宅への入居についてお答えをいたします。みなし仮設住宅は、災害救助法に基づき、住宅に大きな被害を受けた被災者に対して、民間賃貸住宅を活用して 応急仮設住宅を供与するものであり、賃貸住宅の貸主の同意が前提となります。

 県といたしましては、みなし仮設住宅への入居を希望されている方が円滑に入居できるよう、不動産関係団体を通じて、賃貸住宅の貸主の方に対して、高齢者単身の方の入居について協力を働きかけるとともに、高齢者単身の方でも入居可能な公営住宅についても 幅広く 紹介してまいります。

 続きまして、ブロック塀の解体修理についてお答えをいたします。県は令和5年奥能登地震など比較的大規模な地震が発生した後、速やかにブロック塀のパトロールを実施し、ひび割れや傾きのあったブロック塀について、所有者が適切に維持管理を行うよう点検を促してまいりました。また、今回の地震においても建築物の応急危険度判定を実施する際、危険なブロック塀についても判定し、所有者等に対して危険度の周知を行っております。

 県は、これまでも所有者等に対して安全点検の実施を促すため、ブロック塀の点検のチェックポイントや県内の17市町において設けられている市町の補助制度をホームページへ掲載するとともに、建設関係の団体や市町に通知を行い、周知に努めております。平成30年から昨年度末までに、この補助制度を活用し、658件の危険なブロック塀が除去されております。今回の地震においても、開設されている被災者のための住宅相談窓口において ブロック塀の除去の相談にも対応しており、引き続き市町とともに 所有者に対し制度の周知に努めてまいります。

 最後に、液状化についてお答えをいたします。今回の地震において県内各地で液状化による甚大な被害が発生しており、特に被害が著しい内灘町やかほく市においては、国による概略調査が実施されるとともに、液状化のメカニズムの調査や概略的な対策方法の検討もなされ、先般、調査結果の検討が報告されたことを承知しております。今後は国の調査検討結果を踏まえ、新年度に 両市町が本格的に詳細な地質調査や設計を行い、対策工法の比較検討ができるよう国の補助調査への採択や熊本地震や北海道胆振東部地震と同様に 被災した宅地と公共施設の一体的な液状化対策などに対する国による補助率かさ上げなどを要望しております。

 今後とも、両市町が取り組む液状化対策について 国の補助制度の活用に向け、しっかりと支援するとともに、さらなる支援については、今後の研究課題としてまいります。

  以上でございます。

◎佐藤正幸議員

 知事に1点だけ再質問いたします。避難所の生活改善について質問をいたしまして、様々な努力がされていると思います。ただ、東日本大震災の時の例を見ましても、岩手では 7ヶ月、宮城では9ヶ月の避難所生活が強いられております。 いろいろ努力はされていますけれども、現場では、徹底されていないと思います。市の職員、町の職員、県の職員は、必死の努力をやっています。もう限界です。ここは、多分今、古賀副大臣も多分 聞いていらっしゃると思うんですけれども、国が前面に立ってもう一度 避難所全部を巡回して、せめて1日1食は暖かい食事提供ができるとか、1歩でも2歩でも改善が現場で徹底するよう、私は国に強く知事として要望すべきというふうに思いますので、改めてこの1次避難所 1.5次2次も含めてですけれども、生活環境改善に向けての知事の国への強い要望、決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。

  以上です。

◎馳知事

 仮設住宅に入られるまでの避難所における生活支援というのは極めて重要であると。確かに 1日1回は暖かいものを差し上げたいと思いもございます。 改めて、被災地の職員の疲弊の度合い、これもまたご承知いただいているとおりと思います。また関係ボランティア団体にもこうした炊き出しにも参加をいただいております。改めて国側とも調整しながら、できる限り落ち着いて暖かい場所で暖かいものを口にすることができるように、加えてこの避難場所における情報の提供といったことも必要であります。そういったことにも配慮したいと思います。 

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