定例会

第3回定例会 一般質問 質疑全文を公開します

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日本共産党を代表して質問します。

【1】北朝鮮の暴挙・大和堆の問題

北朝鮮による弾道ミサイル発射・核実験の強行は、9月11日の国連安保理決議でも協調された「対話を通じた平和的解決」に逆行する行為であり、今年7月の国連会議における、核抑止力も違法とした画期的な核兵器禁止条約の採択など「核兵器のない世界」を求める世界の大勢にさからうものです。今の最大の危機は何か。米朝間の直接の意思確認がないまま軍事的緊張がエスカレートするもとで、当事者たちの意図にも反した偶発的な事態、あるいは誤算などにより、軍事的衝突が引き起こされる現実の可能性が生まれ、強まっていることです。万が一でもそうした事態になれば、その被害は日本にも深刻な形で及ぶことになり、おびただしい犠牲をもたらす軍事衝突は絶対に回避しなければなりません。では、解決の道筋はどこにあるでしょうか。北朝鮮に対し、これ以上の軍事的な挑発を中止するよう厳重に求めること。そして、米朝両国に対して、強く自制を求め、現在の危機を打開するために、直接対話に踏み出すことではないでしょうか。石川県民の命と安全に責任を持つ知事として、日本政府に対し、対話を否定する態度をあらためるよう求めると同時に、政府が米国に「今こそ対話に踏み切るべき」と説く…この要請をすべきではありませんか。知事の見解を求めるものです。

日本の排他的経済水域・EEZ内にある、能登半島沖の漁場・大和堆で、外国漁船によるイカを中心とした違法操業が相次いでいる問題で、私も8月8日、水産庁長官と直(じか)に会うとともに、海上保安庁にも赴いて、取り締まり強化を要請してきました。この問題の解決のためには、外国船が「自分たちは違法なことをやっている」との自覚があるかどうか、そういう働きかけを政府がやっているかどうかも問われています。水産資源を確保するためにも、近隣諸国と連携して、各国の主権を尊重するルールを確立して交渉にあたるよう、政府に働きかけるべきです。知事の見解をお聞きします。

【2】景気の回復基調批判、ジャパンディスプレイ問題

谷本知事の出馬表明を受け、6期24年間の県政を検証すると同時に、県政運営を大もとから転換することが求められています。総務省発行の「統計でみる都道府県のすがた」によれば、谷本県政の前年の1995年・平成7年度決算と、直近の2014年度決算を比較すると、でこぼこはありますが、老人福祉費は全国4位から29位へ転落し、児童福祉費は25位から39位へと後退。一方、土木費は14位から8位へと上昇し、地方債残高は14位から2位へと膨れ上がりました。このゆがんだ税金の使い方をただし、安倍政権のくらし破壊の暴走からくらしを守る防波堤となる県政を。第2に、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が提起した9条改憲を阻む3千万署名運動とも連帯し、憲法を守り県政に生かす知事を。第3に原発の再稼働に反対し、再生可能エネルギーの普及で能登に新たな産業と雇用を。この3つの対決軸を示して、日本共産党は全力をあげる決意を表明し、以下具体的にお聞きします。

まず、くらしを守る防波堤となり、地方自治法第1条にある「地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本と」する、本来の地方自治体のあり方をとりもどす立場からいくつかおたずねします。知事は有効求人倍率の高さを誇り、「企業の人手不足感が強まっている」といいますが、冷静な分析が必要です。石川労働局の平成29年7月の「最近の雇用失業情勢」をみても、有効求人数が千人以上を超える職業を、有効求人倍率の高い順にみてみると、接客・給仕の仕事が5.86倍。飲食物調理の職業は5.29倍。自動車運転の職業、3.52倍。介護サービスの職業、3.35倍であり、一般事務員は0.38倍にすぎません。これら上位に属する職業は、労働時間は長く、不規則・深夜勤務が多いにも関わらず、賃金が低いこともあって、離職率が高いのが現状です。すなわち、企業は、就職者が得られても、早期の離職を見越してハローワークに求人を出し続けているため、有効求人倍率は高止まり状態が続いている、との指摘があります。「人手不足」をもたらしている要因として「働かせ方」の問題があり、労働条件の劣悪さが有効求人倍率を高めている、この指摘を知事としてどう受け止めますか。見解をお聞きします。

県の誘致企業でもあるジャパンディスプレイ(JDI)が、経営難を理由に能美工場における生産を12月に中止すると発表したことは、川北町の石川工場、白山市の白山工場への影響を含め、労働者とその家族、関係自治体に大きな衝撃を与えています。JDIは、政府が全面的に支援し、2012年に日立製作所と東芝、ソニーの液晶事業を統合して誕生した国策液晶メーカーとされ、2015年3月に1700億円を投じてアメリカ・アップル社向けのスマートフォン用液晶パネルの白山工場の建設を決めたものの、アップル社は有機ELパネルに傾倒。アップル社が、白山工場は「不要」と判断し工事中止を求めた、との報道があります。こうした事態を受け、JDI自身も他県の工場の生産ラインの一部中止と、早期退職者の募集に踏み切ろうとしていたところ、経済産業省幹部が「アベノミクスの失敗を想起させる経営判断は謹んでほしい」と苦言を呈し、筆頭株主である産業革新機構も同調した、とされています。アベノミクスを賛美し、こうした企業を県民の税金で誘致した県の責任も問われています。知事には、JDIをめぐるこうした一連の経過を知っていたのでしょうか。おたずねします。また、JDI幹部、経産省幹部を呼び、労働者・県民へ、なぜこのような事態になったのか説明を求めることが必要ではないでしょうか。見解をあわせておたずねします。アベノミクス追随の失政のツケを、労働者・県民におしつけてはならない、この立場からおたずねします。能美工場、石川工場、白山工場それぞれに、税金投入はどんな形で行われたのでしょうか、県民に明らかにしてください。同時に、それぞれの工場の労働者の人数、とりわけその雇用形態がどうなっているかも県としてもつかむべきです。所見を伺います。県として非正規労働者を含めた雇用の確保に全力をあげるとともに、関係自治体との協議を行い、雇用契約の変更については、労働局とも連携して、本人同意・取消権、労働組合の関与など労働者の権利が守られるようにすることが必要です。そのための相談窓口などを設置すべきです。見解を求めます。キリンビール北陸工場撤退の経験もふまえ、外からの大企業呼び込みという振興策を見直し、地域にある力を生かし、伸ばす経済政策に転換することが必要ではないでしょうか。知事の見解をお聞かせください。

景気回復を示す数字が出されても、NHKの7月11日の世論調査では、景気が回復していると「感じる」は9%、「感じない」は56%。雇用者報酬が伸び悩み、消費の低迷が長期化していることに加え、税金と社会保障費の負担増が続いているからです。一方、財務省が9月1日に発表した2016年度法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保は、年度として初めて400兆円を超えました。ここでもアベノミクスの破たんは明瞭です。労働者の時給を千円以上に、そして暮らし応援の施策がますます求められている立場から次の質問に移ります。

【3】給付型奨学金制度創設、国保の都道府県化

谷本知事になってからも、でこぼこはあるものの、民生費・教育費は30番台から40番台と低迷しています。このことは、子どもの医療費助成の県の対象年齢が全国的にも低いこと、世論に押されて保育料・学童保育料の第2子無料化にふみだしても、厳しい所得制限があること、社会的問題となっている子どもの貧困についての県として独自調査も行わず、重度心身障害者の医療費助成の65歳からの償還払いも、何度指摘してもあらためようとしないこと、学校給食の無償化に県として支援しようとしない姿勢の反映です。この姿勢を転換すると同時に、人口10万人あたりの高等教育機関数が、東京に次ぐ全国2位の石川県として、大学生・専門学生への経済的支援をさらに強める必要があります。国は、重い学費負担改善の声に押され、学生への給付奨学金を創設しましたが、対象はわずか2万人程度。しかも高校などが、実施機関である日本学生機構に推薦できる1校あたり生徒数に県ごとの地域差があり、石川県は全国平均の3.92人よりも低い、2.87人であることも報道されました。この制度はどのように運営され、先行実施された今年、県内ではどれくらいの若者が対象となっているのでしょうか。来年はどれくらいが対象になるのでしょうか。

そもそも、対象となる学生数が少ないことが要因のひとつであり、日本共産党は、現行の奨学金受給者の半分にあたる70万人の学生に、月3万円の給付奨学金を、と提案。予算規模はわずか2500億円程度です。県内の学生から、こういう声が寄せられました。「お金を使う度に通帳を見ています。今後の出費の計算を常に行い、最終的に残ったお金を食費にあて、お肉やお魚などの比較的高価なものは買うことはしません」「毎学期の授業料免除申請や奨学金継続願いを出す行為そのものが、長年続けると精神的に苦痛で、その度に惨(みじ)めで悔しい思いをしています」知事、こういう学生の叫びに寄り添う姿勢が必要です。県としても、長野県、新潟県のように給付奨学金を創設すべきではないでしょうか。見解をお聞きします。

今年は介護保険法制定から20年。来年は介護報酬改定・診療報酬の同時改定などがいっせいにスタートする年となり、安倍政権のくらし破壊の暴走をそのまま持ち込むのか、それとも防波堤としての役割を果たすのか、県の姿勢が問われます。そのひとつ、国民健康保険の都道府県化に関して今回もおたずねします。厚生労働省が7月10日に保険料率などの試算方針を各県に通知したことを受け、福井県は8月31日に「国保運営方針」の中間案を発表し、市町ごとの納付金、1人あたりの標準保険料の試算を公表しました。先の厚労省の通知にもとづき、1人当たりの保険料額、モデル世帯当たりの保険料額の比較の試算は、国に報告しているのかどうか、おたずねします。幅広い医療関係者や、住民・議会などの意見を聞くうえでも、議論の材料提供という点からみても早く公表することが必要と考えます。あわせて所見をお聞きします。県の国保運営方針の策定にあたり、多くの関係者から要望の出ている、子どもの均等割りの廃止を盛り込むこと、また県として保険料を上げない断固たる姿勢で臨むことを求め、次の質問に移ります。

【4】住民の暮らしの足を守る

土木費や借金が全国上位クラスなのは、莫大な税金を投入してのダブルラダー構想推進、北陸新幹線の敦賀延伸を急いでいるからなどであり、一方で、門前と金沢を結ぶ北陸鉄道能登バスの門前特急・急行線で、路線の廃止や運行本数が削減されるなど、県内の公共交通網は縮小しており、県としての交通政策の姿勢も問われています。こうしたもとで、高齢者の自動車運転免許証自主返納者にとっては、それまで自由に行けていたところも行けなくなるという制約が生じ、自主返納を躊躇させる理由の一つにもなっています。県として、自主返納された方が、返納後の日常生活が不便にならないよう、公共交通機関などをより使いやすくなるような支援を、関係自治体に働き掛ける必要がありますが、所見をお聞きします。

例えば、野々市市では、自主返納者に対しコミュニティバスの回数券55枚を支援交付していますが、多い人でも4枚しか使っていないと報告され、その理由のひとつに広域的に公共交通機関を利用できる仕組みがないことが指摘されています。この問題を解決するために、市町の単位を超えて広域的に、JR、IR、私鉄、コミュニティバスなどの公共交通機関を利用できるよう、「広域的公共交通無料パス」の発行が有効ではないでしょうか。これは、高齢者だけでなく、子どもの貧困が問題となるなかで、高校生の通学費支援にも資するものと考えます。

また、並行在来線分離を前提とした新幹線延伸計画を見直し、国とJRの社会的責任を求めること、のと鉄道・生活路線バスの支援策を強化することを要望して次の質問に移ります。

【5】原発から撤退し、再生可能エネルギーの普及による能登振興策を

県政転換の大きな柱のひとつは原発問題です。知事は、政府と同じように原発再稼働に固執する態度をあらためようとしないもとで、少なくとも、福島原発事故原因の検証なしの、また安全な避難方法の検証なしの志賀原発の再稼働には同意しない立場にたつ、新しいリーダーが必要です。原発再稼働を断念し、県の「再生可能エネルギー推進計画」に導入目標と期限を明記し、自然エネルギーの本格的普及で新たな雇用・産業創出による、能登振興策をとるべきではありませんか。部局横断の、再生可能エネルギー普及による能登振興プロジェクトをつくり、本格的な具体化をすすめるよう求めます。知事の見解をお聞きます。

【6】災害に強いまちづくりと避難生活の改善

今後30年間で最も地震の起こる確率が高いSランクとされた森本・富樫断層による地震災害の未然防止策へ、思い切った対応・予算措置が必要とする立場からおたずねします。現在の、木造住宅の耐震診断・リフォーム助成の対象は、昭和56年の建築基準法以前に建てられた住宅に限られ、しかも制度の普及・啓発にとどまっています。熊本地震の教訓などもふまえ、かねてから木造住宅の耐震診断・耐震改修工事助成制度をすべての住宅に広げるよう求めてきましたが、あらためて県の姿勢をおたずねします。地震を含め、多発する自然災害にかんがみ、避難生活で、健康状態を悪化させて亡くなる「関連死」をなくすために、今から準備をしておく必要があります。「避難所・避難生活学会」が、イタリアの避難所を視察した経験もふまえ、トイレ=T、キッチン=K、ベッド=Bの環境改善を提唱、この3つの「TKB」を改善すれば、被災地の疲労感や失望感を減らし、復興の意欲や日常に戻る原動力になる、と指摘しています。イタリアでは、大規模災害が起こると、州単位の専門機関・市民安全省が被災自治体の要請をまたずに出発。トラック数十台で被災地に入り、家族単位のテント型避難所や、トイレとシャワーが一体となったユニット、キッチンカーのついた食堂を48時間以内に設置するそうです。日本の被災地では、自らも被災した自治体職員が避難所も運営せざるを得ないため、迅速な対応ができない場合がありますが、イタリアでは、外部の専門家や被災自治体以外の職員が被災地に入り、避難所を運営する仕組みにもなっているようです。そこでお聞きします。こうした対応ができるよう、県がイニシアチブをとって、ふみこんだ災害応援協定を結んでおくなどの必要があると考えます。所見を伺います。

ベッドに関しては、東日本大震災のあと、「避難所で凍死された方がいる」との声から、段ボール業界が「段ボールベッド」を提唱。間仕切りが付き、プライバシーにも配慮され、子どもや高齢者でも工具なしで、簡単に作れ、15分~20分で完成するようです。こうした段ボールベッドの導入、温かい食事をみんなで食べられるようにするためのキッチン・食事スペースの確保、衛生的なトイレの整備も含め、避難所生活の改善へ、県としての今後の対応方針をお尋ねします。

【7】輪島産廃処分場問題

輪島市における産業廃棄物最終処分場について、下水道接続は有害物質を取り除くためでないことが鮮明になり、住民投票をめぐる経緯からしても住民合意が得られているとは言えません。こうしたもとでの建設許可は行うべきではないと考えます。産廃処理業者から設置許可申請書が出され、利害関係者から9月4日までを期限に意見書を提出できるとされていたはずです。どんな意見が出されたのか明らかにしてください。また、出された意見は、今後どんな場面で報告・議論されるのでしょうか。7月26日に開いた第1回県廃棄物処理施設専門委員会では、どんな議論がされたのかとあわせ、明らかにしてください。業者と輪島市・志賀町が締結した「生活環境保全協定」では、自治体側は是正などを「要請する」ことはできても、業務中止命令は出せないことに、住民から不満の声が高まっており、改善が必要と考えます。今後、知事が許可を出す、あるいは許可しないという結論までに、どんな手続きを経ることになるのか。明らかにしてください。以上、知事・関係部長の答弁を求め、すべての質問を終わります。

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